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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職60日目 廃墟にて一夜

 村には夕方になる前に到着した。

 轍の跡も途中では消えかかっていたが、道に迷う事もなく辿り就く事ができた。

 途中、何度かモンスターと遭遇して戦闘になったが、手が出せないほど強いものはいなかった。

 しかし、復興中の村までの道中よりも遭遇率が高い。

 モンスターの勢力圏なのだという事を実感する。



 到着した村は、建物も既に崩れておりそれらしい残骸が点在してるだけだった。

 堀や塀も崩壊しており、脅威を遮るものはない。

 当然ながらモンスターも歩き回っている。

 それでも村に突入し、モンスターを蹴散らしていく。

 調査で来てるのだから、内部の事も調べておかねばならない。

 幸いにも強さはそれ程でもなかったので、ヒロノリ達で簡単に対処ができた。

 行きがけの駄賃として核を切り取り、馬車を呼び込んでいく。

 廃墟を盾にして防御出来るように布陣していく。

 とにかく今夜一晩はここで過ごさねばならない。

 モンスターが押し寄せる可能性もあるが、何の盾もない平原などにいるよりは良い。

 野営の準備をしつつ、周囲の様子も探っていく。

 建物の位置や、大まかな広さなどを記していく。

 絵画の心得のあるものは、簡単な素描で村の様子をとらえていく。

 陽が沈むまでの短い時間で出来る事を仕上げていく。

 調べられる事は限られているが、作業に必要な事が分かればそれで良い。

 十分とは言えないが、最低限必要な事は分かった。

 これを持ち帰って今後に役立てねばならない。

 その為にも、この夜をしのがねばならなかった。



 モンスターも活動時間があるようで、夜になれば活発になるというわけでもないらしい。

 夜行性も中にはいるようだが、たいていは昼に活動してる。

 圧倒的に多いのは日中に活動するもので、夜行性はそれほど多くはない。

 出没地域によって変わってくる事であるので一概にはいえないが、夜と言ってもあまり気を張る必要は無い。

 むしろ危険が少ない時間帯とは言える。

 だからと言って気を抜くわけにもいかない。

 この辺りに出没するモンスターについては完全に把握出来てるわけではない。

 もしかしたら夜行性のものがいるかもしれない。

 それらを警戒して見張りをたてていく。

 交代で寝起きして周囲を確かめ、朝を待つ。



 持ち運び出来る竈で火を焚いていく。

 七輪の大きな物と言えるそれが、周囲にかすかな灯りを提供してくれる。

 その他にも、村のあちこちに松明を灯している。

 灯りがモンスターなどを呼び込む危険はあったが、何も見えないよりは良い。

 どうせやってくるなら、見えるようにしておいた方がマシ、という考えによる。

 篝火が照らし出す範囲を警戒しつつ、炭をくべていく。

 松明の効果時間も考え、燃え尽きる頃合いに差し替えてもいく。

 そんな事を繰り返しながら朝が来るのを待つ。

 廃墟という、それだけで何か不気味さを感じさせる場所にいるせいだろうか。

 人がいれば感じる事が出来る活気というものがない。

 無機物に対して用いるのはおかしなものかもしれないが、本当にこの場所は死んでるのだと思わせる。

 何もない野原や森林とも違う、とにかく全てが死んでるという雰囲気がある。

 というより、何の気配もない、雰囲気すら存在しない。

 もう何も存在しないという事を感じさせる事が、いたたまれない何かを感じさせていく。

 灯りがあろうと、それは変わらない。

 明暗だけで作られるものではない何かを感じさせていく。

 それが気分を滅入らせていく。



 朝が来て、簡単に朝食をすませた彼等は、すぐに立ち去る準備をしていく。

 松明の残骸を回収し、竈の火を落とし、馬車を走らせていく。

 周囲にモンスターがいない事を確かめてから進んで行く。

 帰り道、冒険者達はどこか安堵した表情を見せながら自分達の居場所へと帰っていく。



 その中でヒロノリは今後の事について考えていった。

 村は使える状態ではない。

 いずれ立て直すにしても、その為の準備が必要になる。

 まず、道中の安全の確保。

 立ち寄れる場所の建設。

 これは必要不可欠になる。

 資材を一気に運ぶにしても、どこかに一度集める必要がある。

 それも、可能な限り大量に。

 やはり、村の近くまで一旦資材を運ぶ必要があった。

 作業員を大勢集められる場所も。

(やっぱり、拠点になる場所を作るしかないか)

 村を取り戻すために、人を集められる場所を作るというのも矛盾のような気がする。

 しかし、先に進む為にはそうするしかない。

 それをどれくらいで作っていくかを考えねばならなかった。

 今回の道中をその為の土台にせねばならない。

(帰ったら、また会議だな)

 それはそれで憂鬱になりそうだった。

もういっちょ頑張ってみる

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