会話
「私、白井 雪菜っていうの。あなたと少し話がしたいのだけど大丈夫かしら?」
なんか知らんが白井に声をかけられた。まぁ、理由は想像がつくけど。
「ああ、構わない。宜しく、白井。」
「雪菜でいいわよ。あなたの名前は?」
「神威だ。神威で構わない。」
「宜しく、神威くん。ところでさっきのやり方って私を意識してたわよね?なんでかしら?」
やっぱりそのことか、と思いながら俺は答えた。
「雪菜は、俺の見た限り最も優秀だった。だから真似をした。強い奴の真似をするのは当然だろ?」
「確かにそうね。自分より強い人のは真似すべきだと思う。でもあなたは違うでしょ?」
「何でそう思う?」
俺は雪菜を讃えるようににこりと笑いながら問いかけた。雪菜は勘違いしたのか、ムッとした表情をした。ふきんしんだが、可愛いと思った。
「同じ行動だったからわかったのよ。あなたの動きも、魔法の発動も私に比べてスムーズだった。だから聞きたいの。どうして私の真似をしたの?」
雪菜がまじめに聞いてきたので俺も答えることにした。
「その方がいいと思ったからだよ。君にとってね。あとは、お礼かな。」
「わたしにとっていいと思う?お礼?何を言ってるの?」
「君は目標が欲しいんじゃないかと思ったんだよ。試験官と戦う時ため息をしただろ?本当は強い人とやりたかったんじゃないかと思ったんだよ。だから僕が君の目標になってあげようと思った。勿論、目標にするか、しないかは雪菜次第だけど。」
「・・・・・・何でそこまでしてくれるの?」
「最初はする気なんてなかったさ。ただ、どうやって勝とうかなと思った時、暇をしている中君の魔法を見て少し退屈をしのげたことを思い出したからそのお礼としてね。」
雪菜は唖然とした。たったそれだけで自分のために行動を起こしたのかと。そして同士に本当に良かったのかと。
「あれ、多分他の人から見たらあなたが勝つ方法を思いつかなかったから私の真似をして勝利したように見えなくもないのよ?本当に本当に良かったの?私のためにそんなことをし、」
「雪菜様、どうしたんですか!?心配したんですよ?他の受験生は外へ来ているのに雪菜様だけ来られなくて!さぁ、帰りますよ。ご両親も待っています。」
「え?あ、えっと。」
メイド服をした人がいきなりやってきた。その人に帰るぞと言われているが、俺にまだ聞きたいことがあるようだ。その反応も可愛いなと思いながら言った。
「雪菜、用があるならギルドまで来い。そこにほぼ毎日通ってるから。では、失礼します。」
最後の言葉はメイドに言った。そして、それを言うと俺は家に帰った。