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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第四決算期

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転職81日目 開拓日記10

「それで、こっちの方だが」

と本題に入っていく

 貴族の動向についての情報収集結果の話し合いである。

 さすがに集まってる者達の顔色も変わる。

 すぐに影響が無いにしても、何か起こった場合の衝撃はかなりのものになる。

 そんな相手の事だけに、色々と慎重にならざるえなかった。

 大きな脅威であるだけに。

 その動向についてはどうしても過敏なほど反応してしまう。

「何か動きはあったか?」

 そう尋ねる声に、各所より上がってきた報告結果が出されていった。



 広範囲にわたる拠点の設置、人員の拡大。

 裏における拠点の充実などなど。

 それらと同時に進行していたのが情報収集である。

 貴族からの横槍が入らないようにするため、まずは情報が必要になる。

 どこで何をしてるのか、次は何を狙ってるのかが分かれば対処のしようもある。

 その為、どうにかして相手の行動を把握出来ないかと活動をはじめていた。

 とはいえ、そこは素人。

 そう簡単に事を進める事ができるわけがない。

 その為、まずは希望者の中でも信用が出来そうなものを選んで技術を身につけさせた。

 諜報活動に関わる技術を身につけさせ、それを元に事を起こしていった。

 それでも必要な人員・人材は少ない。

 本業のモンスター退治を進める傍らの事なので、どうしても作業の進みは遅れがちであった。

 もとより貴族の中における話などそうそう掴めるものではない。

 伝手がない。

 それについては諦めるしかなかった。

 当分の間は。

 ただ、周辺に張り込んでいれば動きは掴める。

 何かしらあれば兆候は出て来る。

 それを発見する事は出来た。

 そこで役立っているのが、あちこちにいる一団で教育を受けた者達だった。



 商会や工房などに事務員・作業員などとして入っていってる者がいる。

 モンスター退治で得られた経験値で技術を身につけ、各所にて仕事をしてる者達だ。

 彼等とのつながりは浅いものであるが、全く無いわけではない。

 薄く広いそれらは、情報網というのを躊躇ってしまうものがある。

 しかし、一団の経営・運営で得られた経験は、それらが力になると言っている。



 ──数(量)は力である。



 質がどれだけ高くても、張り巡らす事が出来なければ意味がない。

 要所や休所に質の高い何かを組み込んでいるならともかく、そうでないなら意味が無い。

 それよりは、広範囲に渡って張り巡らされた網の方が役に立つ。

 質(技術をもった人員)を用意出来ない以上、これに頼るしかなかった。

 そして、あちこちにはりめぐらされた網は、起こった何かを汲み取るには十分な役には立っている。



 その為にも付き合いは可能な限り続けていった。

 一団を離れ、就職している者達に、その後の様子を尋ねたりしながら話を聞き出していく。

 教育の為の意見を聞くという目的もある。

 どんな所でどんな技術が求められているか、教育段階で何をまずは身につけさせた方が良いのか。

 それを知る為にも実際に働いてる者達からの聞き取りは重要であった。

 場合によっては、再度モンスター退治に同行して経験を積む、という事もしているので、何が必要になるのかは知っておきたかった。

 かつて一緒に活動した者同士の繋がりもある。

 居場所は違っていても、何ヶ月もモンスター退治に出向いた間柄である。

 薄く浅いものであってもそれなりの関係は出来るものでもある。

 そういった繋がりを継続させる事で、話を聞き出し安くする事が出来た。



 話はそれるが、各所にいる者達からしても、一団や元一団にいた者達との繋がりは有益になる事がある。

 伝手がなければ会えない者達にも取り次ぎがしやすくなる。

 求める物がどこにあるか迷ってる時に聞きにいく事も出来る。

 あちこちに接点を作る事が出来るので、話を通しやすいし求めるものを手に入れやすくなる。

 人脈というほどでなくても、機会を得る場になりえている。

 何より、同じように苦しいところをかいくぐったという体験は、相手との間の垣根を低くしうる。

 全く何も知らない赤の他人よりは話しやすいし、そういった者達との間で新たな何かが始まる事もありえる。

 人の繋がりは思いもがけない服を引き寄せる事がある。

 一団を通じて知り合った者達は、それを上手く利用する事もあった。

 それ以前に、同窓会といった趣があるので、何らかの形で顔を合わせる事が多い。

 あの時は大変だったなあ、と言いながら。



 それを一団も利用していた。

 酒を酌み交わしていたり、商談などで話しながら。

 たいていは世間話で終わるし、それ以上は一団も期待をしていない。

 だが、そうやって出て来る話から何かが出てくる事もある。

 どこかで大きな契約があったとか、どこか大口の受注があったとか。

 その逆に、取引が薄くなったとか、受注が無くなったという事などから何らかの動きを察知する事が出来る。

 受動的なものであるが、それらが何かを知るきっかけになる事はあった。

 こちらから働きかけて相手を動かすといった事はないが、事前に兆候を感じ取る事が出来るだけで十分だった。

 今はまだそれくらいしか出来ない。

 いずれこちらの方面も力を入れていきたい所であるが、まずは出来る範囲での努力をしていた。



「とりあえず、それらしい動きは見あたりませんね」

「こちらの方もです。

 物資の動きなどを見ても、それらしいものはないですね。

