次席合格
翌日、俺はギルドで真央と話していた。
「それじゃあその白井さんが主席か。勿体無いな。神威君なら、簡単に主席取れるのに。」
「あんまりそういうの興味ないしね。これから合格発表行かないといけなし。」
「でもよかったじゃない。学園行ってもやることなかったんでしょ?」
「そうだな。でも、俺は雪菜に教えるとも限らない。」
「どういうこと?」
「人によっては自分の実力で伸ばしたいって言う人もいるしね。」
「なるほどね。」
「そうそう。じゃあ、そろそろ行くよ。」
そう言って、真央と別れた。
合格発表は次席だった。まぁ、こんなものかな。と思って、受付で手続きしようとしたら、そこが騒がしい。野次馬精神で、覗きに行くと何と雪菜だった。
「どうして私が主席なんでしょうか?どう考えても神威君のほうが高評価だと思うんですけど。」
「その、私に聞かれても試験官がそのように。」
「なら、その試験官を呼んできなさい。」
「無茶言わないでくださいよ。あちらにも仕事が。」
「しっかりできる人とは思えません。まぁ、いいでしょう。それなら主席を辞退します。」
「困ります!どうして主席がダメなんですか?」
あまりにも不毛な言い争いをしてるから止めることにした。
「雪菜、おはよう。」
「神威君、おはよう。そうだ、神威君からも言ってよ。俺こそ主席に相応しい、みたいなこと。」
「ごめん。俺ナルシストじゃないから。マジで。というより、別に次席だし、そっちの方がよくない?面倒な挨拶もないし。」
「え?いいの?え?」
雪菜が戸惑い始めた。どうしよう、可愛く見えてしまう。いやいや、待て。落ち着け、落ち着くんだ俺。
「別にいいよ。だから早くしてね。後ろ詰まってるから。」
「ッーーーーーー」
顔が赤くなった。何俺に惚れた?違うって?知ってた。
さすがに諦めたのか、手続きをして俺の方に来た。
「この後、どうするの?」
「学校の準備かな。」
「ふーん」
みたいな会話をして、やっと俺の番になった。
「神威です。」
「はい。こちらが教材になります。次席ということで主席と同じく入学金は免除です。」
「なるほどね。何かやっておいた方がいい事ってあります?」
「これを機に使い魔を手に入れる人もいますね。」
「使い魔ってなんです?」
「使い魔というのは使役された魔物です。友好的な魔物に契約を申し込んでもいいですし、魔物を屈服させて、自分こそが主だと見せつけるのもいいでしょう。」
「契約ってどうやるんです?」
「魔物が主と認めた人にやってくれます。」
「分かりました。やってみます。」
「はい。頑張ってくださいね。」
列から外れると、待っていたのか雪菜が話しかけてきた。
「予定決まった?」
「ああ、使い魔を手に入れておこうかなって。そういえば、雪菜って使い魔いるの?」
「ええ。この子よ。」
そういうと、その場に魔物が出てきた。Bランクの魔物、ブリザードベアーだ。主に氷属性の魔法を使うから雪菜にぴったりだな。そんなことよりも気になるのがある。
「どうやって出したんだ?」
「契約すると、霊体化と実体化が出来るようになるのよ。普段は霊体化させて、用がある時は実体化させるの。」
「なるほどね。まぁ、俺はギルドに行くから。」
「ねぇ、私も付いていってもいい?」
「?家の人が待ってるから帰ったほうがいいよ。」
「もしかしたら、あなたについて行くかもって言っておいたから大丈夫よ。」
「それならいいけど、俺の言うこと聞いてくれよ?」
「分かったわ。」
ということで、真央に相談中。雪菜は外で待機してもらってる。
「うーん、ドラゴンとかどう?移動とかに楽だし。もし出来たら史上初だし。」
「ドラゴンか。悪くわないかな?でも何で誰もできないんだ?」
「ドラゴン相手に殺さないように手加減するのが難しいのよ。」
「あー、なるほどね。手を抜いたらこっちが死んじゃうからか。」
「そうそう。神威君なら、いけるんじゃないかな?チェックしたいから、ステータスを見せて?」
「見せませんよ。では、それにします。」
「はいはい。頑張ってね。」
外に出ると雪菜が絡まれている。
「おいおい、美人だね。お嬢ちゃん、ちょっとおいでよ。お兄さんたちがいい事教えてやるよ。」
「凄く気持ちいいよ。」
「壊れるまでやってあげるから。」
雪菜は怒ったのか、顔を真っ赤にして男たちにアイスアローを撃った。だが、男たちはそれを簡単に避けた。あの動きは恐らく、Sランクかな。おいおい、ブリザードベアーまで実体化させちゃったよ。止めるかね。
「お嬢ちゃん、ブリザードベアー使役してんの?すごいね。でも、ブリザードベアーなんかお兄さん達の敵じゃないんだよね?」
そう言って、剣を抜いてブリザードベアーを攻撃しようとしたのを俺も剣を抜いて弾いた。
「なんだよ、お前、邪魔なんだけど。」
「俺の連れに攻撃しようとしたからだよ。」
「なんだと!」
「まぁまぁ、落ち着け。おい、坊主、お前剣を抜いたからには殺されても文句言うなよ?」
「お互いにな。」
「ハハハ、面白いこというな!」
そう言って、相手が斬りかかってきた。だが俺は動かない。勝ったと思ったのか顔が気色悪い笑みに歪んだ。
そしてその瞬間男は死んだ。
「お、おいどうした?おい!」
「無駄だよ。死んでるから。」
「死んでる?何をした!」
「見ればわかるだろ?凍らせたんだよ。そしてお前も今殺す。」
そう、男の死体は凍りついていた。そして俺が言うだけいうと、他の奴も凍りついて死んだ。
俺は怯えられたかなって思い後ろに振り向いて驚いた。
「ありがとう。助けてくれて。」
泣いてはいた。だが、そこから負の感情は見えなかった。俺は少し嬉しくなった。
「どういたしまして。それじゃあ行こうか。使い魔を見つけに。」