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ドクゼツ櫂くんの攻略方法!

作者: あこ。


機械ダメダメなホエルはやってしまいました……。


読者様、ごめんなさい。


せっかくのコメントやポイントを消してしまったのです( д ;( д ;(゜д゜;


このたび、お詫びの言葉を残します。



はじめての方はどうぞ最後までお読みくださいませ♪







―――「ウゼェ」



 出会いはそんな汚い言葉からだった。






*.

*

*



 あたしは俗に言う、天然らしい。




 が、しかし、誰が自分が天然だと自覚しようか。


 「あたし~実はスッゴく天然でぇ~」とか言ってるその前に自分で自覚していることが天然じゃねーし!!


 わーい賢いねぇってみんなに拍手されちゃったりして。




 話は戻して…じゃあ、天然って認めればそうじゃ無くなる?




  バカ言いなさんな、絶っ対、認、め、な、い、し!!




「おっはよー…てアンタ何やってんの?」


「きゃあぁ!!来た来た、来たよっ!!」



  レンズごしに映しだされた人の影に体が動き出す。

 キーンと鼓膜を破るような甲高い声で叫んだ少女は窓に身を投げ出すようにして興奮していた。

 友人Aは耳を両手で塞ぎながら苦い顔。



「うっるさ! 郁奈(カナ)っ、もう少し声のボリュームさげなさい。」



 友達Aのことなど眼中になく未だに釘付けになって頬をそめる。

 そんな彼女の行動に不信をいだきながら側によった。



「……ところでさっきも聴いたが何故に双眼鏡?」


「あぁ~麗しいわ~。

 今日も凛々しく登校してらっしゃるる♪」



 軽く無視してまであたしが目を離せなかったモノ。

 それは私の想い人である“津梨櫂(ツナシカイ)くん”だ。

 現在、登校中でちょうど校門をぬけ教室に向かう途中。



 誰もが茶髪に染め、ピアスやワックスやらでチャラチャラした人達に比べて、彼は興味がないのかただの優等生なのか黒髪にメガネという清楚型。


 あの光沢の黒髪が彼の魅力を引き立てて、肌も白くて、知的なところとか、もぅその姿にノックアウトしそう。



 ヘラヘラ~と思わずにやけてしまう。

 あぁ、今日も生きられそうだ。



「げっ、ストーカー? キモッ!?」


「きーさーらーちゃーん…」



 友達Aの名前はなんとも可愛らしい響きのキサラちゃんといい、幼稚園からの幼馴染み。

 よき相談相手だ。




「今日もゾッコンですな」


「ですな♪」


 ふふふ、あたしは一途ですから!!


 適当に双眼鏡を閉まって席に座りなおした。 キサラちゃんも近くに来てくれて、ちょっと意外そうな顔を向けてくる。


「あの津梨ねぇ、顔は悪くはないけどアイツを好きだなんて郁奈も変わってるわ」


「友よ、なんどでも言え」



 タイプは人それぞれだと思う。



 あたしはゴソゴソとバックを探ってカメラ片手にドアへと向かう。


 急がなきゃ。

 あたしの朝はやるべきことがたくさんあるのだ。



「郁奈どこいくの?」


「櫂くんの写真とるついでに、あいさつしてくるの」




 頑張れ~と手をふる友人に見送られながら出ていく。




 ――ガラッ


「おぅ、津梨」



 …と同時に反対側のドアが櫂くんが入ってきたとは気づくことも無く。




 手をふり続けていた友人は苦笑しながら、天然、面白くないぞ~と心の中で思ったそうな。




 あたしの朝は忙しい。




 さんざん走り回って見つけた櫂くんはお利口さんに机で読書!!


