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予測

 ピピピ……ピピピ……


 朝6時にセットした目覚まし時計を止めて目を擦ると、僕はスマホでハム助を探した。


 すると、昨日の夜に机の上に置いたフワフワのクッションの上で、ちょっとだらんとなったお餅のようなハム助がいた。

 静かに近付いてみると、目を閉じて鼻をピスピスさせて寝ている。移動距離は昨日の寝る前より200kmぐらい増えていた。

 『守護獣強化』の効果もあるだろうが、それでも4時間以上は走らないと無理な距離だ。


 「……ありがとう、ハム助」


 僕は小声で感謝の言葉を呟くと、ひまわりの種とミックスフードを机の端に置いてリビングに向かった。


 昨日より少し穏やかな雰囲気で朝食を食べて、部屋に戻るとハム助が起きてミックスフードを食べていた。


 「おはよう、ハム助。昨日は大変だっただろ?ありがとな。まだ寝ていても大丈夫だぞ」


 ハム助は片手で頭を軽くかくと、「キュッキュッ」と鳴きながらぴょんぴょん跳ねて、元気だよ! とアピールしている。


 ヤバイなこれ。


 「そ、そうか。元気そうで良かったよ。あと10分ぐらいしたら外に行くからね」


 「キュッ!」


 敬礼するハム助を見た僕は、おもわずムツゴ〇ウさんのようにハム助を撫でたくなったが我慢した。

 もしも渡がカメラで撮影していたら……


 何もない机に向かって、スマホ片手に「可愛い可愛い」と頬擦りする男……


 致命的だ。


 渡にメールを送信する。

 ハム助が回し車に乗ったことを確認して、外に出ると胸元の機械のスイッチを入れた。

 それから少しの間スマホの画面を確認していると胸元から渡の声が聞こえてきた。


 『聞こえるか?イチ』


 「大丈夫、聞こえるよ。おはよう、渡」


 『ああ、さっそくだが00023エリアのダンジョンに向かって移動しろ。細かい指示はダンジョン前でする』


 「わかった。いくぞ、ハム助」


 「キュッ」


 スマフロの画面で確認しながら、懐かしの熊怪獣がいた00023エリアのダンジョン前に着く。

 ダンジョンの入り口は熊怪獣がいた場所から1kmほど奥に進んだ展望台にあった。

 展望台の真ん中で存在する銀色の扉。

 それは背景に広がる青空と調和し、初めてスマフロと出合ったあの銀色の扉を思い出させた。


『再生』『限界突破』『隠密』『地形無視』『強化』『増加』『加速』『罠発見』『心眼』『予測』


 これが今回のダンジョンで装着する特殊能力になる。



 昨日の検証時、渡に『予測』がどのように予測しているのか『予測』×『限界突破』を発動してみろと指示され、発動してみた。

 すると『予測』とは、ゲーム内のプログラムの表層を読み取ることで、ゲーム内の情報や次に起きるであろう出来事を『予測』する能力であることが分かった。


 あくまでもプログラムの表層しか読み取らないので、『予測』が外れることもよくあるのだが……

 『予測』×『限界突破』は中層まで読み取ることができるので信頼性の高い『予測』様に変身するのだ。

 絶対ではないので戦闘に使用するのは危険だけど、特殊能力や装備や職種などの鑑定や敵情視察には充分に力を発揮してくれた。

 一回1kmいるけどね。


 その『予測』様を活用して渡が選んだ特殊能力だ。

 きっと意味があるんだろう。



 『ダンジョンで危険なのは罠とボス部屋だ。罠は致死の罠も存在するし、ボス部屋での逃走は普通は不可能だからな。

 基本的に罠に対しては『罠発見』『心眼』『予測』で避ける。避けることが出来ない場合は『地形無視』×『限界突破』で切り抜けろ。

 それでも無理なときは『再生』で罠にかかる前に戻す。何か問題があれば『加速』と『予測』も使え。分かったか?』


 「分かった。避ける、抜ける、戻す、加速だね」


 『よし、ボス部屋は『隠密』×『限界突破』は通用しないと『予測』できている。余裕があればボス部屋の前でもう一度確認しとけ。帰還石と結界石の確認もな。

 今回のボス部屋は遠慮はいらん。大盤振る舞いしとけ。駄目なら『再生』×『限界突破』で逃げろ。それぐらいの移動距離は残しとけよ。それも無理なら……分かるな?』


 「……ああ、覚悟はできてる…… 逃げる覚悟はね」


 『くっくっ、死ぬ覚悟よりはマシだ…… 明日でもいいんだぞ?』


 「……いや、いい。効率的にはダンジョンなんだよね?」


 『ああ、可能性は高い』


 「ならダンジョンで」


 『よし、行ってこい』


 「……行ってくる」


 「キュ~」


 僕は鈍く光る銀色の扉を開き……

 その先に広がる闇の中へとハム助と共に進んだ。



 ダンジョン、それは恐ろしい罠やモンスターがひしめく洞窟。

 巧妙に隠された罠と影から襲うモンスターに、幾多の戦いや冒険を強いられる。

 そして最後に出会える宝の山。


 そんな夢を見てた頃が僕にもありました。



 僕は走っている。後ろから迫りくる巨大な鉄球に追われて……

 

 もう、約3時間ぐらい。


 「このゲームの製作者……絶対バカだよぉぉぉおお!!」


 僕の声がダンジョン内に鳴り響いた。


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