転職112日目 開拓日記
月日は流れていく。
鉱山開発によって生まれた人の流れと、それによって底上げされた発展は大きなものとなった。
一団が予想していたよりも大きな規模で鉱山は再開された。
鉱山従事者だけでも膨大な数になるし、採掘量も多い。
それによって物資運搬の量も拡大した。
行き交う馬車が拠点に立ち寄る事で、様々な波及効果が生まれていく。
立ち寄る人間が多くなればそれだけ商人も増える。
彼等がもたらす商品と取引先の増大は冒険者にとってもありがたいものだった。
また、もっとも近くにある鉱物の消費地として一団の拠点は重宝された。
ある程度の精製や精錬などを行ったものが拠点に流れ込んでくる。
一々町に持っていくよりは、拠点あたりに屯してる商人に売りつけた方が楽だと思ってるのかもしれない。
その為、拠点は鉱物を買い取っていく商人達のたまり場になりつつあった。
もちろん冒険者と一緒にならないよう、別の場所を設けての事だ。
産出された鉱石の全てが取引されるわけではないが、それでも結構な量の契約がなされていく。
おかげで拠点あたりに精錬所を作ろうか、という話も出てるという。
どこまで本当か分からないが、あり得ない事ではない。
荒い状態であっても加工をしてあれば後の行程の手間が省ける。
そうすれば付加価値も付く。
そういう計画があってもおかしくはなかった。
そういった拠点の発展は開拓地をも発展させていく。
モンスター退治以外の収入が入ってきた事で、投下できる資本が増えた。
それにより、開拓地の拡大は加速していった。
食料や物資を今まで以上に買い付けられるようになった事で、より多くの人を養えるようになった。
それが労働力を増大させ、開拓を一気に進めていく。
これに加えて、先に開墾していた田畑からの収穫もあり、抱える事が出来る人口はかなりのものになりそうだった。
少なくとも、食料だけなら自給自足に近くなってきている。
問題なのは、住居などだった。
住む場所がなければ人を集めてもどうにもならない。
その住居を造る為に、防備を作っておかねばならない。
ここに時間と金がかかってしまう。
金回りが良くなっても簡単には解消しない問題だった。
地道に進めていくしかない。
それでも以前より多くの人を集め、多くの資材を運び込む事が出来るようになった。
作業の進みは以前とは比べものにならないくらい早くなっている。
この加速が、開拓地の拡大に大きく寄与していく。
そういった場所や人を守る為に、冒険者も必要になっていく。
守るべき場所が拡大してるのだから、それに合わせて人も増やさねばならない。
資金調達のためにも、絶対にやめるわけにはいかない。
根こそぎと言ってよいほどの勢いで人を集めていき、必要な人数の確保につとめた。
それなりに広い範囲を守らねばならないから、何十人という人数を確保せねばならない。
どうしても短縮出来ない訓練期間を考えれば、次から次へと人を入れていかねば間に合わない状況だった。
毎月十人から二十人は新人が入り、レベル3に到達した者を本格的なモンスター退治に投入していく。
それらを受け入れる場所を作るのも大変であった。
常に人と物と金と時間が足らずがちだった。
人を集めても住居がない。
住居を造ろうにもすぐには出来ない。
それでも作ってはいくが、作る為の金がない。
金があってもすぐには材料を調達出来ない。
それらを一つ解消すれば、別の何かが足りなくなる。
どこかで止まらない限り延々と続く欠乏状態が発生していた。
だが、一団と開拓地は確実に拡大と成長を続けていた。
何もかもが失われたわけではない。
確たる基盤としてしっかりと残っていくものがあった。
進めておきたい事業にも手が届いていった。
色々と足りないものだらけであったが、その中からやりくりして必要なものを集めた。
開拓地周辺の探索。
ようやく着手出来るようになった。
集めた五十人近くの冒険者と物資をそろえ、運搬の為の馬車も調達した。
冒険者達がモンスター退治がてら動き回る開拓地周辺だけではない、その更に先を調べにいく事が出来る。
とりあえず、かつての地図に掲載されていた村や町を確認させていく。
廃墟になってるか、それすら無くなった野原になってるかもしれないが、それも確かめてみなければどうなってるか分からない。
何より、どんなモンスターがいるのかを把握せねばならない。
今後の拡大拡張の方向を決める為に、絶対に掴んでおかねばならない事だった。
なので、出来るだけレベルの高い者を集めた。
どれだけ危険なモンスターがいるか分からないのだから。
開拓地の存亡に関わる可能性すらある。
出来るだけ早くそれらの情報は仕入れておきたかった。
そんな調査探索も二回三回と行い、周辺の状態が少しずつ判明していく。
とりあえずモンスターはそれほど危険でないのは分かった。
そこそこのレベルがあれば対処出来るものがほとんどである。
他にも町や村などの現状も確認出来ている。
当然廃墟であるが、再利用出来るようならそうするつもりだった。
今後の探索のための中継地点になりうるし、新たな開拓場所として使う事も考えられる。
続々と人と物を集めてるので、それらを送り込む場所が必要でもあった。
廃墟がそのまま使えるわけではないが、かつて人の住んでいた所ならばそれなりに利点はある。
人が住んでいたという事は、それが出来るだけの何かがあるという事でもある。
全く何もない所に何かを作るよりは合理性はある。
それに、村であれば周囲が畑である事が多い。
雑草が生い茂ってるのは確かだが、それでも野原や森林を切り開くよりは楽である。
町であれば交通の要衝だった可能性が高い。
今後どの方面に進んでいくにしても、そこを中継地や起点にする事が期待出来る。
モンスターが巣くってればそれらを駆除せねばならないが、立地条件という要素を考えるとその手間もやむを得ないかもしれない。
そうでなくても、根城にされてるならさっさと倒しておかないと後々の障りになる。
隠れる場所にもなるので掃討するのも手間がかかるが、放置しておくわけにはいかない。
遅かれ早かれ何らかの対処はしなければならなかった。
ただ、再利用するにしても更地にせねばならないほど劣悪な状態である。
外壁なども、修繕するのに時間がかかる。
ここでも金と時間と手間と人を費やさねばならない。
手を出すのは大分先になると思われていた。
一団として、組織としてやらねばならない事は多大にあった。
だが、その中で生きてる者達の生活は徐々にであるが向上していった。
流れ込んできた貧民達もまともな生活が出来るくらいの収入を得ている。
田畑を耕して農作業に従事する者もいるし、家を建てるほどに稼いだ者もいる。
職人として道具を作り出してる者も。
結婚して子供が生まれた所もあった。
ヒロノリ自身もなんだかんだで嫁をもらったくらいだ。
色々と苦労も問題も多いが、それでも差し引きで言えば黒字が大きい。
二年という時間の中で、そういった事が形になっていた。
最近、ろくろく更新もしておりませんが、今後もこんな調子だろうと思います。
続きを考える時間が長くなってしまっている。
もうちょっと改善したいもんですが、なかなかうまくいきません。
それでも、終わらせるまで続けていきたいとは思ってます。




