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【完結】29歳ブラック企業の社員は別会社や異業種への転職ではなく異世界に転移した  作者: よぎそーと
第一決算期

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転職11日目 囲んだら容赦してはいけない

 ありがたい事に、二人はがんばって貯金を続けた。

 今までより収入が増えた事が大きかったようだ。

 食費にあてる分は今まで通りでも金が余る。

 おかげで貯めるのに苦労はしなかったようだ。

 その調子で二ヶ月。

 ヒロノリはひたすら堀の中のモンスターを倒し続けた。

 武器を買う為でもあるが、それよりももっと大きな理由がある。

 二人の栄養状態の改善だ。

 体力をつけなければこれからの作業は厳しい。

 ヒロノリも食材を孤児院に持っていき、なるべく二人が食べる量を増やすように努めた。

 二人だけ重点的にというわけにはいかなかったが、それでも以前よりは食事は改善された。

 そのために二ヶ月をかけた。

 結果、二人は前よりは体ががっしりとしてきた。

 まだもう少し栄養状態を改善させたくもあったが、懐事情の改善もしたい。

 何とかなるだろうと見切りをつけて、ヒロノリは二人を伴って町の外へと向かう事にした。



 町から一時間ほど歩く事になるが、そのあたりまで来るとそれなりにモンスターが徘徊している。

 もう小型と言えるようなものではない。

 だいたいが大型犬くらいの体格をもっている。

 それらが見える範囲に結構点在していた。

 どうも縄張り意識があるようで、ある程度決まった間隔で一体ずつ存在してる。

 協調性はないようで、互いに連携して攻撃してくるという事はほとんどないと聞いている。

 もちろん時と場合によるので、運が悪ければ一度に何体もの敵と戦う事になる。

 ただ、縄張りの範囲に入らなければさほど問題は無い。

 極端な話、互いに見える範囲にいても、襲ってくる事は希である。

 彼等の領域に入ってしまえばそうではないが。

 その場合、どちらかが死ぬまで戦う事になる。

 逃げようにも、モンスターの方が脚が速い。

 覚悟を決めて戦うしかなくなる。

 ただ、その習性が利用しやすいとも言える。

 相手が一体ならば、レベルが低くても対処のしようがある。

 一体に複数で挑めば勝機はある。

 決して弱いわけではないが、手が出ない程強いわけでもない。

 三人で囲めばどうにかなるとは言われていた。



「行くぞ」

 後ろの二人に声をかける。

 緊張した面持ちの二人は、黙って頷く。

 その二人を従えてモンスターの方へと向かっていく。

 三人に気づいたモンスターは、うなり声をあげるとヒロノリ達の方へと向かってくる。

 四つ足をついてまっすぐに。

 それを見てヒロノリは前へと向かっていく。

「こっちで引き受けるから、横に回れ!」

 指示を出して小走りになる。

 まずはヒロノリがモンスターを引きつけねばならない。

 その間に二人に横や後ろに回ってもらい、一気に攻撃。

 取り囲んでひたすら山刀で叩き切るという方法で攻撃する予定だった。

 ただ、二人が怖じ気づいてしまっていたら、ヒロノリが一方的に攻撃を受ける事になってしまう。

 そうなったら終わりだ。

 三人でなら対処出来ると言われてるモンスターである。

 一人でどうにかなるわけがない。

 もう二人を信じるしかなかった。

 一緒にやってきた二ヶ月も含めて。

(頼むぞ)

 そう思いながら、目の前に迫るモンスターと向かい合う。

 モンスターはヒロノリの手前まで来ると、後ろ足で立ち上がる。

 二足歩行が出来るわけではないらしいが、一時的に直立する事は出来る。

 そして、前足を振りかぶって攻撃してくる。

 立ち上がれば二メートル近くになる体格だ。

 肩幅も広い。

 筋肉の厚みも人間とは違う。

 鍛え上げたボディビルダーと同等の筋肉に覆われている。

 盾をかざしてその腕を受けるも、かなりの衝撃が腕を通して全身に伝わってくる。

「…………!」

 衝撃の大きさに悲鳴すら上がらない。

 体が震えるほど揺さぶられたヒロノリは、倒れないよう踏ん張るのが限界だった。

 モンスターはそんなヒロノリに遠慮無く前足を二撃三撃と繰り出してくる。

 その都度ヒロノリは、内臓すら揺さぶられる威力を体に受ける事となった。

(こりゃ、まずいな)

