脳筋ケアク
睾丸には、別な使い道があった。
受付嬢の胸が、バインバインになるほど、大きくなっている。
俺たちは、急いで冒険者ギルドへ戻り。
3人で、睾丸の換金をお願いした。
「こんな汚いモノを、カウンターに出さないで下さい」
「えっ。オークの睾丸は、貴族どもに高く売れるって、コイツが」
「いつの時代の話を、なさっているのですか。オークの睾丸が、精力剤と言われたのは、遥か昔の話です。おとぎ話の世界ですよ」
俺とコルシューは、ケアクを睨んだ。
「ダークエルフさんを、悪く言うのは辞めてくださいね。仕返しされたら、この村は一瞬で吹き飛びますから」
俺たちは、大きな瞳をウルウルさせながら、受付嬢に聞いた。
「討伐の証の耳は、買い取ってもらえますか」
「それなら大丈夫です。討伐をして頂き、有難うございます」
俺たちは、睾丸を床に払い落として、収納ボックスから、討伐の証を取り出した。
後ろの方から、カカの声がした。
「死ぬ訳は無いと思っていたけど。久しぶりね、ケアク」
「カカも、久しぶり。元気だった」
「全然元気よ。幾つだと思っているの、まだ141歳よ」
「あら、オークの睾丸じゃない。珍しいわね」
「今の貴族たちは、オークの睾丸を買い取らないらしいの、知ってた」
「人間の貴族たちは、買わなくなったけど。ダークエルフが、買うわよ。森の薬草で、支払わさせて」
俺とコルシューは、床に落ちた睾丸を拾い上げて、カカに渡した。
「新鮮で、申し分ないわ。ケアクの分も、お支払いしないといけないわね」
カカは、収納ボックスから、大量の薬草を取り出し、コルシューに渡した。
コルシューは、受け取った薬草を、そのまま、カウンターに置き。キルトに買い取ってもらった。
「お支払いは、6000パルナです。討伐料も、込の値段です」
俺は、ブリキの体で、ガッツポーズを決めた。
嗚呼、ガッツポーズを、決めたさ。恥ずかしい。
「何で、800パルナなんだよ。均等に分けて2000パルナだろ」
「1500の間違いじゃないのか」
「計算できない奴は、黙っていろ。脳筋」
「私、脳筋じゃない」
「はいはい。脳筋じゃないから、黙っててね」
コルシューは、全ての金を管理しようとしている。パーティーを組んだから、少しは任せようとしていたが。
半分以上は、取り過ぎだろうと思っている。
「おい、ガラクタ。仮に、2000パルナを手にして、何をする気だった」
「決まっているだろ。強化だよ、強化。武器屋に行って、硬そうな物を口にする」
「残念、不正解です。明日も、睾丸を取りに行くので、少し強度が上がっても意味を持ちません」
「明日も、ファイヤーブリキングになれるのか」
「なれません。ホーリーブリキングのレベル上げが大事なのです。ファイヤーブリキングなんて、いりません」
「よし。明日の為に、いっぱい食べて置かないとな」
「面倒くさいな。話も進まないし」
「ガラクタは、ゴブリンとオークの鉄くずを食べればいいのよ。いい、私たちは、南の魔女を討伐するのが、今の目標なの。お金を貯める事も必要なの。ケアクみたいに、脳筋判定付けるわよ」
「分かったよ。だけど、無駄遣いしたら許さないからな」
3人は、村ゆいつの宿屋へ向かい、3部屋取った。
暗くなって、コルシューが水浴びをして。
次に、ケアクが行水を行った。
翌朝、早くから冒険者ギルドへ行き。異常な光景を目にした。
カカの胸が膨らんでいる。膨らんでいるなんてモノでわ無く。推定Dカップの持ち主だ。
「どうしたのですか、その胸は」
俺は、突っ込まずにいられなかった。
「昨日の睾丸と、エルフの秘術を掛け合わせただけよ。少し、多く作りすぎたから、ギルドで買い取ってもらうの」
カカは、そう言って、カウンターに、栓のされた試験管を見せた。
中身は紫色をしていて、プクプクと泡が立っている。
「これは、何ですか」
胸に疑問を持ったが。突っ込ま無かった。
「バストアップの薬だ。副作用は無く。1週間でもとに戻る。エルフの秘術だ」
「私の体で、試してみても宜しいですか」
受付嬢は、返事を聞く前に試験管を手に取り。栓を抜いて、上を向きながら。一気に飲み干した。
『痛て』
受付嬢は、真っ白なブラウスのボタンを、俺の顔に飛ばして。バストアップは、成功した。
「どうです、信用してもらえましたか」
「買った。全てを、私が買い取ります」
ギルドでは無く、個人で所有しようとしている。
「村の者にも、渡すので、七本だけ降ろさせて下さい」
「分かりました、10500パルナで買い取りさせて頂きます」
それでも、隣のコルシューには、かなわなかったが。受付嬢は、胸の重さを実感していた。
「何よ、こんなモノの何がいいのよ」
「そうだ、重たいだけだ。戦闘には不向きだ」
コルシューは、共感では無く。羨ましがって欲しかったのに、違う答えが返ってきて。脳筋とは、合わないと感じていた。
俺たちは、昨日の襲われた地点へと戻り、そこから森の奥へと進もうと考えていたのだが。
先人が、荒らした後だった。
昨日の薬草のやり取りを見て、オークの睾丸を目当てに、出し抜かれた。
「森の薬草狙いか」
大量に、オークとゴブリンの死体が転がり。オークからは、睾丸が抜き取られている。
「私の大事な収入源を奪うなんて、なんて奴らだ」
「そうです。敵が現れないと、ファイヤーブリキングに、なれないじゃない」
「ならんで宜しい。ホーリーブリキングの援護だけやっていたら、日が暮れますから。指を咥えて、見ているだけでも、構いませんよ。邪魔をしなければ」
「お前こそ、ブリキングから離れろよ。これから、この森の魔物を死滅させるのだから」
「無理だと思いますよ。僅か30体程度で、尻餅を付いているようだと、先が思いやられます」
「昨日は、初めてだったから、コツが掴めなかっただけだ。今日は、倍の60体を倒してやる」
「それにしても、私たちの獲物は、どこに隠れているのでしょうか」
「オレからも、一言いいか」
「「どうぞ」」
「ケアク、何故ビキニアーマーのママなんだ。服を買えって言ったよな」
「昨日は、クタクタだったから、ベッドで横になったら寝ていたんだよ。気付いたら夜で。少し、汗臭かったから、水浴びして、もう一度寝たんだ」
「コルシューは、何でノーブラのままなんだ。付け忘れたわけじゃないよな。そんなメロンみたいなヤツを、2つ抱えて。乳首の位置分かるぞ。それと、手首に巻いてあるレース。シュシュじゃないよな」
「な、何を言っているのかな。コレは、シュシュですけど。そっかー、道理で乳首が擦れて痛い訳だ」
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