4
翌朝、目を覚まし学校に行こうと、ワイシャツに着替えるときに昨日の晩の謎の星のことを思い出した。しかし、思い出したところでどうにかなるわけでもなく,もうそういうもんだと思い込むことに決めていた。だが、その日の昼食の時間人生で初めて、職員室に呼ばれるという、事件が起こった。
「呼び出しです。2-Bの一ノ瀬悠さん、1-Ⅽの…」
俺を含め、一年生が一人と、3年生が一人、計3人が呼び出しを食らった。でも、呼ばれた相手の名前も知らない。何の接点があるというのか。あえて言うのならば、全員配色と雰囲気が似ている。青めの瞳に、黒い少しくせっ毛気味の髪。そして、この状況に明らかに動揺する顔。多分、みんな職員室に呼び出しなんて食らったことない。職員室前につくと、教頭先生が待っていた。教頭先生なんて、話したこともない。俺、なんかやった?
「では、全員ついてきなさい。」
式典でしか、聞いたことのない教頭先生の声。多分、怒ってないと思うけど声が怖い。教頭先生が大きめのドアの部屋をノックした。
「失礼します。」
「どうぞ。」
中から声がした。だれだ?というか、この部屋なんだ?恐る恐る、教頭先生の後をついていくと、誰?と言いそうになった。部屋の一番奥に座っていたのは、優しそうなおじいさん。
ドラマでよくある応接室においてあるソファの様なものに、高校生らしきブレザーの女子が座って紅茶を飲んでいる。顔は、よく見えない。
「校長の早見清正だ。よろしく。」
優しそうなおじいさんがあいさつをしてくれた。この人、校長だったのか。慌てて、俺も自己紹介をする。
「2-Bの一ノ瀬悠です。」
ほかの二人も自己紹介をした。
「とりあえずそこに座りなさい。」
校長先生が、ソファを指さして言った。俺たち三人は女子の向かい側に三人並んで座った。
女子が顔を上げた。息をのんだ。
「神楽桜です。」
桜だ。昨日、会ったのも間違いなく桜だ。脳が、桜を認識したのと同タイミングで心臓のあたりが痛む。思わず、胸のあたりを抑えてしまう。あの、星があるところだ。俺と同じように桜は右の手のひらを抱え込んでいた。すると校長先生が俺たちに言った。
「一ノ瀬君以外帰ってよろしい。」
俺以外の二人が、ソファを立ち校長室を出て行った。なんで俺だけ残らないといけないんだよ。少しづつ、胸の痛みは和らぐ。桜も同じようだ。まだ紅茶を飲んでいる。
「神楽さん、この人で間違いないですね。」
校長先生が、桜に問いかけた。
お読みいただきありがとうございました。