今日の冒険の成果
「うーん、やっぱり運用コストに問題があるか…… おお! 『移動距離使用軽減』を取得してるぞ」
僕はスマホの画面上を目まぐるしく表示される吹き出しを確認しながら、この戦いで使用した移動距離の計算をしていた。
『mission21:蜘蛛の巣を地形無視で進め』からの特別missionで発見した『地形無視』×『限界突破』は、はっきり言って反則技だ。
全ての攻撃や障害を無視できる『無敵モード』になることができてしまう。
しかし、当然のように弱点も存在するわけで……
『ま、想定の範囲内だ。一秒毎に5km必要だが、いざというときには必ず役に立つ。『移動距離使用軽減』の効果次第だが、危機回避や攻撃時など要所要所で細かく使用するのが理想だな』
そう、先程の戦いで使用した移動距離は『無敵モード』を5秒で25km、魔弾岩8kmに『限界突破』が0.5kmで、全部合わせると33.5kmである。
まだ100km以上残ってるが実に心細い……
なんか減っていく貯金通帳を見てる気持ちだよ。
「……でも、やっと見えない壁なしで黄色モンスターを倒せたんだ」
確かに僕は強くなっている。
前までなら確実に見えない壁先生の助けが必要だっただろう。
相性が良かったとはいえ、たいした作戦も無しに黄色モンスターを倒せたのは今後に繋がるはずだ!
僕は自分の成長を感じながら『イチの冒険』を起動した。
『mission:35 黄色を倒せ』
『倒せた』『逃げた』『問題発生』
僕が『倒せた』をタップすると『mission:36 宝箱を開けろ』が表示される。
僕はスマホの画面をスマフロのカメラモードに戻すと宝箱を探した。
今回の宝箱は三つあった。
たぶん『エリアモンスター無逃討伐ボーナス』が原因だろう。
三つの宝箱はそれぞれ古ぼけた宝箱、半分透けている宝箱、そして…… 虹色の宝箱だった。
「宝箱が三つある。一つは…… 虹色だ」
僕は嫌だったが仕方なく現状を説明した。
『……そうか。それは楽しみ…… いや、すまん。それは期待できるな』
「言い直しても、たいして意味変わってないから!」
『まあ、聞け。装備品の映像化ONの状態なら、装備品を動画で目視できるのは確認している。そしてイチの撮影準備は完璧だ。安心して開けてこい!』
「何一つ安心できないよ!」
渡の笑い声を聞きながらも、僕はしぶしぶ宝箱の元に向かった。
結果は、古ぼけた宝箱は古ぼけた巻物。
開くと目玉の妖怪が現れて僕にウインクして消えた。
『幻視』を取得できた。
半分透けている宝箱は……天女の羽衣だった。
頭の上で輪になって、腰から地面に伸びてゆらゆらしているアレだ。
当然、虹色のズボンと羽の生えた白い靴も見えるようになって、渡は喜んだ。
父さん、母さん、悪魔がここにいるよ……
効果は空中での緩やかな移動が可能になるらしい。
虹色の宝箱は思った通りのガチャガチャで、出てきた虹色のカプセルの中身は『虹色のチケット』だった。
『虹色のチケット』はショップで守護獣の専用アイテムと交換できるようだ。
正直ちょっと守護獣のこと忘れてた。
ごめんよ。
その後は『移動距離使用軽減』の効果が五分の一の軽減だと確認。
『ショップレベルアップ』による販売物の増加と値下げを確認。
『幻視』で渡の偽者を出して、今までの仕返しにイタズラしようとしたら、魔王の恐ろしさを再確認。
『隠密』を使用しながら空をふわふわ飛んだりして、今日の冒険は終わった。
ちなみに『mission:37』は『スマホを充電して早く寝ろ』だった。