 あぁ…恋は無難。



 気を取り直してスキップで向かう。



「櫂くん、おはよ」


「……」


「櫂くん、おはよ」


「……」



「か~いっくん」



「…………」



「櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん――」

「あぁ、分かった分かった」

 やっと答えてくれた櫂くんは本から目を離さずに棒読みでいった。


 あいさつはかえしてくれなかったが、これが彼なりの「おはよう」なのだ………………と勝手に解釈する。




「天気がいいね~」

「曇りだけど」


「……」

「……」


「今日の櫂くんの髪型イケてるよ」

「これ寝癖」


「……」

「……」


「髪短くしようかなぁ」

「もっと幼くなるよ」



「…………」

「…………」



「……すきです」

「ウゼェ」




 未だ本に集中している彼とのコミュニケーション終わり。

 こうやって朝補習は始まる。




 と、さっきの会話からわかるように彼はとにかく言葉に毒がある。


 よくひとりで本を読んでいて、つかみどころが分かりにくい。

 かつ非常に毒舌で無表情に言うから尚更グロテスク。



 ついたあだ名は“氷のサディスト”――そのまんまの意味。



 ちなみに彼にもちゃんと友達はいる。



 今日も愛の言葉をウゼェで片付けられちゃった……。



 でもそんな彼が面白くも好きだったりする。

 なにも動じることなく本を読みつづけるなんてステキ!!



 櫂くんの沈愛は誰にも負けないと思う。




「かーいっ、また本か?」


 飽きねーよなーと櫂くんの背中にのしかかってきたのは、一様ともだちだろう山本。


 長身でガッチリした筋肉質でちょいと、いや、かなりの老け顔。


 あたしのライバルだったりする。



「ウゼェ」


「あー、そうかそうか。おはような」



 「ウゼェ」から「おはよう」を見いだした山本は伊達(ダテ)に友達でわなかったようだ。


 櫂くんに触った、櫂くんに触った、櫂くんに触った…あれが一様でも友達の特権だなんて……憎らしいほど羨ましいわ。



 正面側にかがんで机から顔をだすような体勢で 山本をここぞとばかり睨んでやった。



 ガルルルゥ…と威嚇もふまえる。




「お、笹原もいんじゃん」


「…そ、追い払って」



「……だってよ?」



「……うっ」


 胸にグサリと矢が刺さった。


 そりゃあ、あたしはウザイあいさつを連発してきたさ、でもじっとなんてしていられなくて…………。


 それは真っ直ぐすぎて人のこと考えなしに迷惑かけるとんでもない自分だけどさ!




 性格だから仕方ないじゃんっ。


 ←正当化。




 拳にぐっと力をいれてプルプルと震えた。


 それを哀れんだ山本が声をかけようとしたとき…。




「老け顔のアホー!!?!」




 と泣きながら走って消えた。


「は、お、俺えぇぇえ!?」



 八つ当たりされた山本は頓狂な声をだして驚いたそうな。



 覚えてやがれ、山本敦(アツシ←本名)め。



 絶対おまえとなんかと仲良くしてやんないんだからな!!




 逃げたさきの売店でイチゴ大福を買ってかじりついた。






*.

