ある男の人生 2児の父 50歳の場合
俺は50歳目前の会社員。現在はマイホームに老犬と俺だけの生活だ。
大学卒業後、某大手メーカーに就職し、取引先の企業で働いていた女性と出会い2年間の交際を得て結婚した。東京都町田市に家を購入し、住宅ローンも完済したばかりだ。
息子2人も大学を卒業して独立した。
俺の趣味はサッカー観戦でなでしこジャパンが世間で注目をされ始めた直後から女子チームを応援する事に夢中になっている。
嫁とは今年の春に離婚した。
現在はこの家を売りに出しており、元嫁の売値希望があり、減額に同意しない為買い手が付かない。
息子が思春期を迎えた辺りから、嫁と行き違いが多々ありお互いに不平不満を募らせていたのだと思う。
次男が大学を卒業後、勤務先の近くにアパートを借りて引越したその日に嫁が俺の前から姿を消した。
嫁は結婚後も仕事を続けており、仕事をしながら一人暮らしをする為に、勤務先近隣にアパート探しをしていたに違いない。ずーっと前から計画して居たのだろう。
嫁が家を出て行ってから数日後に『悪いけど今住んでいるアパートはペット禁止なの。宜しくお願いしますね。』とメールがあった。その後協議離婚で二人が納得して離婚届を最寄りの役場に提出して婚姻生活が正式に終止符を迎えた。
もし、あの時に嫁が出ていかなっかった場合は俺の方から離婚を切り出していたと思う。
今は凄く充実している。
結婚生活は俺にとって本当に息が詰まる状態だったからだ。
離婚して本当に良かったと思っている。
しかし、俺と一緒に暮らしている老犬は嫁が結婚する前から飼っていた事もあり、嫁が家を出て行ってしまった事で老犬の元気がなくなったように思える。
何も問題なく俺が老犬の世話をしているが、何となくこの老犬が可哀想に思えてならない。
飼い主に置いて行かれた犬の心情はわからないが、時々真の飼い主を思い出してか「クンクン」と甘えたような声で鳴くのだ。
嫁があれだけ可愛がっていたのに現在は家の売値に拘っている事実に憤慨する。
本当に離婚して清々している。俺は生き返ったようだ。
こんなにも世界が明るく見えたのは久し振りだ。
毎日好きな時間に好きなことをして、大好きなサッカー観戦も気兼ねなく出来るのだ。
俺は、この結婚生活で得たのは忍耐力だけだ。
早く家を売り払って、財産分与を済ませ第二の人生を謳歌したいものだ。