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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第四決算期

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転職71日目 開拓日記1

 抱いた不平不満は反発へと成長していく。

 何の力もない時、それはただ各自の胸の中にため込まれるだけである。

 しかし、行き先を見いだした場合、大きな力となり、止めようのない勢いになりうる。

 今の一団はそういう状態にあった。



 新たに見つけた廃墟の奪取。

 そのために行動を開始したヒロノリは、そんな気持ちに行き先を与えていった。

 不満そうな、あるいは納得しかねてる者達を見て周り、彼等に声をかけて誘っていく。

「あそこはああなっちまったけど、それはそれで仕方ない。

 次に向かっていこう」

 そう言って一人一人説得していく。

 一言を添えて。

「……次はバレないようにやろう」

 そうして説明を加えていく。

 驚く顔をした一団員は話を聞いていくにつれて納得していく。

 そしてたいていの場合、

「やりましょう……!」

と賛同してくれる。

 人員の確保は意外とすんなりと進んでいった。



 先遣隊となる者達が秘密裏に集められ、目的地へと向かっていく。

 細切れに出立し、合流地点でまとまった総勢六十人の一同は、そのまま廃墟へと向かっていく。

 一日二日では到達できない場所にあるそこに辿り就いた彼等は、そのままその場にて作業を開始する。

 モンスター退治と、堀の再構築に。

 作業員を連れていけなかったので全て自分達でやるしかないが、それらは少しずつ進んでいった。

 そんな形で彼等は廃墟への駐留をはじめた。



 人の交代と物資の補充で定期的に馬車が走るようになる。

 消えかけた轍が再びはっきりと刻み込まれていく。

 常時五十人から六十人が駐留する事となった廃村は、いつも通りに堀を作りなおしていっていた。

 作業にあたる事が出来るのは十人程なので進みは遅い。

 それでも着実に作業は進んでいく。

 掘り出された土が袋に詰められて土嚢となり、それらが積み上がった防壁にもなっていく。

 防備としては貧弱だが、彼等が駐留してる場所をほんの少しは守ってくれる。

 小型のモンスターならば、それで足止めが出来た。

 それだけでもありがたかった。



 そうしてる間も一団の方は今まで通りの日常を装っていた。

 表だって何も分からないように、今まで通りの状態を取り繕う。

 それでも数十人が前線から消えれば少しは変化が訪れるものだが、入ってくる新人がそれを誤魔化す役に立った。

 レベルはともかく人数はそれほど変わらないから、目に見えた変化はあらわれない。

 拠点の構築は遅れ気味になるが、それも資金が足りないという言い訳をして誤魔化している。

 費用を遠く離れた廃墟に注ぎ込んでるのだから当然である。

 それらを拠点に使っていたならもう少し早く様々な施設を建てる事が出来ただろう。



 他の部分でも極力気づかれないよう気を遣っていった。

 核の売却も、物資の調達も広範囲に分散させている。

 手間がかかっても、核はより別の町で売りさばく事もはじめた。

 食料や物資を調達するのも、様々な町の商人や行商人を利用した。

 道具を買うにしても、一気に必要な数を揃えたりはしない。

 そうした方が安く仕入れる事も出来るが、それよりも秘匿性を重視した。

 大量に仕入れれば何かをしてると勘ぐられる可能性が高くなる。

 やってる事が一団内に知れ渡るのは仕方ないが、それが外に出る事は避けたかった。

 その為、物資・資材などを集めるのは若干遅くなってしまう。

 作業全体の進行に関わってくるが、それでも出来るだけ露見しない事を求めていった。



 一団内における協力者達は、それでも辛抱強く作業を続けていく。

 モンスターの中をかいくぐって目的地へと向かい、少しずつ少しずつ作業を進めていく。

 モンスターに襲われながらも廃墟を巡る堀をとにかく元に戻していく。

 作業の全てが終わるまでに一ヶ月近くがかかってしまう。

 廃墟を囲む柵に着手するのはそれからになった。

 大々的に物資を運び込む事が困難なので、柵すらも簡単には出来上がらない。

 何とか形になるまでやはり一ヶ月近くかかる事となる。

 物自体は継続して運び込まれていくのだが、一回の運搬量がどうしても制限されてしまう。

 その為、思うようには進まない。

 必要なものを手に入れるまでの時間もあるし、作業はどうしても遅れが発生する。

 それでも途切れる事無く物資を運び込めるだけマシではあるのだろう。



 人員の方も同じで、他の場所での人数低下が悟られないようにしなければならない。

 このあたりは次々に入ってくる新人が目くらましになってくれている。

 増えた分が各拠点などで活動をしてくれる。

 それらと入れ替わりに、廃墟へと向かう人間を抽出していく。

 目に見える場所で活動する者達の人数はさほど変わらない。

 顔ぶれは変わっていくが、そこまで見ている者は少ない。

 一団に接してる者達ならともかく、ただ情報として存在を認知してるだけの者達は特に。

 増大する人員の多くが見えない所に消えてる事に気づいてる者はほとんどいなかった。



 六年目に入って数ヶ月。

 事態は静かに目立たずに進んでいった。





【能力表示】



一般教養 レベル3 → 4

事務 レベル3

会計 レベル3

管理 レベル3

交渉 レベル3

心理 レベル3 → 4

経営 レベル3 → 4

【新規】戦略 レベル0 → 2

【新規】政治 レベル0 → 1


運動 レベル2

肉体作業 レベル2

長距離移動 レベル3


刀剣 レベル2

盾 レベル4



【能力表示】


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