異世界転生と言ったら
異世界に転生したんだから、なんかチートがあって俺TUEEEが出来る!とか勘違いしても仕方がないと思う。
結果から言えば、能力的なチートは一切なかった。
膨大な魔力?そんなもんねーよ。あったのは人並み程度(幼馴染は除く)しかなかった。
ああ、生活魔術を数回使える程度には増えたけどな、今は。
あらゆる属性を覚えられる属性チート?それもねーよ。そもそもこの世界では得手不得手はあれど、特定の属性以外は習得できる。
生活魔術をほとんど使える=ほとんどの属性が習得出来た、と言う感じだ。
スキルが覚えやすくて、成長速度がやたらと速い成長チート?それもないな。
ああ、一応この世界にはスキルと言う概念が存在していて、俺もレベルこそ低いがいくつかの戦闘系スキルを習得している。
とは言えだ、比べる方がおかしいのはわかっちゃいるが、五歳だった俺はチートなんてなかったんや、と落ち込んだもんだ。
「私の娘ながら恐ろしいまでの才能。いずれ国一番の剣士になれるかもしれない。」
と、元騎士で引退後になぜかこんな田舎の村に住み着いた父親から剣の才能を見出された勇者さま。
「おお、何という事じゃ。測定の魔力水晶が割れおった!」
と、師匠である村唯一の魔術師のばあさまの持つ魔力の多さを測る魔道具を壊しやがった魔王さま。
俺の幼馴染が異世界転生者が体験するであろう異世界チートを、目の前で見せてくれやがったからな、嫌でも分かってしまう訳だ。
とは言え、中々あきらめが悪かった俺は、幼馴染二人と一緒に、元騎士の親父さんや魔術師のばあさまに志願して剣と魔法の修行を何年か続けたさ。
続けてれば俺の成長チートが発動して、とか勘違いしてな。
今考えると、俺はかなり痛いやつだったんだな、と恥ずかしい限りだ。
で、現在の俺と言えば、村人レベルは12(18歳では平均よりちょい上)。
覚えたスキルは<剣術LV1(町の衛兵と同程度)><弓術LV1(普通の狩人と同程度)><回避LV1(町の衛兵と同程度)><生活魔術LV1(最大レベル)>だ。
町に出て解った事だが、ただの村人としてはこのスキル習得数はすごい事らしい。なんせ普通、生産系スキルしか習得しないしな。
よく町の入り口を守る門番に衛兵になれ、と誘われたもんだ。
ちなみに幼馴染二人は覚えている戦闘系スキルはレベルが8~10とかこの世界でも最上位に位置するレベルだったりする。
そんなのがそばに居たら、転生チートはなかった、と思わざるをえないだろ?




