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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第六決算期

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転職114日目 開拓日記3

 冒険者達が集められていく。

 数人単位の一群から十数人の規模のものまで、とにかく移動出来る者達から開拓地に送り込まれていく。

 相手の戦力が分からないのでどれだけ集めればよいのか分からず、とりあえず手当たり次第となってしまう。

「とりあえず二百人を集めます」

 会議の席で当面の目標数値が出された。

「この開拓地周辺を守るとなるとそれくらいの人数が必要なので」

 広さを考えるとそれくらいは欲しいという事だった。

「あとは偵察結果次第になります。

 ただ、今後の事を考えるともっと必要になるとは思います」

「二百人でも足りないのか……」

「ええ、防衛だけならそれだけあればどうにかなるとは思いますが。

 でも、攻撃を仕掛けていくとなるとどうしてももっと必要になります。

 ここを守る分も残さないといけませんし」

 攻撃だけを考えれば良いというわけではない。

 開拓地には戦闘とは関係のない農民や職人もいる。

 また、田畑を荒らされずに守る為には、それなりの人数を残さねばならなかった。

「おそらく、最終的にはより多くの冒険者を集める事になるかと」

「そんなに必要になるかー」

「戦闘だけってわけにはいかないですからね。

 偵察にしろ、何にしろ、余裕があれば楽にやれます」

「そりゃそうだけどさ……」

 それだけの人数を抱えるとなると、食料だけでもかなりの数が必要になる。

 消耗品などを考えたら、出費は更にかかるだろう。

「頭が痛いよ……」

 人命だけではなく、金銭的な消耗も大きい。

 モンスターと戦うのが仕事の冒険者であるが、それでもこうしたおおがかりな戦闘は避けたいものだった。

 何もしなくても失うものが大きすぎる。

「やるしかないのは分かるけど……」

 出費の大きさに頭を抱えたくなる。



「食料などは国の方の拠点から順次輸送していきます。

 必要になる物資のほうも。

 また、小鬼の方もなるべく早く片付けられるよう努力します」

「頼むよ。

 でないとこちらも戦わないうちに崩壊しちまう」

 財政的な負担はそれくらい重かった。

 呼び集めた冒険者に周辺のモンスターを倒させて収入を得るにしても、それでも出て行く分は大きい。

 短期決戦に持ち込まないと、金銭的に破綻しかねなかった。

「それと、集まってもらった冒険者ですが。

 泊まる場所がないのでテントに入ってもらってます」

 これも頭の痛い問題だった。

 急いで呼び集めたので寝泊まりする場所を用意が出来ない。

 最低限の準備として堀や柵を建築してるが、必要な数には足りてない。

 今後人数が更に増えるようなら、更に増設せねばならない。

 人手も資材もそれなりにあるが、時間が足りない。

 集めた者達に足りるくらいの用意が出来る頃には、小鬼を殲滅してるかもしれなかった。

(さすがにそれは無いか)

 いくらなんでもそこまで早く終わるとは思えないが、急遽建造しなければならないのも痛手である。

 その分、他の方面での作業を停止しなければならない。

 田畑の拡大や堀や柵、水路などの整備が後回しになる。

 攻撃に備えなければ、そういったものも無駄になるのは分かってるが、それでも作業全体への影響は出てしまう。

 何より機密保持がある。

 やってきた冒険者を帰してしまったら、開拓地の事が漏れる可能性が出てしまう。

 というより、確実に漏洩する。

 人の口に戸は立てられない。

 それを防ぐためには、冒険者の居場所を作らねばならなかった。

 呼び込んだ冒険者の居場所は、どのみち必要不可欠である。



「それと、冒険者の穴埋めの方ですが」

「すぐには無理だろ」

「はい。

 なにせ一気に二百人ほど引き抜きますからね。

 どうしても穴が空きます」

「代わりの人間も簡単に集まるわけでもねえしな」

「新人を育てない事にはどうにもなりませんよ」

「こればっかりは前から全然変わらないな」

「集まってくれる人がそれほど増えないですからね」

 少しずつしか集まらない新人は、今でも悩みの種だった。

 以前よりは増えてるが、こんな急激な人員不足を補う程ではない。

 もっとも、二百人を超える穴を埋めるほどの人数が一度に押しかけてきても困ってしまう。

 普段の作業をする分には、今くらいの人数増加が丁度良い。

 今回が異例すぎるだけである。

「本当に、早く終わってもらいたいわ……」

 その為にも、小鬼の集団を殲滅せねばならなかった。

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