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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職40日目 企ててる諸々のこと

 この世界に来て二年が経とうとしていた。

 新人の募集は更に続いている。

 この地域だけでなく地方全体にまで募集の告知が拡がりつつある。

 一団の規模は一百人を突破し、一百五十人が見えてきた。

 そのうち事務員は三十人。

 更にこの中の二十人が女子になっている。

 主に内勤の彼女らは、ルーチンワークの処理における貴重な人材に成長しつつあった。

 それらに支えられてる戦闘員達も、モンスターを蹴散らす勢いで稼ぎまくっている。

 順調に事業(?)が発展してるのを見て、その面でヒロノリはある程度は満足していた。

 ただ、やはり町を中心に活動する事の限界も発生してきていた。

 宿舎が足りないし、移動出来る範囲でのモンスター退治の場所も確保しにくくなっている。

 大規模な人数が展開するには、町の周囲は狭くなってきていた。

 だからこそ、廃村を中心とした新たな狩り場の確保に乗り出したのだ。



 まずは、モンスター退治の拠点として。

 当面の目的はそれである。

 だが、それで留まるつもりはなかった。

 集めた情報から、更にその先の事も考えていた。

(廃村とこの町の間の交易路を確保出来れば……)

 町と廃村の間にはいくつかの村がある。

 その間の物資搬送と流通路を兼ねる事が出来れば、と考えていた。

 廃村が人の住める状態になるまで時間と物資が必要になる。

 廃村から町に核を運び、町からは再生に必要な様々な物資を運ぶ。

 当然ながら途中の村を通過する事になる。

 そのついでに、各村との行商を兼ねる事が出来ればと思っていた。

 核を売却するには町に搬送しなくてはならないついでだ。

 また、廃村を拠点にした場合、村から食料を調達せねばならなくなる。

 モンスターに囲まれてるので、普通に農業など出来るわけがない。

 食料は外から買ってくると割り切らねばならない。

 村と言うより、砦と言った方が良い状態になるのは目に見えていた。



 ただ、途中の村を食料調達の為の身近な場所として見てるだけではない。

 モンスターの襲撃に晒されてる地域なので、冒険者の需要は多い。

 その派遣先として、取引先としての可能性も見込んでいる。

 金銭的な利益はそれほど見込んでないが、友好的な関係を造り上げるための投資と思えばそれほど悪いものではない。

 非常に長期的な事になってしまうが、将来の従業員候補として、村で生まれてくる子供達も見込んでいる。

 そのためにも積み重ねていく信用が必要になる。

 すぐに結果が出て来る事は無いが、先々の為にやっておく必要があった。



 また、確実な話ではないが、廃村の先にあるものも見据えている。

 廃村から先の地域は、元々人が住んでいた地域である。

 モンスターの侵攻によって追い出されてしまったが、そこを奪回出来れば人が再び進出する可能性がある。

 そうなれば、廃村を拠点としていく事になる。

 その際に見込める利益はかなりの大きさになるだろうと思えた。



 何より大きいのは、廃村の方面に廃棄された鉱山がある事だった。

 資源が無くなって廃棄されたわけではなく、モンスターに追い出されて放棄せざるえなかったものだ。

 そこが復活すれば、産出地の近くという利点を得る事になる。

 鉱工業の発展が見込めれば、この辺りも活性化する。

 確実に人は増えていく。

 また、鉱山を守る為の人手も必要になる。

 軍が投入される可能性もあるが、冒険者に依頼が来る可能性だってある。

 そうなれば、ヒロノリ達にも話が回ってくる可能性が出てくる。

 鉱山開発は大がかりすぎてヒロノリの手におえないので、そこに直接関与するつもりはない。

 だが、そうした周辺に拡がる機会を逃すつもりはなかった。



 何より、鉱山の復活に伴う工業の方に注目していた。

 職人を育てていれば、工業の方に食い込める可能性がある。

 事務員育成のように、工業系の技術を持つ者を育てて製造にも打って出ようと考えていた。

 大がかりなものは無理でも、町工房程度のものは作れる可能性はある。

 それが出来れば、モンスター退治以外でも金を稼ぐ手段を持てる。

 事業として成り立つほど大きく出来るかは分からないが、それでも構わない。

 どのみち装備品などの補修などで職人は必要になる。

 その為の人員は絶対に確保しておきたかった。



 ────概ねヒロノリはそんな事を考えていた。

 どこまでかなうか分からない。

 かなうにしても、どれだけの時間が必要なのか分からない。

 だが、廃村を復活させるだけでなく、その先についてそこまで考えてはいた。

 やりたい事ややっておきたい事を並べていったらそんなものになった。

 どこまで達成出来るか分からない、というかまず無理だろうとは思っている。

 それでも目標にはなるだろうと思って書き留めていったものである。

 そもそもとして廃村を取り戻す事が出来るのかも分からない。

 モンスターも多いので、そうそう簡単にいくとは思っていない。

 分かってはいるのだが、先々の事も考えてないとやってられない。

 今の安定がいつまで続くのかと思うと不安が押し寄せる。

 一団を率いてるというのはとてつもなく大きくて重い物があった。

 それを緩和する為に夢に逃げてるようなものである。



(やってくしかないけどなあ)

 今更逃げ出すわけにもいかないので、やれる事にとにかく手をつけていくしかない。

 夢が見れるだけマシなのだから。

 ただ、その為にも一団の内部をもう少ししっかりさせておきたかった。

 まだまだ組織として全然成り立ってない。

 部署とその責任者をはっきりさせ、各自が必要な範囲で自立的に動けるようにしなくてはならない。

 人員も育てて人材にしないといけない。

 まだまだ何事にも時間が必要そうだった。



(でもまあ、女の子も増えてきたし。

 そろそろ誰か結婚し始めるのかねえ)

 息抜きがてらそんな事も考える。

 職場恋愛は色々と面倒を増やしそうではあるが、それでもそろそろ上手くいってる連中が出て来て欲しいものだった。

 ヒロノリの知らない所で様々な恋愛絵巻が展開されてるのかもしれなかったが。

 それならそれで良いので、結婚の報告くらいはしてもらいたかった。

(……俺もがんばらんとなあ)

 いまだに独身を続けてしまってる現状に切ないものがあった。

平成29年3月30日になって、この部分を投稿し忘れていたことにようやく気づく。

というわけで、いまさら投稿。


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