*

*



「あはははっ、アンタそれで山本に無理矢理なこと言ったわけぇ? ガチウケる~」


「言ってくれるな、我が友よ」


 山本も酷だわねぇ、なんて向こうの肩もっちゃって……本当にあれは傷ついたんだから。



 いまは昼休みで、ご飯を食べている。

 売店で買収しまくったイチゴ大福をヤケクソで口に含みまくった。



 あたしはよく食べる。

、胃下垂だかなんだか知らないけどあたしの家系は食べても太らない遺伝子をお持ちだ。


 嬉しいときも悲しいときも常に食べている。


「津梨って分かんないよね、どこか近寄り難いし…。 なんて言うのかな、あまり深入りしないし、してほしくないような」



 キサラちゃんは心が広いひとだ。


 周りの評判とか変な噂とか、そんなめめっちぃことは気にせず個人は個人として尊敬する。



「ほら、そんな彼にあまり友達いないじゃん? 山本も友達なのか危ういところもあるし、郁奈だけじゃない?」


「なにが?」


「真正面から津梨にぶつかる人って」



 本日、何個目かわからないイチゴ大福をかじったまま一時停止。



 実は櫂くんには入学そうそう苦い事件がある。


 それは皆はじめましての新しいクラスに彼は浮いていた。 大人しいだけなら地味な存在として片隅に置かれるのだが、彼はそんな器にはまるような人じゃなかった。



 ヤンキース達に絡まれたときのことだ。



『おいガリ勉、お前にパシリと言う使命をやろう。 ジュース買ってこいよ』


 非常に堅苦しい受験を終えた15歳は、高校という名のヤンキースにませていた。


 彼は浮いた存在、目を付けられるのはそう珍しくはない。




『使命なんて遠回しに言わなくていいよ』


『わかってんじゃんか、ほらお前はパシリが似合ってんだよ』



『パシリって何の略かわかる?』


『は?』



『わからない奴にパシリを使う価値はない』



『…………』



 櫂くんの理屈にヤンキースはついていけないようだった。



 その後、キレたヤンキースは櫂くんの読んでいた本をグチャグチャに破いたが、学校の公共物を壊したとして弁償代を払わなくてはならなかったそうだ。





 学年一目立っていた金髪ヤンキースは高校デビューしたナリヤンだったらしく、根もヘタレな格好悪い奴だった。




 それから津梨櫂の武勇伝は続くことになる。






「つかぬことお聴きしますが、キサラさん」


「なんでしょうか」



「それは褒めてるの、そうでないの?」



 彼女はニンマリ笑ってどっちもだよ、と言いやがった。


 絶対おもしろがってることは見え見えだコンチクショー。


 とりあえず櫂くんは周りからあまり好かれていないのは確かだ。


「あまり女子からも好かれてないよね……あんなに魅力的な人なのに。 まぁ、あたしにとってはラッキーだ」


「男女かまわずあんな態度とられちゃ、好かない人もでてくるさ」


 チューと牛乳パッグがへこんだ。




「郁奈はさ、津梨のどこが好きなの?」


「性格だよ」


「……お前はMか、そうなのか」




 顔が入ってないだけじゃないけどさ、やっぱ自分と違う人好きになることなんてない?


 あたしはまさしくそうなんだけど。



 5月の空が青く、今のあたしの気持ちのように澄んでいた。


 櫂くんと始めて出会ったときもこんな綺麗な空だった。






 落ちる覚悟で受けてこいと言われた推薦面接で自分のキャラを生かした発言に面接官は興味をもったのか、あしは見事、先生の予想を超えて合格してしまった。


 おら見ろ、と合格書を先生達にみせたのは良かったが、宿題が出されるとは思わなかった。


 最後に一気にやればいいかと思っていたあたしが間に合う訳もなく、学校が始まっても残ってやっていた。



 気分転換に図書室でやるか!、と訪れたら結構広くてビックリした。


 さすが人気の高校、設備の規模が違う。




 テキストほったらかしで高い天井を見上げながら歩いたり、殆ど冒険する感覚で見学していた。



 時折止まっては本棚から出しては戻してという、意味もないことをした。



 そうしているうちに一冊の本を落としてしまった。




 静かな図書室だから予想以上にバーンと地雷のように音が響きいて、自分も内心驚いちゃって。

 慌てて本を拾おうとしたら、本がひゅいっと目の前をきった。




 ……あれれ? 




 顔をあげたら、見上げたさきに綺麗な顔があってじっとあたしを見下ろしている。



 チビなあたしは首が痛くなるほど上を向いていないといけなかった。



 あたしが動けずに固まっていると、その人はフッと笑って――――。







『ウゼェ』





 もぅ、ノックアウトだった。





*.

