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空想図書

ガラクタ廃棄場

作者: 空想家

 水の出ない蛇口。

 底の抜けたペットボトル。

 折れ曲がったバット。

 赤のまま変わらない信号機。

 止まない踏切の警笛。

 走らない車。

 破けたシャツ。

 割れた花瓶。

 空気が抜けたボール。

 切れないナイフ。

 降り止まない雨。

 飛べないカラス。

 壊れたラジオ。

 回らない歯車。

 電源のつかないパソコン。

 千切れたコード。


 好きな子の泣き顔。

 口うるさい両親。

 面倒くさい人間関係。

 嫉妬と羨望。

 鬱憤と焦燥。

 好転しない景気情勢。

 社会の抑圧。

 険悪な国交問題。

 将来への諦感。

 虐めと自殺願望。

 蔓延するネグレクト。

 モラトリアム人間。

 隠れ潜む衝動。

 リストカットの痕跡。

 違法薬物の乱用。

 自分がぶら下がる絞首台。


 そんな、ガラクタ。

 そんな、不要物。


 この世はきっと、ガラクタばかりで出来ている。

 厭世的な廃棄場。望まれることなく散乱する不要物。狂った街の片隅。不法投棄禁止を呼び掛ける錆びた看板。光化学スモッグに霞む視界。きっと誰もが気づいていて、きっと誰もが知っている。それでも見てみぬ振りを決め込んで、今日もまた素知らぬ顔でガラクタを棄てに来るのだ。



人は忘れる生き物だと言います。

嫌なこと、または幸福なこと。如何なる事象もいずれは記憶の底に埋没して手が届かなくなってしまう。それを救いと取るか否かは、個人の価値観に依拠するものだと思います。


最後になりましたが、

拙作をお読み下さり感謝致します。

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