頭上の「天気」は嘘をつけない! 〜ツンデレな私が幼馴染に告白を誤魔化そうとした結果〜
この度は数ある作品の中からこの作品を選んでいただきありがとうございます。
「別に! アンタのことなんてこれっぽっちも意識してないから!」
放課後、夕日が差し込む誰もいない教室。
私は腕を組み、ぷいっと顔を背けて言い放った。
私の目の前に立っているのは、幼馴染のレオン。
昔から顔が良くて無駄にモテるくせに、私に対してはいつだって意地悪にニヤニヤ笑ってくる、天敵みたいな幼馴染だ。
そんなレオンが、さっき急に距離を詰めて
「お前、最近俺のこと避けてないか?」
なんて聞いてきたものだから、私は大パニックに陥っていた。
「へえ、意識してないんだ?」
レオンが面白がるように一歩踏み込んでくる。
――やばい、近い!
(絶対にバレちゃダメ。私がレオンのこと、ただの幼馴染じゃなくて……一人の男として好きになっちゃったなんて、絶対に!)
必死に心の中で念じ、完璧なポーカーフェイスを決め込む。
我ながら完璧な演技だ。私の完璧な「嫌がり顔」に、レオンも諦めて引き下がるはず――
「――で? その頭の上のやつは、どう説明するんだ?」
レオンがくすくす笑いながら、私の頭の上を指さした。
あ……忘れてた。
私は生まれつき、感情が高ぶると頭上に『ミニサイズの天気』が出現するという、世界で私だけの謎の体質を持っているのだ。
恐る恐る見上げると、そこには――
ド真ん中に、眩しすぎるくらいの超大快晴。
さらに、その周りを色鮮やかなド派手な『虹』が二重に架かっていた。
「……あ」
「『大快晴』はテンション最高潮の時で、『二重の虹』は……『大好き』のサインだっけ?」
レオンは私の『天気データ』を長年の付き合いで完璧に把握している。
誤魔化せるわけがない。
「ち、違う! これは魔法の暴走! 今日の天気が良すぎて共鳴しただけ!!」
「今日、外は土砂降りだけどな」
「うぐっ……!」
窓の外を見れば、バチバチと雨がガラスを叩いている。言い訳の余地すらなかった。
顔が火が出そうなほど熱くなる。
恥ずかしさと情けなさで爆発しそうになった私の頭上で、パッと天気が切り替わった。今度は真っ黒な雷雲がモコモコと広がり、ピシャリと小さな稲妻が走る。
「うわっ、怒った」
「うるさい! からかわないでよバカレオン! もう絶交!!」
私が涙目になって背を向けようとした、その時。
ガシッと腕をつかまれ、引き戻された。
気づいた時には、レオンの腕の中にすっぽりと収まっていた。
「……っ!? な、なに――」
「からかってないよ」
耳元で、少しだけ低くなったレオンの声が響く。
いつも余裕ぶっている彼の心臓が、ドクドクと信じられないくらいの早さで脈打っているのが伝わってきた。
「ずっと待ってたんだよ。お前の頭の上に、俺に向けた虹が架かるのを」
ふっと顔を上げたレオンの耳たぶは、夕日よりも真っ赤に染まっていた。
「……両想いだな、俺たち」
そう言って優しく目を細めるレオンの顔があまりにもカッコよくて、私の頭上の雷雲は一瞬で吹き飛んだ。
そして次の瞬間。
教室の天井を突き破らんばかりの、本日一番の『巨大な虹』と『満開の花吹雪』が、私たちの頭上に勢いよく舞い散ったのだった。
(おわり)
ご視聴いただきありがとうございました。




