ファイヤーブリキング
新たな合体を、ケアクと見せた。
ビキニアーマーを、頭にかぶり。秘部を隠す、楕円型の部分が、クワガタのように尖っている。
「が、ガラクタさん。心なしか、オークさんの一物が大きくなった気がします」
「気の所為です。オークの下半身を見ずに、頭部を狙って下さい」
「駄目です。オークの目が血走っていて、マトモに見れません」
「最初から、そういう顔ですから。頭だけを狙って下さい。お腹に、矢を何本刺しても、内臓まで達しませんから」
俺は、鉄の斧を振り回して、オークと接近戦をしている。
ゴブリンの3匹は、最初の方で倒した。
残るは、オーク2体だが。
進化した個体なのか、鎧を着込んでいる。
「まったく、夢や希望を膨らませやがって」
俺は、オークの股間を思いっきり蹴り上げた。
「ヤメロ。オークの睾丸は、貴族どもに高く売れるんだぞ。丁寧に扱え」
木の上で、弓を構えるダークエルフが、声をかけたかと思うと。
矢を放ち、俺の頬をかすめるように、オークの眉間を撃ち抜いた。
赤髪でアフロのダークエルフだが。
理解に苦しんだのは、ビキニアーマーを着込んでいる事だ。
女戦士が、着込む物だと思っていたから。
普通は、豊満な方が、ビキニアーマーを着込むモノで。
肋骨の浮き出た、ガリガリのエルフが、着込むものでは無い。
推定175cmのツルペタダークエルフ、マニアック過ぎる。
何故か、剛毛が大量にハミ出ている。
理解に苦しむが。
「ケアクさんですか」
「もう、私の名が広まったか。心配するな、サインなら考えてある」
「違います。捜索願いが、カカさんから出てまして。簡単に見つかって良かったです」
「何だ、心配性だなカカは。だけど、まだ帰るわけには行かない」
「どうしてですか、何か森で見つけましたか」
「違う、逆だ。森の宝を見つけていない」
「この森の宝ですか」
「お告げを聞いたのだ、森でオスを見つけると、子宝に恵まれると」
「何だそれ」
「ガラクタ、会話に加わるな。ややこしくなる」
「オスって、ゴブリンやオークでも良いのか」
俺は、オークが着ていた鎧を食べ終えて。会話に加わった。
「魔物は別だ。魔物の子を孕んで、エルフの森に連れて帰ったら、事件が起こってしまう。人とのハーフでも、大事件が起こるのに、オークとだなんて」
「もう、話をすり替えないで。オークの睾丸は、幾らで売れるの」
「最低でも、2000パルナで売れます」
「片方でですか。2個で一つですか」
「片方で、1000パルナと聞いています」
「何で、ビキニアーマーを着ているの」
コルシューは、ナイフを持ち。死後硬直する前に、オークの睾丸を丁寧に切り取り。収納ボックスへ入れて。
12000パルナを手にした。
「冒険者は、この格好をすると教わったが」
「間違っていると思うぞ。村に帰ったら、別な服を探そう。睾丸を売れば、ダークエルフに似合う服も買えるだろう」
「分かった。そうする」
俺たちは、この場所に長居し過ぎたようだ。
ゴブリンとオークに、囲まれている。
睾丸の次に、討伐した証の耳を切り落としていた、コルシューが弓矢で攻撃を受けた。
「体が痺れていて、動けません。助けて下さい」
俺の体にも、矢が飛んできて。幸いかすめただけだった。
ケアクは、無傷のようだ。
一度に、3本の矢を引っ掛けて、弓を引き。間合いを測りながら、矢を放ち。
ゴブリンを、いきなり3匹撃ち落とした。
コルシューは、オークの耳を削いでいる途中だったので。死体となったオークの顔に、大きな胸を押し付けている。
腹も膨れて、やる気にはなっていたが。オークの数が、10匹以上いて。ゴブリンは、湯水のように湧いてきている。
「このままでは、埒が明かない。一旦引いて、態勢を立て直そう」
コルシューは、麻痺を治そうと詠唱を唱えている。
「馬鹿か。相手の方から、出て来てくれたんだぞ。答えんのが、冒険者だろ」
弓を頭から通して、右肩にかけ。腰から、ナイフを抜き。接近戦に切り替えた。
次の瞬間。
「抜けない。助けてくれ」
脂肪感たっぷりのオークの腹に、ナイフを突き刺して、悶えているケアクがいる。
「何で、接近戦をした。馬鹿なのか」
「何でって、お前の加勢を指したのだろう」
俺は、目の前のオークの首をハネて、ケアクの加勢に加わった。
「前衛は、俺がやるから。援護攻撃をしてくれ」
俺は、ケアクに棍棒を振り下ろすオークの首をハネて、ケアクのお腹を押した。
オークとケアクの隙間を作る為と、ケアクを後退させる為だったが。
俺の大きな手は、ビキニアーマーの上下に触れていたらしい。
『ファイヤーブリキングに、合体可能です』
もちろん、『YES』を選択した。
俺は、ビキニアーマーを被り。一瞬で、ケアクを裸にした。
また、時間が止まり。
定位置のお腹に、ブリキの顔が収まった。
胸をプレートで覆い。ブリキのロングスカートに、腰までのスリッドが、右側に入った。
兜には、ビキニアーマーが装着されて。完全体のように、横から立ち上がっている。
武器は、炎のように燃え盛る剣が装備された。
「何だこれは。凄いぞ」
俺は、違和感を覚え。上を見上げると、ケアクの顔が下から拝めた。
ケアクは、攻防を繰り返しながら、コルシューを守り。
ケアクが、炎の剣を振り回す度に、炎の残像と肉の焦げた匂いが、あとを残した。
麻痺が解けたコルシューも、ホーリーアローで参戦して、30体程のモンスターを蹴散らした。
「緊急事態とは言え。何で私と合体しなかったのですか」
お腹の俺を指して、文句を言い。
「早く解除して下さい。私が、ホーリーブリキングに、なる予定だったのに。レベルアップを、し損ねたじゃありませんか」
ファイヤーブリキングが、解除されて。ケアクは、お尻から倒れた。裸のままで。
俺は、両耳が尖ったかのような、フォルムになっている。
「気持ち良く、オーク共を倒しながら、股間の辺りが、スースーするのは、良かったな」
「何を言っているのです。ファイヤーブリキングは、幻です。幻覚です。夢、幻です。忘れて下さい。二度と、合体なさらないでください」
「あなたもです。聞いてますか、ガラクタ。私以外と合体をしないで下さい。分かりましたね」
コルシューは、頭からビキニアーマーを剥がして。ケアクの足元に投げつけた。
「嫌だね。コイツとは、俺が合体する。敵をバッタバッタと切り倒す、爽快感は忘れられない」
ケアクは、ビキニアーマーを握りしめて。裸のままで、オレに近づこうとして、コケた。
「おかしいな。急に力が入らないぞ」
「脱力感も含めての、合体なのです。何度、快感を得たか。 ご自身で知っているはずです」
「嗚呼、あればヤバい。パンツなんか履いていたら、グショグショになっていただろう」
コルシューは、丁寧に袋を破き。睾丸を丁寧に取り出しながら、会話をしている。
俺は、錆だらけの鉄製品を貪りながら、汚らしい睾丸を雑に扱っていた。
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