フェニ
「ねぇ、何を使い魔にするの?」
「ドラゴンだよ。移動にも使えるし強いから薦められたんだよ。」
雪菜は目を大きく開けて唖然としている。
「さ、流石、EXランク冒険者ね。」
「知ってたの?」
「家の父が知ってて教えてもらったの。」
「へー。まぁ、いいや。依頼にドラゴン討伐があったからドラゴンの場所話も分かってるし早く行こうか。」
「その、私足手まといになると思うんだけど来て良かったの?」
申し訳なさそうに聞いてきた。
「まぁ、大丈夫だよ。EXランクくらいなら何とかなると思うし。」
「EXランクがどうにかなる。恐ろしいわね。」
「そうかな?まぁ、見ててよ。」
そう言って目撃情報のある所に向かった。
「ここら辺のはずなんだけどなぁ?」
「本当にいるの?」
「なんか自信がないけどね。」
目撃証言があった場所に来たはいいが魔物が一体もいないのだ。それは不安にもなるだろう。
そんな時、一際大きな魔力を感知した。他と比べるのも他と比べるのも烏滸がましいほどの大きな魔力だ。
「雪菜、ごめん。かなりまずいかもしれないから帰ってもらっていいかな?」
「どうしたの?急に。」
「今、魔力を感じた。凄まじい大きさだった。悪いけど本気でやらないと無理っぽいから。」
「わ、分かった。気をつけてね。帰ってきてね絶対よ!」
「わかってるよ。」
そう言って心配そうに何度も振り返りながら帰って行った。
さて、行きますかね。
そこではまるで天変地異が起こったかのような惨状だった。ある所では炎が上がり、ある所では竜巻が起き、ある所では氷ついており、ある所ではビリビリと電流まで流れており、ある所では地面が底なしの穴になっている。これを天変地異と呼ばずなんと呼ぶ。
「なんだお前は?」
そしてそこではEXランクのドラゴンを食べてると思われる魔物がいた。
「俺は神威。お前は?」
「魔物の私にそんなことを聞くか?まぁ、いいだろう。わたしはフェニックスキングだ。」
「っ!!!」
フェニックスキング、測定不能の魔物。フェニックスの上位種と言われている。
通常のフェニックスは、火属性しか使えず、水属性が弱点だった。それでもEXランクの魔物だった。
しかし、フェニックスキングは、弱点を克服し、しかも他の属性まで使えるようになったのだ。
「・・・・・・いいね。」
「何がだ?」
「俺の使い魔にお前が欲しい。」
「私を従えたいだと?身の程を知れ。・・・そうだな、私と戦い勝てばお前を主として認めよう。」
「いいのか?俺、勝つよ?」
「・・・・・死ね!」
そういうとフェニックスキングは、羽を広げると色んな属性の上位魔法を詠唱なしで放ってきた。恐らく詠唱破棄だろう。
俺はそれぞれに同じ魔法を同じ威力で当てて全て相殺した。
「ほう。やるな。流石は仮にも私に契約を迫っただけはある。」
「そう、褒めるなよ。それより契約して欲しいんだけど?」
「私に勝ったら契約してやる。」
そういうとさっきとは比較にならない量と威力の魔法を撃ってきた。
「さて、俺も本気を出しますか。」
そう言って俺は剣を抜いた。これは前に倒したEXランクの魔物の魔石を使って造られた最高の一品だ。
魔石とは魔物の心臓として用いられ、ランクが高いほど硬く、さらに魔力のポンプとしても用いられ、魔力の伝導性も最高。
さらに、このEXランクの魔物が、グルトニースライム。こいつは魔法を撃っても撃っても食ってしまう特性がある。その特性は魔石が引き継いでいる。何が言いたいかというと魔法は全て無効化できる。
「っな!」
「悪いけど魔法しかできないなら絶対に俺には勝てないよ。」
「ち、調子に乗るなよ。人間!」
あら、キレちゃった?おかしいな、翼が尖ってる気がする。もしかしてだけど、もしかしてだけど、それっておいらを殺そうとしてんじゃないの?