 長くはもたない事を感じる。

 早く二人が駆けつけてくるよう願った。



 盾で攻撃を受けるヒロノリの左右を回るように少年達は動いていった。

 逃げずにいたのは大したものである。

 そんな二人は、モンスターの左右に出ると、そこから接近して斬りかかっていく。

 力を込めた一撃が、分厚い刃にのって繰り出される。

 それらが左右それぞれからモンスターの体に食い込んでいった。

 残念ながら威力がのってるとは言い難いものだったのでさほど損害は与えられてない。

 それでも確実に傷を与える事は出来た。

 そして、モンスターの注意をヒロノリから逸らす事が出来た。

 左右の敵を見て、モンスターが逡巡する。

 どちらから攻撃をしようかと。

 それを見てヒロノリが攻撃を仕掛けた。

 手にした山刀で、わずかに後退ったモンスターに。

 攻撃は前足にあたる。

 狙っていたわけではないが指に当たって骨に衝撃を与えた。

 痛みにモンスターが顔を歪ませる。

 そのヒロノリにモンスターは再度狙いを定めて攻撃をしてくる。

 後ろに下がってそれを割けたヒロノリに代わり、左右の二人が一気に攻撃していく。

「腕を、腕を狙え!」

 ヒロノリが大声で指示を出した。

 しかし、緊張しすぎて目の前のモンスター以外の事が見えてない二人には届かない。

 ただ闇雲にモンスターに攻撃を加え続けている。

 指示通りに腕を狙っていけば、やがて攻撃もしにくくなるのだが。

 残念ながらそうはいかないようだった。

 そんな二人にモンスターも苛立ったのか、左側の少年から攻撃を仕掛けていく。

 振りかぶった右の前足を叩きつけようとする。

 それが丁度ヒロノリの目の前にきていた。

 山刀をそこに打ち込む。

 肉に食い込む感触が柄から伝わってきた。

 切断は出来なかったが、打撃としては十分だった。

 思わず前足を地面についたが、それで腕に痛みが走ったようだ。

 しきりに前足を振っている。

 そこにヒロノリは容赦なく山刀を振っていく。

 腕だけではなく、手当たり次第にあちこちに。

 他の二人もそれにならってひたすらモンスターを攻撃していく。

 次第にモンスターも動きを弱め、地面に倒れ、ついには体を痙攣させていく。

 止めとばかりにヒロノリが頭に何度も刃を叩きこむと、動きが完全に止まった。

 モンスター相手の初めての戦闘らしい戦闘だった。

 それはどうにか勝利で終わってくれた。



「……そうだ、核」

 倒してへたり込みそうになる自分を奮い立たせ、後処理に入る。

 ここで核を手に入れねば体がきしむほどの戦闘をした意味が無くなる。

 手早くナイフを手にとり、核を切り取っていく。

 時間の猶予がない。

 視界のすみに、別のモンスターがうつる。

 それがゆっくりとこちらに近づいてるのを感じた。

 少年二人もそれは同じで、盾を構えてそちらを伺っている。

 今、ヒロノリ達がここにいるモンスターを倒した事で縄張りの範囲が変化した。

 隙間が出来た所に、別のモンスターが入り込もうとしている。

 急いで核を回収しなければ、近寄ってきたモンスターに襲われるかもしれない。

 さすがにそれは避けたかった。

 他のモンスターも倒すつもりではいるが、すぐにというわけではない。

 連戦するほどの気力と体力がない。

 次の戦闘は暫く休んでからにしたかった。

 幸い、核の切り取りはモンスターが襲ってくるほど接近する前に終わる。

 急いでその場から離れた三人は、モンスターが襲ってこないあたりまで移動して腰をおろした。



「疲れたな」

「はい」

「そうっすね」

 へたり込んだ三人は、呆然としながらモンスターの方を見る。

 新たに縄張りが設定されたのか、別のモンスターが手前に来ている。

 その分奥の方でもモンスターが動き、縄張りの範囲などが再調整されてるようだった。

 その動きを利用すれば、最初のモンスターを倒した地点から動かずに延々とモンスターを引き寄せる事が出来る。

 一定以上の実力があれば稼ぎやすいと言えるだろう。

 もちろん、今の三人にそんな力はない。

 連戦にならないように、一回一回を戦っていくしかない。

「でも、結構上手くやれたよな」

「まあ、確かに」

「きつかったっすけどね」

 実際に対戦した感想である。

 一対一では絶対に相手に出来ないが、三人でならどうにかなる。

 一人が盾で受け止めてる間に他の者が左右から攻撃をする。

 それだけでも全然違う。

「でも、あいつの攻撃、かなりきつかった」

「みたいですね」

「ヒロノリさん、攻撃の度に後ろにずれてましたから」

 攻撃の衝撃はそれだけ強烈だった。

 真っ正面から受け止めるにしても限度がある。

 打撃の威力に合わせて後ろに下がらないと転倒しそうだった。

「盾の技術も上げておかないとまずいかな」

 そんな事も考える。

 先に武器の攻撃技術を身につけようと思っていたが。

 しかし攻撃を二人に任せて、自分は盾による防御を優先する方が良いかもしれないと思った。

 三人で役割分担するならその方が良い。

 先々はそうしていく事も考えていく。

 だが、まずは目の前である。

「……そろそろ行くか」

「あ、はい」

「はいよ」

 休憩を切り上げてモンスターに向かう。

 まだまだ稼ぎは全然足りない。

 もっと多くのモンスターを倒さねばならない。

 その為に三人は再び歩き出していく。



 この日、手に入れた核は三十個。

 全部で銀貨三枚(銅貨三万枚にあたる)の収入となった。

 そのうち三割は税金として差し引かれるが、手元に銀貨二枚と銅貨一千枚が残る。

 一人あたり銅貨七千枚。

 今までで一番の収入となった。

 少年二人は銅貨三千枚ほどを貯金に回したが、残りで食材を購入。

 その日の孤児院の食事は、これまでよりはるかに豪勢なものとなった。

 明日の12:00に続きを出す予定。



 てなわけで、本日はこれにて終了。

 もっと盛り上げていきたいが、それも出来ず。

 そういうのが苦手だから仕方ない。

 なので出来る事を出来る範囲でやっていく。

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