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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第二決算期

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転職25日目 ぼくらのつくる、すてきなしょくば

「では、これより人員の募集を始める。

 いいな、お前ら」

「おう!(全員分)」

「お前らにはその分の負担も発生してくる。

 一人当たり二割を稼ぎから際し引いていく事になる。

 すまんが、納得してくれ」

「おう!(全員分)」

「募集した奴らには戦闘で作業をしてもらう。

 でも、何人か事務作業関係の技術を上げていってもらう。

 直接戦闘には関係ないけど、これから一団を大きくしていくための布石だ。

 理解は出来なくてもいいけど、納得はしてくれ」

「おう!(全員分)」

「それが出来たら女の募集もしていく。

 だが、まだ先の話だ。

 戦闘出来る奴を増やして、事務作業が出来る奴も出来上がってからになる。

 受け入れ体制が出来ないとどうしようもない。

 それを造り上げるためにも頑張ろう」

「おう!(全員分)」

 そんなこんなで新たな一歩を踏み出していく。



 人員の募集が始まった。

 最終目的は、女の子を集めての嫁取りという下心満載というものである。

 その前段階として野郎共の確保が急がれたが、これは稼ぎを増やし、必要な費用確保の為だった。

 どうしても出て来る損失(死亡含む)を考え、人手は多い方が良いというのもある。

 とにもかくにも人手が必要だった。

 周旋屋の営業に頭を下げ、ささやかながら応援資金も出してお願いした。

 言われた周旋屋も驚いたが、自分らの仕事との兼ね合いもあるので素直に応じた。

 ヒロノリ達が出した金の影響もある。

 そのおかげもあってか、周旋屋は積極的に人を集めてきた。

 それはもう手当たり次第に。

 余ってる人手があれば全部抱え込む勢いで。

 青田買いどころではない。

 何は無くても数を揃えようという魂胆で全てを進めていった。



『明るい職場です』

『アットホームな雰囲気です』

『能力に応じて昇給あり』

『仲間があなたの到着を待ってます』

 そんなキャッチコピーを綴ったチラシも作った。

 それだけヒロノリ達も熱を入れていた。

 当然ながらあおり文句に信憑性はない。

 誇大広告どころの話ではなかった。

 公共広告機構があれば即座に乗り出すのではないかと思える程である。

 なお、呼び込む為の言葉がなんとなくブラック企業風味なのは、ヒロノリの経験によるものである。



 だが、そんなものに慣れてないこの世界の人間には効果抜群であった。

 もとより家でももてあましていた冷や飯食い達である。

 家からは追い出す場所が出来たと喜ばれる。

 追い出される方はたまったものではないが、他に仕事もない。

 もとより地方からの集団就職として冒険者になる、というのはそれほど珍しいものでもない。

 行く先がどこになるかの違いがあるだけだ。

 それが今回、受け入れ先の方から名乗りを上げてくれたからそこに行くだけである。



 集まった者達はすぐに戦闘に放り込んでいった。

 その為に今までの戦闘編成も変えていく。

 五人でやっていたのを四人に減らしていたが、それを更に二つに分ける。

 レベルの上がっていた者達二人に新人一人。

 その割合で戦闘をやらせていった。

 当然負担は跳ね上がるが、それでも出来ない事は無い。

 安全性の面でかなり危険が増大するが、増えていく新人を鍛えるための措置として割り切るしかなかった。

 それでもレベルの上がった者達がいるので戦闘は順調に進んでいく。

 最初はヒロノリも三人でやっていたので、そう考えればそれほど無理はないとも言える。

 その時はレベルもろくに上がってない状態で、しかも孤児を二人つれていたのだし。

 それに比べれば仕事の確実性は上がっている。

 ただ、それでも余裕がある状態ではない。

 早い内に新人のレベルが上がり、戦闘が楽になるように願った。



 その間にヒロノリは全員から事務員用の費用を徴収していった。

 負担は一人当たり二割。

 税金で三割引き抜かれてるのに、そこから更に取り上げるのだから大変な事になる。

 それでも一団の者達は文句は言わなかった。

「すまんが泣いてくれ。

 これも将来の嫁のためだ」

「おう!(全員分)」

 ……彼らは非常に快く納得してくれた。



 そして二割の徴収というのはとんでもなく大きなものだった。

 一人当たりの稼ぎによるが、一日あたり三千銅貨近くの徴収額になる。

 それが人数分である。

 募集をかけてかけてかけまくった一団は、二ヶ月で六十人に増加している。

 その人数がもたらす収益は、一ヶ月で銀貨三百枚を突破した。

 この世界における一般的な庶民平民の年収にあたる。

 そうなる間、新人に受け入れと既存の一団員への割り振りなどでテンヤワンヤになっていたが。

 だが、手元に残った金額にヒロノリはさすがに唖然となった。

「なんだこれは?」

 周旋屋に預けた預金残高の大きさに頭がふらふらしていった。

 前の世界の時も含めて、こんな金額は拝んだ事がない。

 単純比較出来るものではないが、自分の年収分の貯金というか稼ぎなど見た事無かった。

 それを一ヶ月でたたき出せるようになっている。

「人がいるって…………凄え」

 効率よく運営されてる組織とは恐ろしいものだった。



「────というわけで、必要な資金は集まった」

「おう!(全員分)」

「先に入った連中で、事務作業に必要な技術を上げてる者もいる」

「おう!(全員分)」

「このままいけば、遠からず一般職の事務員を抱える事が出来るようになるだろう」

「おう!(全員分)」

「我が一団にOLさんがやってくる」

「おう!(全員分)」

「だが、まだ万全とは言い難い」

「おう!(全員分)」

「これから更にレベルを上げ、人数を増やし、人手を受け入れるのに盤石の体制を造りたい」

「おう!(全員分)」

「目標、戦闘員一百人だ」

「おう!(全員分)」

「更に事務が出来る人間も育てておきたい」

「おう!(全員分)」

「こっちはとりあえず十人を目処にしておこうと思う」

「おう!(全員分)」

「その為にももう少しレベルを上げ、資金を稼いでおきたい」

「おう!(全員分)」

「とりあえずあと二ヶ月ほどがんばってくれ。

 周旋屋に募集も出しておこうと思う」

「おう!(全員分)」

「なお、女の事務員にも最初は一緒に戦闘に出てもらう」

「おう…………え?(全員分)」

「彼女らも仕事に必要な技術を身につけてもらう」

「…………(全員分)」

「お前らの負担も大きいだろうが、これはしょうがない。

 彼女らがちゃんと仕事が出来るようになるまでがんばってもらいたい」

「…………!!(全員分)」

「おそらく半年くらいは一緒に活動してもらう事になるだろう。

 よろしく頼むぞ」

「おおおおおおおおおおおおおお!(全員分)」

 これまで以上に士気が上がった。

 ヒロノリもびっくりである。

(……女って凄いなあ)

 色々と驚く事が多かった。



 そんなこんなで毎日が過ぎていく。

 ヒロノリがこの世界に来て一年になろうとしていた。

 続きは明日。

 一話だけでも出す事が出来れば良いけど。

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