イチの冒険
僕達はどの言葉で楔が反応するのか?
どこまで仮の話が通用するのか?
一つ一つ検証を続けた。
その結果……
「……穴だらけだね」
「……ああ、相手はあまり隠すつもりはないようだな」
驚くことに、ほとんど正確に僕の状況を伝える事ができた。
ありがたいのだが……これ、楔いる?
「そのうち皆に知らせるつもりかもな。アップデートとか……怪しいだろ?」
「そ、そうなんだ。だったら……」
「モンスターと一緒に、な。なかなかのイベントになりそうだ。まあ仮の話だが」
「じゃあ……」
「ああ、イチの行動とは関係なく30日後……いまから約27日後が一つの山場になる、かもな」
なんてことだ……
街中にモンスターが現れた未来を想像して、僕は震えた。
「先程、イチが言ってた架空のゲーム『スマスマフロフロ』だったか……くっくっ、調べたがそんなゲームは存在してない。もちろん略名もな」
「やっぱりそうだよね。僕も一応調べたけどなかったから」
「まあ、今後も調べていくからそこら辺は任せとけ。たぶん限定先行配信みたいなもんだろう。きっと他のプレーヤーもいる筈だ」
「……そうだね」
「それなのに情報が出てないとなると……そこら辺は後々でいいか。よし、できた」
「え?」
渡がノートパソコンから顔を上げると同時に、僕のスマホからメールが受信された音が聞こえてきた。
僕は渡の顔を見てからメールを開く。
そこには三つのファイル? があった。
「それは架空ゲームのミッションみたいなもんだ。まあ、まずは三つともダウンロードしろ」
指示されるままにダウンロードをすると、スマホの画面に指令書のような絵が表示された。
僕は渡を見ながらその指令書にタッチする。
すると古ぼけた紙に『イチの冒険』と書かれた画面になった。
それを確認した渡が、くっくっと笑い説明を始める。
「これからの行動をコレで指示するから、その結果を選択していけ。新たに得た能力や職種はこの中にあるメール機能でしっかり伝えろよ。とりあえず、触ってみろ」
僕は『イチの冒険』をタップしてみる。
すると古ぼけた紙の表示が……
『いままでの説明は理解できたか?』
『はい』『いいえ』『トイレ』
こんな質問と選択肢が出てきた。
僕はとりあえず『トイレ』を選択する。
すると渡は笑いながら「さすがイチだな」と褒められた。
スマホの画面は『はやく行ってこい』に変わり、『next』の表示も出てきた。
僕が『next』を押して見ると最初の選択画面に戻り、『トイレ』の選択肢が消えていた。
その後も『はい』『いいえ』を選ぶと、『チュートリアル終了』の選択肢が表示される。
僕が『チュートリアル終了』を押すと
『mission:1 隠密を発動しろ』
『発動した』『発動できない』が表示される。
……僕は『隠密』を発動した。
「……そこで止まってろ。……カメラもリアルタイムは無理か……。俺の体を触ってみてくれ」
僕は指示されるまま渡の肩に触れる。
「っ!! ……なるほど、接触した相手には効果なしだな。『隠密』を発動したまま手を離して向こうに座れ…… それでいい。再度『隠密』の発動は可能か?」
「やってみる」
僕は『隠密』の発動を意識する。
「……なかなかの能力だな。また消えた…… いや、意識すると違和感はあるのか……」
「そんなに凄いの?」
「……カメレオンが裸足で逃げ出すレベルだな」
「……僕は普段靴を履いてるカメレオンに驚くよ」
渡はくっくっと笑い「そうだな」と言った。
僕は『発動した』をタップし、『mission:2』に進む。
次のミッションは『再生を発動しろ』だった。