 多少の変動はあっても、誤差の範囲です」

「人の出入りも変わったところはありません。

 もっとも、色々と出入りしてるので、それらに紛れて何かが行われてるかもしれませんが」

「私的な付き合いの方もさして変化はありません」

「外側から分かるのはこんな以上になります」

 上がってきた報告の結論はそんなものだった。

 次に何か起こるような兆候は見あたらない。

 ただ、目に見えた動きがあった時点で既に事は終わってる場合もある。

 動き出す前に兆候を掴み、何かしらの対処をしておきたいのだから、それでは意味が無い。

 本当に何も起こってないなら良いのだが、表だってない所で何事かが進んでるなら危険である。

 そういった情報を何も掴めてないという事なのだから。

「引き続き警戒をしていってくれ。

 あと、内部に潜入させらる機会があったら、とにかくそこに入りこんでくれ」

 今後も引き続きの監視が必要になる。

 その為にも、内部に入りこんでの諜報がしたかった。

 使用人でも何でも良いので、とにかくもう少し内部に食い込みたい。

 もっとも、そうそうそんな機会はないので、なかなか上手くはいかない。

 出入りしてる商人などに渡りをつけられれば良いのだが、そういった所は信用第一で行動してるので胡乱な事には手を貸しはしない。

 そもそも、貴族相手に商売をしてるような所は一定以上の水準の大規模な所がほとんどである。

 ヒロノリが付き合いのあるような所と直接取引したりはしない。

 そういった大店と言える所から下請として何かの仕事を受注する事はあるかもしれないが。

 どうしても直接的な接点となるような立場には立てない。

 身分差というのはそういうものである。

 防諜としては実に便利に機能している。

 それが目的で身分差などが発生してるのか、などとも思ってしまう。

 ただ、何としても相手の動きは突き止めておきたい。

 余計なちょっかいを出されないように。

 だからこそ、使用人でも良いから内部に食い込める者が欲しかった。



「もう少し範囲を広げてみるか」

 考えと視点を変えてみた。

 直接の接点は今後も狙っていくとして、それとは別の方面からも手を回していってみる。

「今後もあちこちに教育した人員を送り込んでいってくれ。

 どんな所出も良い。

 ありとあらゆる所に、俺らの顔なじみを増やしていってくれ」

 直接情報を入手するわけではないが、間接的に動向を掴める可能性を増やすためである。

 それには今以上にあちこちに伝手を作るしかない。

「人材教育での引き受けも増やしていこう。

 可能な限り申し出を受けるようにしていってくれ」

 教育してるのは一団に入ってきた者達だけではない。

 伝手のある取引先などからも回されてくる者はいる。

 短期間で一気に技術を持った者を確保するために、モンスター退治を利用しようとしてるのは他にもいる。

 ヒロノリ達がやってる事に便乗してきてるわけだが、それをヒロノリは受け入れていた。

 今後の伝手というか付き合いにつながるきっかけになると思っての事である。

 実際、これで取引先が増えてはいる。

 それを利用して、あちこちに伝手を作ろうとしていた。

「とにかく手を広げるんだ」

 上手くいくかどうかは分からないが、今できるのはそれくらいである。

 やれる事をとにかくやっていくしかなかった。



(それに……)

 思惑はそこで留まってるわけではない。

(上手くいけば、あちこちを動かす事も出来るかもしれないし)

 貴族に直接手を出せないかもしれない。

 しかし、それ以外の部分には影響力を行使できるかもしれない。

 そうなれば、別に貴族の動向を探る必要もなくなる。

 その他大勢を用いる事が出来れば、自然と貴族を包囲する事になる。

 そうなれば貴族の動向を探る必要もさほどなくなる。

 むしろ、相手をこちらの思うように動かしていけるようになるかもしれない。

 それでも相手の情報は必要になるだろうが、相対的に必要性は低下する。

(まあ、大分先の事になるか……)

 そうなるように為には、あちこちに人を送り込み、影響力を手にしていかねばならない。

 それはそれで時間も手間もかかる事である。

 だとしても、やはり貴族の所に直接取り入るよりは遙かにやりやすい方法ではあった。



「あと、田舎の村とかにも人を送り込んでくれ。

 モンスター退治の要望はどこにでもあるだろうから、そこに人をやってくれ」

 こちらもまた慈善行為でやってるわけではない。

 そういう所から接点を作っていこうという腹づもりだった。

 実際、既に人を送り込んでる村の村長あたりなどとはかなり懇意になっている。

 そこから地方領主をしてる貴族などとの接点も出来てきている。

 領主と言っても村を一つ二つ治めてる程度の小さな者達であるが、それでも貴族は貴族である。

 そこから得られる情報もある。

 機密に関わるような事はさすがにないが、それでも一般人が知り得ない事を教えてくれる。

 そういった付き合いも増やし、更に情報を得ていきたいものだった。

 そこから影響力を行使できるかもしれない、という期待もある。

(そう上手くいくもんでもないだろうけど)

 やはり慎重にはなる。

 だが、使える手段を増やす為にもやれる事をやっておきたかった。

 77話の投稿をしくじっていまして、78話を掲載してました。

 現在投稿しなおして、本来の77話を掲載してます。



 同様のことが40話でも発生しておりました。

 これはすでに活動報告にも買いていましたが、あらためてここでも掲示しておきます。



 まだごらんになってない方がいましたら、これらに目を通していただけると幸いです。



 ……しばらくこのお知らせを掲載していこうと思います。

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