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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職68日目 規模は大きくなったが今までの繰り返しになる、そう思ってました

「なんだかんだで一年はかかる」

 今後の計画や様々な予定や予想図を示してからそれを結びの言葉とした。

 新たにもう一つの廃村を取り戻し、その後をどうしていくかを示された一団員の反応は色々だった。

 そんなもんかと納得してる者もいれば、時間がかかる事に不満を抱く者もいる。

 何はともあれ場所を確保した事で、これから更に大きな一歩を踏み出していけると考える者もいる。

 そういう事もあったのかと自分と切り離して考えてる者もいた。

 ただ、一団がまた大きく一歩を踏み込んだという事は誰もがそれなりに感じてはいた。

 今後何がどうなっていくのかは分かっていなくても。

「まあ、出来る事を少しずつやっていこう」

 ヒロノリとしてはそう言うしかなかった。

 拠点に集まっていた者達は、その言葉に色々な事を思い浮かべていった。

 これからも大変な事になるのだけは理解していた。



 目に見えて増えたのは、食料と人の移動だった。

 廃村が拠点として使えるようになったことで人が多数入るようになった。

 移動途中の集積所も含めて、かなりの人数が展開出来るようになっている。

 それに伴って人も動いていくし、人が消費する食料も動いていく。

 近隣で生産される食料が次々に移動していき、足りなくなった分を埋めるために更に別の地方からも食料が近隣に流れてくる。

 人の移動はそれだけで物資の動きに繋がっていく。

 人数に合わせて増大する食料消費は、ちょっとした景気を呼ぶ事にもなっていた。

 人が生きてる以上、食べていかねばならない。

 当たり前の事であるが、それだけに決して無くならない仕事にもつながる。



 町の方に寝泊まりしていた冒険者達も次々に移動を開始する。

 居住出来る場所の関係でどうしても前に出られなかった者達もいる。

 それらが次々と廃村へと向かっていった。

 居場所が出来上がるというのは大きく、かなりの人数が最前線へと向かった。

 穴も空くが新人がそれを埋めていった。

 各地に飛ばした人買い……ではなく勧誘員達が、遠く離れた町や村にいる食い詰め者……違う、余剰人員を集めてくる。

 部屋住みで今後も生きていくのだろうと思っていた者達は、多少なりとも自立する機会ととらえて志願してくる。

 決して楽ではないという事は彼等も理解しているが、今の状態よりは良いと思っての事だった。

 それでも勧誘に渋い態度をとりはしたが、それも一団のあげた実績を見れば変わっていく。

 初期における訓練がてらの戦闘における、上級者の付き添い。

 レベル3を超えたあたりからの一日の稼ぎ。

 これまで造り上げてきた拠点などの活動場所の拡大。

 現在進行形で続いている拠点の拡大と建設。

 先々への夢を抱かせるには十分なものがあった。

 かてて加えて、嫁さんをもらって所帯を持ってる者もいるという確かな事実も大きい。

 これには男女共々将来に夢を抱いていった。

 人間、色と欲はやはり大きな原動力である。

 また、所帯を持てるだけの稼ぎというのは大きな魅力であった。

 そこまで稼げるようになるまで二年三年はかかるとは言ってるし、それでも月に銀貨三十枚程度になるとも言っている。

 命がけの稼ぎとして多いかどうかは悩ましいものがある。

 しかし、それだけ稼げるようになるという事の方に多くの者は目を向けた。

 全くの無収入状態に等しい現状よりは良いという事で。

 それならばと志願をする者は確実に出てきた。

 それを元に将来の約束をする者出てくる。

 そこまで稼げるようになったら迎えに来るから、というような会話があちこちの町や村で発生した。

 かくて将来を誓った仲まで誕生していくのは、想定外の出来事であった。

 悪い事では無いし、今後の悪影響もない、むしろ喜ぶべき事なので祝福の対象となっていく。

 話を聞いたヒロノリは、

「たまげたなあ」

と驚いた。

 まさかそこまで話が進むとは思っていなかった。

「こりゃ、本当に無茶はできんな」

と今まで以上に安全性の確保に邁進する事を決意する。

 戦闘を旨とする冒険者という仕事において、矛盾すること甚だしいが。



 しかし順調に人も集まり、廃村の整備にも手が加わっていく。

 人が増えた事で一団の運営費も増大する。

 すぐには増えないが、人が増加した分だけ確実に増えていく。

 時間の問題だった。

 それを見越して村の方に加えるべき手を考えていく。

 当然ながら宿舎と事務所が必要になる。

 なのだが、それらをすぐに作るのも手間がかかる。

 なので、最初は倉庫や納屋を造る事を先にした。

 テント代わりにそこを住居や作業場所にしていく。

 本来の役割である道具や材料を入れておく為の場所としても使っていく。

 値段が安いのと、比較的簡単に作れる事で、数を揃える事が出来るからだった。

 廃墟・廃屋の撤去もあわせてやらねばならないので、どうしても金が足りない。

 当面の厳しい懐事情からそうしていく事になった。

 本格的な住居などについてはまだまだ先となる。

 まずは、雨露を凌ぐ事。

 それに住居が出来た後も倉庫は必要になるので無駄にはならない。

 今までの経験から、それをまずは先にしていく事とした。

 テント暮らしに慣れていた者達も、寝床が確保出来た事でまずは安心していく。



 そして、村の方に住居を建てようという話も出てくる。

 以前から結婚して所帯を持つと言っていた孤児達が、いよいよ本格的に始動しようとしていた。

 ここに至ってヒロノリに止める理由は無い。

 むしろ、積極的に後押しをしてやりたかった。

「でも、とりあえず廃屋の撤去が終わるまでは待ってくれ」

 そう言って今少し保留する事を求めた。

「倉庫を建てたら場所も出来るから。

 それまで待ってくれ」

 今の状態では家を建てる事など出来ないので、ツヨシ達孤児も納得する。

 ヒロノリも出来るだけ作業を急ぎたかった。

 これで村の方に根付く人員を作る事が出来る。

 あちこちに移動をさせる事は出来なくなるが、一カ所に固定してくれる者がいるというのはありがたい。

 流動的に動ける人員も欲しいが、一カ所を確実に守ってくれる者も必要なのだ。

 その第一弾となってくれる事を願っていた。



 そんな矢先に思いも寄らない者達があらわれた。

 突如拠点の事務所にあらわれたその者達は、ヒロノリに対して想像もしてない事を突きつけてきた。

「村には新たに領主を置く」

 このあたりを治める統治者からの通達であった。

 まあ、そういう展開でございます。

 この先については……今までと大して違いが無いかもしれない。

 でもまあ、それは書いてみないと分からないもんなので。

 さて、どうなるやら。

 書いてるこっちにも予測不能になってきてる。

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