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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職35日目 事業の着想というのはこんな小さな事であったりする

「んで、モンスター退治に出るつもりだと」

「ああ。

 何人かは出られると思うんだ」

 そういって孤児達の中で年長の者達を並べてくる。

 確かに一年前に比べれば幾らか体は成長している。

 しかし、まだ十歳になったばかりといったあたりがほとんどだ。

 いくら何でもまだ早い。

 体だって、成長はしてるがまだまだ子供の体型だ。

 モンスター退治に連れて行けるような状態ではない。

「さすがになあ……」

 幾ら人手が欲しいと言っても、こんな子供を連れていくわけにはいかない。

 孤児を連れて行ってるヒロノリがとやかく言えるわけもないが、それにしたってもう少し年齢が上の者を用いてる。

 この世界における成人年齢に近いあたりを。

 言い訳にしかならないかもしれないが、それがヒロノリのせめてもの良心だった。

「あと二年か三年してからにしよう。

 でないと、さすがに無理だ」

「そっか……」

 落胆する孤児には申し訳ないが、さすがに子供に無理をさせるわけにはいかない。

 とはいえ、彼等の就職問題もあるので、どうにかしてやりたいとは思った。



 とりあえずモンスター退治はまだ早いので、その前段階としての訓練はしてもらう事にした。

 本気でやる気があるなら、剣の振り方や盾の構え方をおぼえてもらいたい。

 その稽古ならすぐにでも出来る。

 やり方はモンスター退治に出てる者達が知ってるのだから、教えるくらいは雑作もない。

 ただ、その為にも教育の技術を身につけておいてもらいたいとは思った。

 これがあれば技術を効率良く教える事が出来る。

 余裕があるなら、それを身につけて後輩の指導をしてもらいたかった。



 また、読み書きや計算も出来るとありがたい。

 これらを賄う一般教養を教えてもらえるとヒロノリとしては助かる。

 やはり、指示や伝達事項を紙に書いて渡せるというのは、組織運営を滑らかにする。

 必要な事を紙に書いて提出してもらえるという利点も大きい。

 何事もその場の言葉で伝え、記憶に頼るというのは避けたかった。

 どうしても食い違いが発生する。

 最初と最後で全く違う結果になる伝言ゲームのようになってしまう。

 それに、長い用件を正確に伝える事が絶対に出来ない。

 紙に書いておけばそれらを防ぐ事が出来る。

 馬鹿にならない情報伝達手段だった。

 それを少しでも浸透させたい。

 何より、これが出来ると事務作業での仕事を引き受ける事が出来るようになる。

 周旋屋で仕事をする場合に、大きな武器になる。



 また、女の場合は家事や料理といった事が出来ると仕事の幅が拡がる。

 女の仕事となるとどうしても力をそれほど用いない作業に偏っていく。

 任される仕事は、掃除婦や使用人といったものが多い。

 いわゆるメイドといったものがほとんどだ。

 それだけに炊事・掃除・洗濯・裁縫といった作業が出来ると従事できる仕事が増える。

 これらをどうにかして身につけてもらえれば、と思っていた。

 ヒロノリの考えてる将来にも関わってくる事だ。



(宿舎を作ったら、そこの作業に入ってもらうか?)

 本当に先の話になるが、そういう事も考えていた。

 増え続ける一団員を抱えるために独自の宿舎も必要になる。

 社員寮を抱えねばならないほど、ヒロノリの一団は急速に成長していた。

 まだ周旋屋の宿舎でどうにかなってるが、いずれそこに収まり切らなくなる。

 早めに自前の宿舎などを用意しておきたかった。

 そうなれば施設維持のために人が必要になる。

 建物の補修・修繕といった大がかりなものでなくても、掃除などは定期的にやらねばならない。

 料理も用意するならそれなりの人間が必要になる。

 洗濯にいたっては定期的にやらないと衛生上問題が出る。

 裁縫までは必要ないかもしれないが、繕いが出来るだけでも大きな利点だ。

 そんなわけで、家事全般が出来るというだけで今後の必要性が上がってくる。

 それを見越してというわけではないが、出来るようになっておいてくれると助かる。

(それが無くてもね……)

 将来、嫁にいく事もあるだろうから、それに備えておいてもらいたい。

 貰い手は同じ孤児院の中にいる事だし。

(こっちの予定は狂っちまったけど)

 光源氏よろしく、幼少の頃から手なずけようと思っていたが、それは今のところ全く進んでない。

 そんな余裕が全く無かった。

 こればかりは、計画が頓挫して良かったというべきなのかもしれない。

 主に女の子達にとって。

(こうなったら、OLに期待するっきゃねえかな)

 事務員に女の子を抱え、その中から綺麗どころを秘書に据えて────などと邪な考えを抱いていく。

 いまだにこの発想を捨ててないあたり、執念を感じる。

 そのまま頑張れば、いつか成就する日が来るかも知れない。

 しかし、そんな恋愛要素的な何かがヒロノリに訪れる可能性は、多分それほど大きくは無いと思われる。

 異世界にやってきて金運やら仕事運には恵まれ始めてきたが、恋愛運などについてはこれっぽっちも上手くいってない。

 おそらくそういう星の下に生まれたのだろう。

 そこも将来的に改善されるかもしれないが、今のところその道は全く見えてこなかった。

 仕事が忙しいという理由もある。

 そういった諸々の事情も含めて、何か哀れをさそうものがあった。


 書き溜め作ってる最中につき、続きは明日。

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