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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第三決算期

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転職27日目 OLさんですよ、オーエルさん

 個人的な切ない思いをよそに、一団の方は着実に動いていく。

 レベルアップを迎え始めた新人達に加え、更に新人を入れていく。

 レベルの上がった者達は五人一組でまとめて活動させていく。

 レベルアップした者の変わりに次の新人を入れて教育を続ける。

 そんな流れが出来上がり、一団の規模は更に増大していった。

 こうなると本格的に事務員が必要になってきた。



 事務作業に必要な技術をもった人間はまだ育ってない。

 なので、周旋屋の方にそれが出来る人間を用意してもらった。

 新人達が育つまでのつなぎである。

 もちろん、望むならば事務員として継続的にやってもらおうと考えてもいた。

 作業員としてやって来た者の能力と人柄によるが。

 仕事が出来ない人間では困るし、ズルや悪態をする性格では一緒にやっていけない。

 その当たりが不安であったが、そこは周旋屋も商売である。

 飛び抜けて優れてるとは言えないかもしれないが、十分以上に仕事が出来る人間を寄越してくれた。

 まともな人員がいない一団にとって、これはありがたいものだった。

 何せ事務作業が出来る人間が本当にいないのだから。



 やってきた事務員にお願いする仕事は、一団の人員の名簿作り。

 それと、徴収額の算出である。

 人数が増えてきたので、どんな人間がいるのかをしっかり把握しておかないといけない。

 組を編成するためにもレベルがどれくらい上がってるのかを知る必要もある。

 また、人事評価としての側面もある。

 どれだけの成績を上げているのかを知っておけば、今後役立つ場面もあるかもしれない。

 一団内における評判なども加味しておきたい。

 やはり人間なので、気が合う相手やそりの合わない相手も出て来る。

 衝突しそうな人間同士で組ませても問題しか発生しない。

 馬が合う者同士とはいかないにしても、せめて反発が発生しない者達で組ませておきたかった。

 同じ組にそりの合わない人間を入れても内部崩壊を起こすだけである。

 それを乗り越えて人間として成長を────などというような道徳的な事を言ってる場合ではない。

 そもそも反発し合ってる者同士が上手くやっていけるわけがない。

 無駄なストレスをためて喧嘩になるだけなので、馬鹿げた事はさせない方向で動いていく。



 徴収額の算出の方は一団の死活問題でもある。

 今後、事務員などを確保するためにも、土台となる収入が分からないとどうしようもない。

 それに、適切な金額を徴収するためにも、稼ぎがどれくらいなのかを把握しておく必要がある。

 核の売却による金額は周旋屋から領収書を出してもらえるので、それを元に記録していける。

 事務員にはそれを元に、どのくらいの金額が必要になるのかをはっきりさせてもらう事になる。

 金が絡む事なのであまり外部の人間には手を就けてもらいたくないが、こればかりは仕方ない。

 いずれ一団の人間が育つまでは、周旋屋の作業員に頑張ってもらうしかない。

 だからこそ、やってきた事務員を一団で抱えられればと考えていく。

 可能な限り内部情報を外に漏らさない為に。

 やましいことはして無くても、無闇に外部に漏らせない事もある。

 何がどうやって問題に発展していくか分からないのだから。



 ただ、人員の引き抜きは難しい。

 周旋屋の方も、使える人間が流出するのは避けたいと考えている。

 特に事務作業などの頭を使う者は貴重だ。

 寺子屋のようなところで最低限の読み書きと計算を身につけるてる者は多い。

 しかし、仕事で必要になる程の文章力や計算力を持ってる者は少ない。

 それが出来る人間を簡単に手放す事が出来ないのだ。

 ヒロノリもそれは分かるので無理強いは出来ない。

 代わりになる人間がいない事には周旋屋も納得しないだろう。

(代わりになる人間を育てるしかないか)

 以前考えていた、事業の一環としての人員育成を考えていく。

 モンスター退治による経験値を利用した人員育成だ。

 危険であるし手間もかかるが、通常より早く技術習得が出来る。

 それを用いて代わりの人員を育てようか、と考えていく。

 とりあえず周旋屋で作業員をしてる者達を育てていく事で代わりにならないかと。

 どれだけ需要があるか分からないが、それも真面目に考えていく。



 そういった事も交えながら、新人育成が進んでいく。

 その中に、一団員待望の女子がついにやってきた。

 第一弾として十人程入ってきた女の子達は、

「うおおおおおおおおおおおおおおおお!!」

と怒号のような歓声で出迎えられて腰が引けていた。

 それが熱烈な歓迎であると分かっても顔が引きつるのを止められない。

『え、どういう事?

 もしかして私、来るところを間違えた?』

 そんな表情で一団の連中を見つめている。

 さすがにヒロノリもどうしたもんかと思ってしまう。

(もうちょっと抑えてくれるとありがたいんだけどなあ……)

 何せ貴重な人員である。

 逃げ出されたらたまらない。

 そうなる可能性があるので、出来るだけ態度を考えてもらいたかった。

 もっとも、彼女らにしても帰る場所がそうそうあるわけではない。



 田舎に帰れば家は確かにあるが、やってきてすぐに戻るとなると体面もある。

 よほど酷い待遇であるならともかく、仕事先から簡単に逃げてくるというのはやはり良い目で見られる事は無い。

 それがその後の縁談に影響する事だってある。

 女の場合、縁談はかなり大きな意味を持つ。

 永久就職ではないが、嫁にいくというのは相手の家に入るという事になる。

 出向く先が、職場か嫁ぎ先という違いはあっても、そこでつとまるかどうかというのでは似てるものがある。

 仕事と結婚を同一視する事も出来ないが、行った先でつとまらないとなると「この子は大丈夫だろうか」と危惧されてしまう。

 男もそれは同じで、一つの所でつとまらない人間を懸念する。

 少なくとも定められた期限は全うしないと次に響く。

 だからこそ、可能な限り全うに仕事を果たそうとする。

 業務内容がよほど人の道を外れたものでない限りは。

 そういう意味では、ブラック企業的な事をやってるわけにはいかない。

 いくらすぐ逃げ出したと言っても、勤め先の雰囲気などが悪ければ「なら、仕方ない」となる。

 ヒロノリが懸念してるのはそこだった。



(こいつら、やっぱり少しは常識を身につけてもらわないと)

 あらためて一般教養の修得を全員に義務づけようと考えていく。

 既に何人かが身につけているが、そいつらの考え方や動きは確かに変わった。

 考え無しに突撃するような所は少なくなっている。

 それに、自分の考えを押しつけるような所も減っている。

 何が最善なのかをとりあえず考えるようにはなってきていた。

 無駄な争いも避けようとしている。

 やはり、常識的な考えや知識があると違うのだなと思わせた。

 それを他の連中が早く身につけるよう心の底から願う。

 折角来た嫁さん候補達が逃げ出さないように。



(俺のハーレム建設のためにも)

 ヒロノリはまだ諦めてはいなかった。

 続きは明日。

 時間の余裕があればいいなー。

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