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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第二決算期

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転職23日目 経営運営を考える 4

 考えなくてはならないのは人員の確保の方もだ。

 町の方からの調達は既に限界に達していた。

 冒険者もその候補もこれ以上入団してくる気配は無い。

 最初の頃に一気に五人が死んだ事が引っかかってるようだ。

 おかげで尻込みする者達が出ている。

 それについては事あるごとに、否、特に何の話題になってなくても話題としてあちこちで吹聴している。

 死んだ連中がどうやって死んでいったのかを。

 無謀にモンスターに突進していって返り討ちにあったと。

 この一事で一団の悪評になってはたまらなかった。

 全ての責任は死んだ者達にあるのでそこに帰すしかない。

 実際、嘘は何一つ無い。

 誇張すら無い。

 紛う事なき事実なのだから。

 保身に走ってるわけではないのだ。

 デマを払拭するためである。

 完全なる自己責任なので、一団を絡められたくない。

 もちろん周りの者達もちゃんと理解している。

 なので一団の悪評にはなってない。

 しかし、あらためてモンスター退治の危険性をしらしめたという事で、誰もが警戒心を増大させていた。

 怯えとは違うのだが、安くても安全に稼げる仕事と天秤にかけている。

 どちらが良いかと考え、それで安い仕事を選んでいた。

 そちらであっても食っていけるし、少しずつでも金は貯められる。

 それで十分と考える者も多い。

 健全な考え方なのでそれに異を唱えるつもりはない。

 だが、人員確保に歯止めがかかったのは確かだ。

(こうなったら、他から連れてくるしかないか)

 当然の結論としてそこにいきつく。



 冒険者という仕事は人気があるわけではないが、決してさげすまれてるわけではない。

 モンスター退治というこの世界にあって重要な役割を担ってるので、必要性は理解されている。

 仕事の内容が危険なので敬遠されてる、というだけである。

 ただ、モンスター退治そのものはそれほど珍しい仕事というわけではない。

 むしろ生活に密着したものだ。

 モンスター発生地帯である国境の近くともなればその傾向は大きくなる。

 日常的にモンスターの脅威にさらされてるから当然である。

 村や町でも相応に対処はしている。

 たいていの村や町では冒険者以外の者達による自警団的な集団が結成されていたりする。

 これらがモンスターに対処しているのが普通だ。

 それでも手が足りない時に冒険者に助太刀を頼む事がある。

 モンスター退治は、盗賊退治や害獣駆除に近いものがあった。

 人や獣よりはるかに危険な存在なので、対処も命がけだが。

 それでもモンスター退治はそれほど珍しい事でもないし、それを主な生業にしてる冒険者のなり手もいないではない。

 どうしても及び腰になるので、必要性の理解に対して希望者が少ないのは確かだが。

 だから、募集をすれば意外と集まるとは思っていた。

 特にモンスターの被害を受けにくい国の内側の地域では、人手が余る傾向がある。

 国境/モンスター出没地域の近くなら自警団としてモンスター退治をしていくが、国の内側ではそれは出来ない。

 なので就職として国境地帯に冒険者として出向く者が多い。

 工房・商会などへの奉公先を見つけれなかった時の手段ではあるが、一応なり手はいる。

 それらを効率的に集める事が出来ないかと考えていた。



(まずは声をかけないと駄目だな)

 募集やら勧誘やらをしていかねばならない。

 宣伝とも言える。

 人手が余ってるならうちに、という事をしらしめていかねばならない。

(こっちの世界でも青田買いか)

 事前にある程度情報を出しておく必要がある。

 可能なら内定もとりつけておきたい。

 契約も出来るならしたいものだった。

 寸前になって「辞めます」なんて言われたらたまらない。

 確保した人間は確実に人員に加えたかった。

 もちろん、駄目なら駄目でその先も考えねばならない。

 誰もがモンスター退治に出向けるわけではない。

 体力・戦闘力の素質があっても、気質的にそぐわない者もいる。

 それらのその後についても考えておきたかった。

 連れてきて、使えないから放り出すというわけにもいかない。

 人情として辛いし、一団の評判にも関わる。

 最後は本人のやる気次第としても、ある程度はヒロノリで道筋を提供してやりたかった。



(そしたら、戦闘以外の技術を伸ばす為に、ある程度モンスター退治に同行させるか)

 人材育成としてのモンスター退治というのを実行していく必要がある。

 周旋屋で仕事を回してもらうにしても、技術があった方が良い仕事をとれる。

 そうなれば、一回の仕事で手取り八千銅貨以上もある。

 通常の作業に二倍はいける。

 最低限そこまで面倒は見ておこうと思った。

 どうしてもモンスター退治にいけなかった者達の今後のためにも。

 そして、そんな者達を見捨てる事無く面倒を見たという評判や名声を得るためにも。

 人を集めるのに、仕事を受注するのに評判というのは大きな意味を持つ。

 営業をしていた時にいやというほどそれを思い知った。

 この世界では、可能な限り評価を高めていきたかった。

 そうすれば、一度や二度くらい問題を起こしても大目に見て貰える。

 評判・名声というのはこれで馬鹿にならない効果を持っている。



 ヒロノリとしても、出来ればそういう者達を放出したくはなかった。

 最終的に一団としてではなく、周旋屋の仕事を選んでいくのはやむを得ないとしてもだ。

 出来れば一団の事務員として確保したい所である。

 この先の拡大と成長を考えるならば。

 現に今も必要としている。

 あちこちの村や町に宣伝にいく営業員を。

 人を集めるのは大変な事だし、それは専属で行う人間が必要になる。

 特にこの世界においては移動に制限がかかる。

 自動車に鉄道なんてない。

 新幹線なんて夢のまた夢。

 飛行機だって存在しない。

 船はあっても帆船で動力はついてない。

 国内のあちこちを移動するだけでかなりの時間を必要とする。

 交渉をまとめようとすれば、一ヶ月二ヶ月という時間は覚悟しなくてはならない。

 専属の営業員が必要だった。

 そして、それらが集めてきた情報をまとめる者達も。

 今の町から無理なく行ける範囲で人を集めるとしても数人の人員は確保しておかねばなるまい。

 どうやってそういった者達を確保するかが問題だ。

(そいつらの給料をどうやって出したもんだか)

 やるとしたら、全員から必要な金額を徴収するしかない。

 納得してもらえるかが悩ましい。

 続きは明日。

 もっと書きたいが時間が厳しい。


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