ダンジョン攻略
職種を『再生師』と『越えし者』に決定したと同時にホログラフ画面の一つに文字が表示される。
『職種Exp1,000を割り振って下さい』
まずは使い勝手の良い『限界突破』を上げるために『越えし者』に割り振ったが進化は始まらない。
どうやら職種Expが足りないらしい……
地道にダンジョンを攻略するしかなさそうだね。
そのあと僕達は職種の効果を検証した。
その結果『再生』は1分前の状態まで再生可能になり……
『限界突破』×『限界突破』は非常に危険なことが分かった。
魂にダメージを受けるのは余程の事がないと使う気にならないぐらいの、洒落にならない激痛だ。
即効で『再生』で回復したが、これを戦闘で使うのは無理!
根性でどうにかできる痛みじゃないよ。
全部予定通りとはいかなかったが、『再生』は、いままで難しかった斬撃や打撃などの攻撃の再生も可能になった。
しかも、消費移動距離も少なくなり『再生』様とお呼びした方が良いほどの能力になられた。
『限界突破』も消費移動距離が減り、効果も1.5倍程度に増加している。
無理さえしなければ『限界突破』先生は優秀だね。
検証も終わり、僕達はダンジョンを攻略することにした。
昨日の黄色狩りで移動距離も1,700kmを越えているし、職種のおかげで前回より余裕はあるはずだ。
レベルアップもしているし……
大丈夫なはず、きっと……
僕はいま00053エリアのダンジョンにいる。
ゴミスライムのダンジョンだ。
ここは……地獄です。
ダンジョンに入った僕逹を待ち受けていたのは、地獄の亡者が腕を伸ばす腐った臭いの壁だった。
それぐらいは覚悟していたが、このダンジョンには壁と立て札しかない。
道がないのだ。
立て札には親切なことに矢印が書いてあり、その矢印の先は亡者の腕で出来ているかのような壁だった。
これは……謎解きかな?
何か条件を満たせば壁が無くなるのかも……
しかし『予測』様の答えは『謎はありません』だった。
なら、次は『鑑定』×『限界突破』で壁を調べてみると、壁はスライムの仲間らしい。毒持ちか~
とりあえず攻撃してみるかな……
『魔弾石』に『限界突破』を付加して発射した結果……
僕の周りの地面まで亡者の腕が生えて、腐った臭いが強くなった。
「……うっ、これは駄目だ」
ハム助が流石にこの臭いは苦しいのか、僕のコートの中に逃げ込んだ。
一応、定番の塩をまいてみたが効果はない。
結界石を発動して移動するが、このスライム……まるでゴムみたいだ。
無理をすれば移動できなくはないが、歩くより遅くなるし、空気も問題だから止めとこう。
そうだ!毒の腕輪でなら……
僕は『予測』様で亡者が嫌がる毒を調べ、その毒が人体に悪影響がないことを確認。
目の前の壁に出してみるが……
ハム助、ごめん!
出した毒の方が、壁より強烈な臭気を発している。
……無理矢理行くか。
僕は3秒だけ目を瞑ると『無敵モード』を発動して、壁に向かって走り出す。
ハム助の泣く声だけがダンジョンに鳴り響いた。
何度も壁をくぐり抜け、その度に矢印を確認し、また壁をくぐり抜ける。
ダンジョンに入って2時間34分後、僕達はついに……ついにボス部屋の前に到着したのだ。
後方の壁が光の霧になっていくのを確認しながら、僕はその場に座り込んだ。
移動距離が900kmを切っていたので、2時間ほどハム助と一緒に走り回り1,500kmまで回復したところでボス部屋のドロドロした扉を開ける。
部屋の中にはゴミスライムの赤色バージョンがいて、こちらに溢れだして来たが、『無敵モード』なので関係ない。
『鑑定』×『限界突破』で弱点の核を見つけると、赤ゴミスライムに飛び込んで核を『鬼岩石』×『限界突破』で光の霧に変えてきた。
炎や酸の雨や分裂までしようとしていたが、はっきり言ってここに来るまでの壁の方が強敵だった。
なんかイチゴの臭いがするし……
それからも僕達は一日に二つのダンジョンを攻略していった。
針の山を越え、煮えたぎる血の海を渡り、骨の大地を駆け抜けて……僕達はダンジョンを攻略していく。
天国みたいな雲の上は、生身で行くと空気は薄いし寒いしで楽しくないことを知ったダンジョン攻略5日目。
職種Expが10,000に到達するとついに『越えし者』も進化して、赤色の文字で『越えし者』になった。
色が変わるだけという地味な変化だが効果は素晴らしい。
『限界突破』の効果は倍近く増え、普通に『限界突破』だけを使っても移動距離は必要なくなった。
『限界突破』×『限界突破』も普通の我慢できない激痛になってくれたよ……
なんとか戦闘で使えるかな?
……死ぬよりはマシなレベルだけどね。
それからは一日に三つのダンジョンを攻略するようになり、ダンジョンを攻略するようになって9日目。
ちょうどダンジョンを20ヵ所攻略した夕方に、僕は一人の少年に出逢う。
その少年は僕達が初めて出合った、スマフロのプレイヤーだった。




