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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第六決算期

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転職128日目 開拓日記16

 ヒロノリにとって、国にある拠点は既に収益を確保する為の土台としての価値しか感じていなかった。

 そこにいる一団員などは大事であるが、国そのもの(というか貴族など)がどうなろうと知った事ではなかった。

 取り戻した村を横取りされた恨みはいまも消える事なく残っている。

 また、あれが最初で最後という保障もない。

 発展した拠点もいずれ貴族に横取りされるかもしれないと思ってるので、いつでも切り捨てられるように備えている。

 少なくとも心構えという面ではとっくに完了している。

 今まで投資した分を失うのは痛いが、それも損失の切り捨てと思って割り切る事も出来る。

 何しろ、手に入れた開拓地の利益が大きい。

 邪魔者がいないという最高の条件も捨てがたい。

 どれだけ成長しようと、国にある拠点はその程度のものだった。



 残念ながら、いつ奪われるかわからない状態にあるものにそこまで執心してられない。

 前の世界における独裁政権と同じだ。

 ある日突然、それまでやってきた事を横取りされるというのも珍しくないという。

 だからこそ、誰もやる気がなくなるのだろう。

 独裁国家が発展しない理由には、そういう事も含まれてるのかもしれない。

 この世界における貴族も似たようなものだった。

 幾らか独裁者よりはマシなのかもしれないが、ヒロノリは苦労した成果を横取りされた。

 その事実に変わりはない。

 だからこそ、国に残してるものにはいつか失うという割り切りをせねばならなかった。

 その上で、それらを土台にして出来る限り開拓地を拡大・成長させたかった。

 幸いな事に、国にある拠点はその役目を果たしてくれている。

 資源や人材の導入地としてこの上なく機能してくれている。

 開拓地の方がもう少し発展するまでこの調子でいきたいものだった。



 ただ、開拓地の開発を考えると、今はまだ国の方の拠点を捨てるわけにはいかなかった。

 独立してやっていくには、まだまだ人も資源も足りない。

 産業を成り立たせるにはどうしても人が必要になる。

 それを確保するにはまだ国の方から色々手にいれねばならなかった。

 金属は特にそうで、今のところ開拓地で産出出来てない。

 これを入手するために鉱山を手に入れたいところだが、その場所までは結構な距離がある。

 そこまで至るには、もっと多くの人員が必要だった。

 冒険者だけではない。

 それを支える土台となる産業を運営するための人間が、である。

 農産物に様々な職人などなど、数多くの冒険者を養うにはそれより多くの一般的な産業が必要になる。

 それだけでも数千人、いや、一万人を超える人数が必要になるだろう。

 今の開拓地にそれだけの人数はない。

 まだまだ国に頼るしかないのが現状だった。

 ヒロノリが生きてるうちにそこまで行き着けるかどうかもあやしい。

 だが、その為の土台くらいは作っておきたかった。



 幸い農産物だけなら自給自足に近くなってるので、まずはこれを発展させていく。

 必要な人数を確保するには食っていく物が必要になる。

 それを手に入れるには、やはり農業しかない。

 幸い、土地だけは有り余ってるのでそこを開墾していく事は出来る。

 それに、住み着いた者達で結婚する者も多く、自然と人口増加もしてきている。

 それらを支えるためにも、今は農業を振興せねばならないのかもしれなかった。

 農具に使う金属をどうするかは悩みの種だが。



(早めに鉱山を手に入れないと)

 どうしてもそこに行き着く。

 やはり自前で手に入れないとどうしようもない。

 他の誰かに左右されずにいくには、全てを自分でどうにかするしかない。

 何年先になるか分からないが、必要な事は全部やるつもりだった。

 今すぐ出来ないならその為の布石を打っておく。

 どんなに遅いものであっても、確実に前進するならそれで良い。

 準備が出来たなら一気に進めるが、そうでないならじわじわとやっていくしかない。

 出来ない事をやろうとしても無駄でしかない。

 出来るようになるまで頑張るしかない。

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