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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職50日目 とりあえず作る事は出来た

「こりゃすげえな」

 現地に到着したヒロノリは、その様子を見て驚いた。

 到着した時点で堀の方は完全に出来上がっていた。

 その内側には、柵の柱をたてるための穴も掘られている。

 そこに木材を入れて柱をたてる事になっている。

 それなりの大きさのある木材をたてるので、こういった事前の準備がなければ作業を進める事が出来ない。

「もうここまで出来てたのか)

 ここまで期待していたわけではないが、これなら作業を大幅に早く進める事が出来る。

 早速木材に取りかかった作業員達が、次々に柱を立てていく。

 五十センチほどの間隔で掘られた穴にさしこまれた木材は、かなり大雑把ながらも侵入を遮る備えとしての姿を見せていった。



 やはり人数がいるというのはありがたい。

 五十人の作業員は、持ってきた木材を次々にたてていく。

 木材をいれた穴には、隙間を埋めるために土がもられていく。

 更に柱の間に土嚢が積み上げられ、小型モンスターが入り込む余地を無くしていく。

 堀を掘った事で出て来た土は十分過ぎるほどあるので、穴埋めは十分に可能だった。

 柱と柱の間に横棒が渡され、それらが縄で縛り付けられていく。

 後々しっかりと固定するつもりであるが、まずは簡単に固定しておければよい。

 そんな調子でかなり簡略ながら、外からの攻撃を防ぐ防備はそれなりの形になっていった。



 入り口の部分の門と、堀を渡る為の橋は多少手間取ったが、これもどうにか作る事が出来た。

 事前に木材を加工しておいたのが幸いした。

 現地ではそれを組み立てるだけですむ。

 もちろん素人ではどうしようもないので、職人を何人か呼んでおいた。

 値段は高くついたが、それだけに良い仕事をしてくれた。

 橋はつり上げる事が出来る跳ね橋。

 門は簡素ながらも開閉が出来るものを取り付ける事が出来た。

 中には何もないが、外からの脅威を排除出来る場所がとりあえず出来上がった。



「まだこれからだけどなあ……」

 出来上がった拠点(仮)を前にして呟く。

「でも、これで少しは余裕が出来るか」

 第一歩はどうにか踏む事が出来た。

 あとはここを中心として拡張を続けていく事になる。

 その為にも、早く資金を貯めねばならない。

 今回の作業だけでも、銀貨を数百枚を使う事となった。

 作業期間は短いのだが、そのために集めた人員と資材が大きな負担になっていた。

 消費した金を回復させる為に、今の調子では半年以上一年以下の時間がかかる。

 更に商売の幅を広げない事にはどうにもならない。

 その為の拠点である。

「まずはこのあたりで稼いでいかないと」

 活動範囲は、これで一気に拡大した。

 拠点というには小さいが、ここなら二十人くらいはつめこむ事が出来る。

 当面はテント暮らしになるが、それでも安全な場所を確保はできる。

 村の方も利用出来るが、モンスターが出入りする場所となると、さすがにそうそう利用する事も出来ない。

 防備を復活させ、モンスターを確実に排除出来るようにしておかないと危険すぎる。

 やるにしても、まだまだ先の事になる。

(まずはこっちを拡大するのが先になるか)

 焦る必要は無いと自分に言い聞かせる。

 すぐにでもとりかかりたいが、金が貯まるまでは待たねばならない。

 それに、そんな大事よりも先に片付けるべき事がある。

(この中、家とか作っていかないと)

 当面のテント暮らしを出来るだけ早く終わらせてやりたかった。

 そういった、細かな生活部分を改善していかねばならない。



 作業が終わり、囲いの中に入って夜を迎えていく。

 持ってきたテントをはり、その中に入っていく。

 他にも何人かが村ではなくこちらにやってきている。

 交代で周囲を警戒する事になっており、ヒロノリもそれを志願している。

 その為、先にテントに入って体を横にしていく。

 疲れてるというほどではないが、少しは休んでおかないと夜中に起きる事が出来ない。

 直前に飯を食べたせいもあってか、多少は眠気が襲ってくる。

 しかし、寝入るという程でもない。

 そんな状態でしばらく横たわってるうちに夜になり、ろくろく眠りもしないうちに当番の時間となった。



 外に出ると、さすがに寒気が襲ってくる。

 布一枚であっても、テントの中と外では温度差があった。

 見張りで起きていた者達と交代し、当番についていく。

 やる事はそれ程あるわけではない。

 時折周囲を見渡して異常がないかを確かめるだけだ。

 モンスターがそこかしこをうろついてるので、異常だらけなのだが、それでも襲ってくるかどうかの確認はせねばならない。

 時折、堀を越えて柵までやってくるものもいるのだ。

 それらを柵越しに倒していく。

 隙間だらけの柵だが、モンスターを食い止める役には立つ。

 また、その隙間があるから、槍などで突き刺すのには便利だった。

 もっとも、モンスターも警戒してるのか、それほど近づいて来るものはない。

 遠巻きに伺ってるものはいるようだが、一定の距離をおいて様子をみてるようだった。

 知能があるのか分からないモンスターであるが、ある程度の考えは持ってるだろうとは言われてる。

 相手が自分達より多いと警戒するらしい、とは昔から言われている。

 その為、村や町に少数でやってくるような事は滅多にない。

 それでも、人口の少ない村は大勢のモンスターに襲われる事がある。

 なので、集団でいれば襲われる可能性はかなり低くなると言える。

 時と場合による事ではあるので絶対ではないのだが。

 それでも、人数が多いというのは大きな利点になりうる。

(早くここを拡大しないと)

 モンスターを倒す為の拠点であるが、そこが襲われないようにある程度の規模にまで成長させたかった。

 村からモンスターを遠ざけ、ここを中心にモンスター退治を展開させるためにも。

 出来上がったといっても、まだまだこれから何だよね。

 そう考えると泣けてくる。

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