それはさておきこいつ、魔法だけじゃないのかよ。迫り来る翼を避けたり、斬ったりする。だが、あまり効いていない。さて、そろそろ終わらせるか。
「この程度か。あんなに大口をたたいっ!?何!?」
おー、驚いてる、驚いてる。俺がしたのはただ相手の翼を凍らせて重くして羽ばたかせなくして、墜落させた。
「これで俺の勝ちだと思うんだが?」
「この程度てどうにかなると思うな!!」
なんと、氷を溶かし始めた。思ったよりやばいな。流石測定不能。
あら、あっちまた魔法を展開しだしちゃった。さらに翼で攻撃してきた。
「ほらほらどうした?ほらほらほら!」
魔法の相殺に剣を使い、翼は回避したり魔法で防いだりしている。そして隙をついて攻撃するがなかなかでかいのが入らずダメージらしいダメージがフェニックスキングは少し傷ついたくらい。俺は2、3発とはいえランク測定不能の魔物の攻撃だ。かなりまずい。
「ハァハァ、おいおい、いくら何でも強すぎじゃね?」
「ハァハァ、それは私のセリフだ。お前本当に人間か?」
30分にも及ぶ戦闘でフェニックスキングはダメージが少ないが、流石に疲れてきていた。それに引き換え、俺は満身創痍だ。
「ハァハァ、なぁ、もう俺と契約しろよ。」
「ハァハァ、確かにお前は強い。正直、契約してもいいように思える程度には。だが、最後までお前と戦いたい。その結果、お前が死ねばその程度のことだ!」
そう言って、まるで疲れに鞭打ったかのように今までよりも圧倒的に強く、多くの魔法が展開された。
「これだけ量と威力があれば流石に防げないだろう?」
「そうだな。ならこっちも最後は俺の撃てる最高の魔法を撃とう。」
俺の最高の魔法。それは、広域殲滅魔法コキュートス。俺のオリジナルで津波を発生させ、触れたものを全て氷漬けにする氷属性の切り札。範囲はおよそ10キロに及ぶ。ちなみになぜ、最初に津波を起こしたかというと範囲を広くするのと、コキュートスの元が川の事を意味するからクオリティを上げるためにしてみた。我ながら努力したものだ。
それはさておき、これで決める。
この魔法により、相手の魔法は凍りつき、フェニックスキングも飛んでいたにも関わらず首より下が完全に凍りついている。
「俺の勝ちだな。」
「ああ、流石にこの氷を溶かすだけの魔力は残っていない。」
「と言うことは、俺の勝ちだな。」
「そうだな。いいだろう。契約しよう。」
「ああ。どうすればいい?」
「簡単だ。お前は私に血を飲ませればいい。」
言われた通り、俺の血を飲ませてやった。フェニックスキングは、何やら詠唱し始めた。詠唱破棄あるのにな。そういうもんかと考えながら、さっきの戦いのことを考えていた。
はっきり言ってあのまま戦えば俺は負けていた。最後にあの魔法を放つ余裕があったから勝つことができたがあのままやっていればまず、俺が負けた。
まだ俺は弱い。もし、雪菜がついてきていたら死んでいただろう。俺に守る余裕なんかなかった。確かに昔に比べて俺は強くなった。だが、まだ足りない。俺はもっと強くならなければいけないもっと。
(条件クリアより、ユニークスキル『使い魔との絆』を習得しました。)
使い魔との絆
EXランク以上の魔物を使い魔にする。かつ、さらなる高みを目指すものに発現する。
使い魔の強さに応じて強くなる。
久しぶりのスキルだな。ラッキー。
そんなことを考えていたら契約が終了した。
「主、これからよろしく頼む。」
「ああ、よろしくな。そうだな、まず名前をつけよう。」
「名前を?」
「そうだ。そうだな、フェニなんかどうだ?安直だがそこそこ自信作だ。」
「フェニ。フェニか。うん、気に入った。フェニだ。これからよろしく頼む、主。」
「ああ。宜しく、フェニ。」
フェニという名前は気に入られたようだ。
【ステータス】
フェニ
フェニックスキング
レベル1340
HP 1305000
MP 500000
STR 300000
DEF 250000
AGL 180500
スキル
翼術 Lv100
火魔法 Lv100
水魔法 Lv100
氷魔法 Lv100
雷魔法 Lv100
土魔法 Lv100
風魔法 Lv100
人化
称号
測定不能な魔物
神威の使い魔
人化美人
【ステータス】
神威
人族
レベル576
HP 1585000
MP 850000
STR 425000
DEF 375000
AGL 330500
スキル
隠蔽 Lv100
隠密 Lv100
魔力支配 Lv100
詠唱破棄
ユニークスキル
レベルアップ速度促進
レベルアップ時特大補正
スキル取得簡易
スキル合成
武術の極み
魔術の極み
使い魔との絆
称号
イケメン超越者
力を欲するもの
武術を極めし者
魔術を極めし者
超越者
頂点に君臨する者
EXランク冒険者
フェニの主