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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第六決算期

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転職126日目 開拓日記14

 開拓地への入植者を増やす事による利益は色々ある。

 単純に食料生産を自分達で賄える。

 これにより、国元から食料を買い取る必要性が薄れる。

 その分他の事に資金を使えるので、収穫が増えるのは望ましい。



 ただ、開拓地で収穫されたものは、基本的に国の拠点などに卸される。

 直接国の方の商人などに卸すと足が付く可能性が高くなるので、それらは基本的に禁止にしている。

 そのためどうしても販売先が限られる。

 だが、それでも大量に消費しているので今の所問題は無い。

 その他にも、現地の冒険者相手への売却もある。

 これらが開拓地の農家の収入となっている。



 農家にしても、開拓地で田畑を持ってる事の利益は大きい。

 ここでも収穫のうち幾らかを一団におさめねばならないが、その取り分は二割である。

 基本的に三割をとっていく国よりは安い。

 なので、差額の一割分は純然たる収入となる。

 それが経済的にも精神的にも余裕となっていく。

 一割と言えども、収穫量が増えれば結構な差になる。

 それが自由になるとなれば、生活の余裕は大きい。

 生活の余裕は何も金銭や物理的に反映されるだけではない。

 多少飢饉などがきても、蓄えがあれば少しは生き延びられる……そんな事にもつながる。

 生ものの保存期間には限界があるが、それでも蓄えていられる分があれば憂いは少ない。

 もちろん、売却して金銭とする事も出来る。

 そうやって手に入れた金でちょっとした贅沢も出来る。

 生活に関わる日用品になる事がほとんどだが、それらが生活の負担を減らしてくれる。

 一番大きいのは養える家族が増える事である。

 一割分の差が家族が増えても支えれる事にもつながる。

 それもあってか、開拓地においては割と出産が増えているように思えた。

 比較対象がないので他所と比べる事は出来ないが、それでも結構多いように思える。

 それでも困窮してるように見えないのは、自由に使える分があるからであろう。



 一団も徴収した収穫の二割分の食料のおかげで金銭的な余裕が出てきている。

 これらを食事として支給する事で、一団員を養う事が出来る。

 具体的には、各拠点の事務所における食事。

 給料を抑えるかわりに、これを出す事で大分金銭負担が減っていた。

 食材の現物支給として給金と合わせる事もある。

 こうする事で、一人当たりの給料を以前より銀貨五枚ほど低下させていた。

 給料が減る事で金額上は損をしてるのは当然なのだが、無料で食材が手に入る事で実質的にはそれほど実入りが減ってるわけではない。

 一食銅貨一千枚というこの世界、料理や食材の支給だけでも十分元がとれる。

 独身者は時間の都合で外食に頼らざるえない事もあり、これはありがたいものだった。

 なにせこの世界、火をおこすのだって手間がかかる。

 料理するだけでも一手間かかるので、働いてる者は外食に走る傾向にあった。

 既婚者など家庭を持ってる者も同様の理由でさして損をしてるわけではない。

 食材が無料で手に入るので、その分の出費はほとんどない。

 もちろん支給される食材だけでは満足できない事もあるので、追加で何かを買ってくる事はある。

 それでも出費は微々たるもので、可処分所得は大きい。

 不平不満はそれでも出て来るものだが、おおむねこれらは納得のいく範囲におさまっている。

 なお、独身者は料理として現物支給を求め、既婚者が食材の支給を求める。

 そのどちらを選ぶかは各自の自由となっている。

 事前に申請は必要であるが。

 他にも、食材をもらい、それを売却して小遣いにしてる者もいる。

 だが、売ってどれくらいの儲けになるかはその時の相場にもよるので当たり外れが大きい。

 この場合、食べ残ったものを金にしてるというというのが多いので、手に入れる金銭は本当に小遣いといったものであるようだが。



 こうして金銭の負担が低下した分、一団は事務員を増やす事が出来ていた。

 実質無料で入ってくる食材は収入の底上げでもある。

 田畑を持ってる事の強みを嫌でも理解する。

 何より大きいのは、食料の備蓄をして緊急時に備える事が出来る事である。

 保存期間が無限にあるわけではないので、どうしても古いものは捨てていくが、それでも蓄えがあるのは大きい。

 金銭もそうだが、様々な備蓄というのは何か起こった時の備えになる。

 経済を回すために金を使え、という話は以前の世界で何度か聞いたが、それだけが経済ではないという事をヒロノリは知った。



 もちろん一団で行ってる事業で、雇った作業員に振る舞う食事などにも用いられている。

 金銭的な報酬は抑える代わりに食事が出るというのは結構大きく、これのおかげで一団は作業員の確保を多少は容易にこなす事が出来ていた。

 金銭が基本であるのだが、他に特典がある事でお得感を出せる。

 人間というのはこういうおまけのようなものがあると得をしたような気がする。

 実際の収支がどうなのかも考える必要があるが、そこまで深く考える者はそうはいない。

 ただ、一団の場合金銭と食事や食材の支給の合計が、金銭報酬よりは高くなるように設定はしている。

 それこそ銅貨数百枚程度であっても、少しは利益になってるようにはしていた。

 少なくとも今のところは。



 何にしても収入源が増える事で、一団の勢力は更に大きくなっていった。

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