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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第六決算期

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転職123日目 開拓日記12

 まずは相互の行き来を無くし、孤立させていく。

 小さな集団は率先して潰していき、敵の数と行動範囲を減らしていく。

 一百体程度の小規模な集団もおり、これらは確実に殲滅していった。

 一つ一つは小さくても、まとまれば大きな力になる。

 また、繁殖して数が増えたら厄介だ。

 土台となる者達を潰す事で、これ以上の増加を防ぐ事にもなる。

 これから何年かかるか分からない事である。

 その間に倒した敵と同数の小鬼が生まれてしまっては今がない。

 相手を少しでも減らす為には、容赦を一切してはならなかった。



 小鬼達との戦闘が拡大と激烈化の一途を辿っていく。

 それに比べて開拓地の拡大はそれほど進んでないように見えた。

 そうそう簡単に田畑を広げ、産業を成長させる事は出来ないので仕方ない。

 こればかりは時間をかけるしかない。

 それだけの時間があるかどうか分からないが、今やっておかねば将来も今と変わらない状態にある事になる。

 今日明日に変化がなくても、三年五年先におおくの実りがある事を願ってやっていくしかない。



 それらを支える一団の組織も大変な事になっている。

 開拓と戦闘の両方を支えるため、あちこちを飛び回っている。

 開拓はどこまで進んだのか、必要になってる道具や消耗品は何なのかを知らねばならない。

 それを調べるため、調べた結果を成果にするために、別の者が動いていく。

 戦闘のほうも同様で、戦いに直接参加する事は無くても、必要な物を揃えていく事が求められる。

 何がどこに蓄えられ、それを何時頃用いていくのかを考えていかねばならない。

 消耗品は常に不足し、補充の為にあちこちへの手配をしていくことになる。

 これらを一百人程度の人数で回している。

 忙しくて全然手が足りない状態だった。

 事務処理能力の高い者がどれだけいてもだ。

 一人の処理能力には限界があり、それを超えた作業は後回しになってしまう。

 そもそも組織自体がそれほど出来上がってるわけではない。

 一応部署として分けてそれぞれの分担を任せているが、それらが上手く動いてると言えるかどか悩ましい。

 ちゃんと動いてるにしても、他の部署と上手く連携がとれてるかは分からない。

 まだまだ発展途上の組織であるだけに、失敗の連続でもある。

 その失敗を少しでもあらため、今後に活かしていくしかない。

 それが出来るだけの能力と、それをやろうという気概があるのは、一団にとって幸いだろう。

 事務作業に従事する一団員達は、毎日起こる失敗を少しずつでも減らし、全てが上手く動くように改善を続けていっている。

 そのおかげで、どうにか破綻せずに開拓地の運営は進められていった。

 いずれそれも潰えるかもしれなかったが。



 そういった運営状況は分かってるので、どうにかして改善したい。

 ヒロノリとてそう考えてはいる。

 だが、やりようがない。

 人数を増やすにも、一団の賄える人数はとっくに限界に到達している。

 仕事内容の変更や部署の改編なども考えたが、それをやる余裕もない。

 そもそもどうやって変えていけば良いのかの目処もたたない。

 今の段階で出来る事はやっている。

 今は他に手を出しようがなかった。

 やれる事と言えば、運営事務に過度な負担をかけないように、他の仕事をある程度落ち着かせるしかない。

 全体的な作業をある程度止める事がこれにあたる。

 絶対的な作業量が減れば、当然ながら負担も減る。

 やれる事と言えばそれしかなかった。



 そうなると、何を優先するのかを考えねばならなくなる。

 小鬼との戦闘は避けて通れないし、開拓も休むわけにはいかない。

 しかし両者を同時にすすめていけるほどの余裕も無い。

 どちらかを抑えるしかなくなる。

 それを決める会議は、なかなか決着が付かずに延々と続いていく。

 どちらもそれなりの利点があるから簡単には決められない。

 かくて白熱した会議は、結論を出せないまま続いていこうとした。

 しかし、それでは何の意味もない。

 話を聞いていたヒロノリは、双方が言いたい事を全て言い切ったのを見て結論を出した。

「まずは目の前の小鬼を倒す。

 開拓の方はそれから本腰をいれる」

 戦闘優先派が安堵していく。

「ただし、時間もかけられない。

 二ヶ月。

 最大で二ヶ月。

 その間に決着をつけろ。

 目の前にある小鬼を、それまでに片付けろ」

 それを聞いて全員の顔に緊張が走った。

 二ヶ月となると、全てを急いで片付けても足りないくらいの時間である。

 一刻の猶予もならなかった。

 戦闘が優先されたとはいえ、それを求めていた者達も安心しているわけにはいかなくなった。

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