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 二美を見送った後、僕はスマフロのモンスター設定をONに変更した。

 学校に着くまでの時間を計算しても、まだ30分は余裕がある。

 それならモンスターを倒しつつ登校しよう。

 僕は地図画面から、学校方面に表示されたモンスターの位置を確認すると走り出した。


 ピピピピ……


 モンスターから300m以内に近付いたのだろう、スマホからアラーム音が鳴り出した。

 僕は近くの電信柱に近づくと、だいたいのジャンプした高さを計る。


 「やっぱり前より高いよな……」


 あまり全力で飛び跳ねることはないが、それでもあきらかに以前とは高さが違う。

 まあ、次はレベルが上がってからだな。

 軽く屈伸すると、スマホを片手に矢印が指す方向へと向かっていった。


 そこは住宅街の一画にある、車が6台ほど止めることができそうな小さな空き地だった。


 その空き地には骨がいた。


 住宅の塀を背景にたたずむ、錆びた剣を右手に持つ人骨……スケルトンだ。


 スマホの画面は戦闘用の魔弾石と『スケルトンと遭遇』の吹き出しが表示される。

 僕はゆっくりと左側に回り込みながら近づく。

 距離にして30mほどに近づくとスケルトンはゆっくりと顔を上げた。


 スケルトンは、徹夜明けの病人のようなゆっくりとした速度でこちらに歩いてきた。

 僕が魔弾石をタッチして狙いを定めると、引きずっていた剣を怠慢に上げて防御姿勢をとる。


 『再生』もある。試してみるか……


 僕は魔弾石から指を外し注意深く近づく。

 スケルトンは顎をカタカタ鳴らしながら少し左に体を傾け、右手の剣を高々と上げた。


 シュッ


 僕が剣の間合いに近づくと、高く上げられた剣が重力と共に振り下ろされる。


 ガッっと音を立てて地面を削る剣を確認しながら、僕は左側に回り込んだ。

 スケルトンは剣を持ち上げこちらに振り向こうとするが、遅い!

 スケルトンの左腰に前蹴りを食らわした。

 スケルトンはくの字になって転がる。

 僕はうつ伏せで止まったスケルトンの右手を踏むと、頭蓋骨をサッカーボールのように蹴り飛ばした。


 頭蓋骨が飛ばされたスケルトンの体は、制御を失ったかの様に動かず、遠くで頭がカタカタと顎を鳴らしていた。

 僕は剣を握る手を頭蓋骨と反対方向に蹴飛ばし、スケルトンの動きを確認しながら剣を手に取る。


 弱い……いや、油断は駄目だ。

 速度や耐久力はないが剣での一撃は怖い。

 地面の状態から判断しても、腕にでも当たったら大怪我は免れないだろう。


 僕は奪った剣でスケルトンの片手と両足を砕くと、頭蓋骨を体の方に蹴飛ばしていった。

 ある程度の距離まで体に近付いた頭蓋骨は体にくっつくと、這いずるように片手で動きだした。

 その様子を確認してから頭蓋骨を叩き割ると、スケルトンは光の霧になって消えていった。


 『スケルトンを倒した』『職種無しExpボーナス』『アイテム無使用討伐ボーナス』『錆びた剣を手に入れた』


 スマホの画面にいくつもの吹き出しが表示され、目の前に木製の宝箱が現れた。

 よく見ると宝箱には『アイテム無使用討伐ボーナス』と書いてある。

 開けてみると魔弾石が入っていた。


 「魔弾石一個か……まあ、スケルトンだしな」


 ショップで確認すると魔弾石は一つ3Kmだから、結構お得なのかもしれない。

 余裕があれば素手もありだな。


 そういやExpはどこで確認できるか気になって、職種が選ぶことができるマークを押すと『レベル1 Exp8』と書いてあった。


 「よし、次に行こう……あれ?剣はどこにいったんだ?」


 剣を探していると、いきなり右手に重さを感じ、いつの間にかボロボロの剣を握っていた。

 どうやら瞬時に装備を入れ替えることができるようだ。

 僕は本当に良くできたゲームだと感心しながら、次のモンスター目指して走り出した。


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