*

*





「かーいくん」


「……」



「かーいくん」


「……」


「かーいくんっ!」


「……」


「……」



「櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん櫂くん――」

「あぁ、分かった分かった」




 今日も櫂くんは読書という名の恋人とイチャイチャ中。


 やっとこさで櫂くんの気を引こうとしても、すぐ読書の世界へ行ってしまう。


 この世に文学をもたらした人物を女々しく思いながらも櫂くんの側を離れる気はなかった。



「……」

「……」


 一方的に話すのはあたしのほうで読書をしている彼が話し掛けることはなく、あたしが黙れば必然的にシーンとなる。



 図書室の椅子を反対にして背もたれに腕をのせて足をブラブラさせた。


 真正面には櫂くんと机を挟んで向かい合うようになって、好きなだけ櫂くんを見ていた。

 本だけの図書室でも櫂くんを拝めるだけで退屈ではなくなる。



 櫂くんはあたしにどんなに見られていても気にする様子もなく、黙々とページをめくっていた。



 茜色の夕日が差し込んで橙色の図書室は昼間とは違う幻想を感じさせ、あたしは2人きりなこの空間に酔っていた。


 あぁ、こんな櫂くんを間近でみられるなんてあたしは世界一幸せものだ。



 窓の外からのカーンとバットのなる音さえ遠くに感じられた。




「…ニヤニヤしないで、気持ち悪い」


「…す、すいません」



 あぁ、しまった。

 つい口元が緩んでしまったらしい…。


 けれど驚いた、これまで本に集中している櫂くんから話し掛けるなんて初めてだ。


 ビックリして喉がつっかえたのは秘密。




 相変わらず毒ははくが、仲良くなれた(?)進歩に今までの努力が実ったのだと感動した。



「…て、櫂くんいつあたしの顔みたの?」


 ずっと櫂くんを見ていたが彼が本から目を離すところは一度もなかった。



「見てない」


「それで分かったの?」


彼は動じることなくページをめくる。


「分かるよ」


「なんで、なんで!」


「第三の目があるもん」


「うそ!?」


「嘘」



 呆気にとられそこで漸く彼にからかわれていたことに気づいた。


 ぶぅ、となりながらもそんな冗談な会話をできたことが嬉しかった。



 あぁ、涙でてくる……。




「でも、見なくてもわかるのは本当」


「……なぜに?」


 あたしが首を傾げていると櫂くんは静かに本を閉じて、顔をあげた。





「だって、笹原わかりやすいじゃん」



 あたしの目を捉えてその微笑みが見下し微笑みだったとしても、もぅ言葉に表せないほど嬉しかった。





 「ウゼェ」と言われてから2週間、無視されたあげくやっと「ウゼェ」と返してくれた。



 毒をはれること約1ヶ月目、もぅコイツに何言っても駄目だと思われて側にいても何も言われなくなった。



 1ヶ月と1日、ライバルの山本の存在を知った。



 そして1ヶ月と3週間、本に適わなかったあたしが初めて彼の視線を奪えることができた。


 そしてそして、1ヶ月と3週間にやっと(…馬鹿にされたが)まともな話ができた(…と思う)。




 さらに、1ヶ月3週間目――名前で呼んでもらえた。






 約2ヶ月間、櫂くん一筋の生活をおくってきて、人間やればどうにかなることを学んだ。




 震える唇を噛み締めながらいてもたっても居られなくなくなったあたしは両手をひろげいて櫂くんにダイブした。



「櫂くんっ、だいす……っ!」


「キモイ」



 胸元にダイブするまえに櫂くんが持っていた分厚い本で叩かれ、


 見事、床に着地!!



 しかもうつ伏せというね!!!!





 こんなツンデレな櫂くんですが、スッゴくスッゴく好きなんです。



 誰かカレの攻略方法教えて下さい。






*end..





読んで頂きありがとうございます!!



ざっと三時間で書いた短編小説ですが、作者じたい続きを書きたくてたまらないといった感じです。

←じゃあ書けよ




皆様のご希望が多ければ続きを書いてもいいかななんて思っちゃたり…………はい、図々しいですね、すいません。




時間があれば、続きとしてラウンド2を書きたいと思います。


『ドクゼツ櫂くんの攻略方法!』の感想良ければ書いてくださいネ




by ホエル





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