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宣言します!

作者: sirasagiri

テンション苦手な方は今すぐバックして下さい!!

 誰にも話したことはないけれど、私には前世の記憶がある。それも複数人分。

 その記憶を思い出した時に気が付いたのだけれど、“前世の私たち”には共通点があった。全員、男運が悪いのだ。いや、男運が悪いと言うよりは、相手が悪いと言うべきか。

 恋人となった男は、毎回前世の恋人の生まれ変わりであった。まぁつまり本質はすべて同じ男であるということだ。

 “前世の私たち”はその同じ男を好きになり、告白され付き合い、酷く裏切られ、失意の中で死んでいく。

 現在の私は“前世の私たち”に言いたい。


 お前らバカ?バカなの?(大切な事なので二回言いました。)


 一番最初の私はいいとする。だって最初だし。そんな最低な男だとも知らなかったわけだし。失意の中で死ぬのでなく、早く持ち直して、その男に報復………じゃなくて、後悔させてやるくらいの気概で生きて欲しかった。

 でもさ、次からはもっと考えようよ。

 前世の記憶あったでしょ?

 どれだけどん底に突き落とされて捨てられて死んだと思ってんの。

 そんな男ごときが理由で死ぬなんてたまったもんじゃない。

 とまあ、現在の私はそんなふうに思うわけです。

 だからこそ、私はここに宣言します。


 今回は、あの男とは付き合いません。結婚もしません。

 その場で叩きのめしてやりますよ!!






 宣誓してから、三日後のことだった。


「君が好きなんだ。僕と付き合ってくれないかな?」


 とうとう来たああぁぁぁぁ!!!

 奴が、“前世の私たち”を毎回ひどい目に遭わせて振った男が出てきやがりましたよ!!


 ああ、この男に復讐すると決めて幾星霜。

 何度も失敗しては屈辱の中で死んでいった“前世の私たち”。

 現在の私が今こそ復讐してやるううううう!!


「…………ねぇ、聞いてる?」


 はッ!!

 しまった。

 復讐が為せるという喜びのあまり、話を聞いてなかった。


「ごめんなさい、ちょっと吃驚しちゃって………」


 ちょっと頬を染めて言ってみた。急に言われて頭真っ白になっちゃいました、みたいな感じ?

 うん、いい演技してるよ、私。


「ううん、僕も突然言ったから。それで、どうかな?」


 あの男の生まれ変わりは優しく問いかけてくる。

 しかし、あの男は最低な男だったけれど、客観的に見ればハイスペックだな。

 顔もいいし、背も高いし、頭いいし、金持ちだし。

 美女侍らして下僕こき使って、毎度毎度楽しく過ごしてんだろーな。

 あ? 何?

 それじゃ只の妬み?

 一般庶民の僻み妬み羨ましいですよ、ええ、それが何か?

 私は毎度毎度一般庶民だったり、かつかつ生活を送っている貴族令嬢だったりしましたけど?

 現世の私も一般庶民ですよ。

 現世のコイツの父親は某大企業の社長だ。つまりコイツは御曹司なのだ。

 コイツは私に前世の記憶があるなんて思ってもいないだろうから、これを断るネタにする!!


「嬉しいんだけど、私じゃ松木君に釣り合わないと思うから…………」


 目を伏せて悲しそうに言ってみた。

 グッジョブ私。


「………………………………………」


 あれ?

 待てども待てども返事がない。

 優しいコイツのことだから、「そっか。聞いてくれてありがとう」くらいは言って帰ると思ったんだけど?

 まあ、ハイスペックとレディファーストの優しさに、美女が寄ってくるんだがね。


「……………何で?」


 ようやく聞こえたヤツの声は、とんでもなく低い声だった。告白してきたときと比べたら1オクターブくらい違うんじゃないか。


「…だ、だって、松木君の周りには可愛くて綺麗な子がいっぱい」

「雪村だって可愛いし綺麗だけど?」

「…………そ、それに、私バカだし」

「学年でトップ30に入ってるのに?」

「…………………うち、お金持ちじゃないし」

「茶道家なのに何言ってるの?」


 悉く断るネタを切り返されたああああぁぁぁぁ!?

 何コイツ。何なのコイツ。何で知ってんの?

 とゆーか、え、どうしよう?


「僕のことが嫌いとかならまだわかるけど、周りばっかり気にして断られても納得できないんだけど」


 何か正論っぽいこと言われたors

 ほんとにどうしよう!?


「僕のことは嫌いなの?好きなの?」


 あああああああああ!!!

 二択にされた!!

 コイツもうやだあああああああ!


「あんなに女の子侍らせてニコニコしてる男を生理的に受け付けられないんですほんとうにごめんなさい!!!!!」


 叫ぶだけ叫んで、私は逃走を図った。

 しかしそれは一瞬で終わってしまった。


「………わ…っ!!」


 突然腕を掴まれて強く引っ張られたと思うと、壁に押し付けられていた。

 何この展開。想定外なんですけど。


「マリアのくせにこの俺を振るなんて、転生して随分生意気になったね?」

「……!?」


 誰。これは誰。完全にキャラ違う。

 前世のコイツはこんな腹黒そうなヤツじゃなかった!絶対!!

 さっきまでのレディファーストの紳士っぽい松木君はどこに行った!?

 しかもマリアって前世の名前………!!


「前世だけじゃなくて、今もでしょ。雪村真梨亜」


 前世とか転生とかばれてる……。


「ほんっとにバカだよね、お前。俺が気づいてないとでも思った? それに最初っから心の声だだもれ」

「………っ………!!!」

「毎回毎回、何故か死ぬから何が気に入らないのか今度こそ聞こうと思ってたんだ。そっか、お前は俺が女に囲まれてるのが嫌なの?」


 やけに嬉しそうな凶悪顔のまま、ヤツは私に顔を近づけてくる。

 すごい力で腕を掴まれていて逃げられそうもない。


「ヤツっていうのやめて前世みたいに、コウって呼んでよ」


 この迫力はすでにお願いじゃない。命令されている。

 冗談抜きで、コイツの綺麗な顔が怖い!!


「嫉妬しすぎで死んでたのかな、お前は。もうほんとにバカで可愛いよ」

「………………」


 ほんとに頭が真っ白で何を言っていいのか分からなくて口をぱくぱくさせてしまってた。


 動けなくなってしまった私の顎を空いた手でコウが掴んだ。

 そしてありえないくらい顔が近づいてきたと思ったら。


 いきなりディープキスをされた。

 舌がいきなり入ってきて、口内をかき回す。

 歯茎をなぞり、舌をつつき、しつこく絡ませてくる。


「……ん…ふ、ぁ………ん………」


 くちゅくちゅと唾液の混ざり合う音がする。


 満足したのか、コウが離れたときには、私は一人で立てなくなっていた。


 その私を見て、黒い笑顔を満面に浮かべたコウは言った。


「前世も今も来世も、永遠にお前は俺のモノだよ、マリア」



 この時、私には反抗する気力も無かったのだけど。

 あえて言わせてほしい。


 何がどうしてこうなったーーーー!!!?(泣)



バカな子ほど可愛いって言わせたかった。

何か溺愛の片鱗見てるみたいで……。

べたべたいちゃいちゃ猫かわいがりさせたいなぁ……。

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