ケアク探し。
鉄の鎧とブリキの木こり、戦うにしても、無謀過ぎた。
だが、ホーリーブリキングも負けではない、奥の手を隠していた。
コルシューのホークの手元に、亀裂が入った。
根本的に、鉄の鎧騎士に対して、ブリキの木こりが相手になるバズがない。
ホーリーブリキングは、見せかけだった。
薄いプレートと、ヘナチョコの合板。鎧の騎士の一撃で、亀裂が入る品物だ。
次の一撃を食らったら、杖ごと折れてしまう。
「仕方が有りませんわね。ホーリー・チューニング・フォーク」
コルシューは、ホークの部分を地面に叩きつけて、音叉のように扱った。
『ワワワワワワワワワ』
ホーリーベルの初級魔法。
鎧の騎士は、動きを止めて。頭を押さえ、何も出来ない。
「さあ、天に召される時間です」
コルシューは、ホークを杖のように振り回しながら、音叉に『聖』エネルギーを加えて、鎧の騎士にダメージを与えている。
5分足らずで、鎧の騎士を退治した。
「ゴーストから、この街を救いました」
コルシューは、疲れたのか。ホークを両手で掴んだまま、ヒザから崩れ落ち。お尻を地面に着けた。
ホーリーブリキングは解除されて、俺はコルシューの横で仁王立ちしていて。目の前には、鎧の騎士の残骸が放置してある。
「コルシュー。この鉄を食べてもいいか」
「お好きにどうぞ。誰も、呪いがかかっていそうなゴミを、欲したりいたしませんよ」
俺は、普通の食事を求めず。鉄の鎧を口にした。
薄いフルプレートを頬張り、刃の丸まった剣を、マジシャンのように飲み込みして。最後に盾を、バリバリと音を立てた。
関節のキシム音が無くなり、ブリキが強度を得た気がした。
「ちょっと、ガラクタさん良いかしら」
俺が振り向くと、コルシューが、鬼の形相をしている。
「今、貴方が、頭に被っているモノは何かしら」
俺が、頭に手を伸ばすと。
昭和の子供が皆やったように、ブラジャーを頭に被っている。
「誤解だ、誤解。俺は、『ホーリーブリキングに、なりますか』と、聞かれて。『YES』と答えた、だけだ」
「この世の最後の言葉は、それでいいのね。ホーリーアロー」
コルシューの周りに、3本の光る矢が現れて。俺めがけて、一直線に飛んできた。
「無実だ。下着などに、俺は興味は無い」
「素直に謝れば、許してあげたものを。ホーリーアロー」
俺は、鉄を喰らい。体力ゲージは満タンに戻っているが。コルシューの魔力は、枯渇しているようだ。
光る矢は、発生と同時に消えた。
「性がないな」
俺は、コルシューをお姫様抱っこで抱えて。自室へと運んだ。
コルシューを、ベッドに寝かせて。
俺は、廊下で膝を抱いた。
朝を迎えて、俺が廊下で目を覚ますと。
コルシューが、俺の肩に毛布を掛けて、隣で包まっている。
「おい、起きろ。何でベットを使わない」
「だって、アレはあなたのベッドでしょ」
「そうだけど、面倒くさいな」
「そうです。私は、厄介な女です」
コルシューは、ブリキの腕に絡みつき。
「起こさないでよ。やっと、クズ鉄が暖まったんだから」
「昨日はごめん。悪気は無かったんだ」
「その、何だ。目の前に、ボタンが出てきたから、押してみた。みたいな」
「だけど、凄かったよな。バージン合体、ホーリーブリキングは」
「何度か、音叉を振り回しながら、胸に当てた気がしたけど。気の所為だよな」
コルシューは、急に立ち上がり。俺から毛布を取り上げて。
俺の頬に、前蹴りをして、横に倒した。
倒れ込む俺の脇腹に、足の裏で踏みつけ。壁に両手を置き。
ヒールのプロレスラーのような形相で、親の敵のように、何度も何度も踏んできた。
「今日は、このくらいで勘弁してやる。次は無いぞ。ガラクタ」
廊下の隅で、丸くなっている俺に、シスターが俺にツバを吐き。朝食を取りに、階段へと向かった。
コルシューが、テーブルで食事をしている間は、何故か床で正座をさせられていた。
「これから予定ですが。まず、冒険者ギルドへ行って、ガラクタの登録とパーティー申請をします。宜しいですね」
コルシューは、俺の料金分の朝飯も食べて、お腹を満たしている。
「今の目標は、南の魔女を倒す事です。私は、ズーサンカへ帰らねばなりません。急ぐ必要があるのです」
コルシューは、喋りながら。キッシュを頬張り、薄めたミードで胃に落としている。
「神よ、恵みを与えていただき、感謝いたします」
2人分の朝食を完食して。椅子を引き、コルシューは立ち上がった。
「サラダのソースが、口の周りについてるよ」
俺は、大きなブリキの手を、コルシューの顎に当てて、よく見えるように少し持ち上げ。右手の親指で、ソースを拭い。そのまま、親指を唇の前に引くと。
『パクリ』
コルシューは、ソースの付いた親指をそのまま口に入れて。ソースを舌で舐め取って。
『ん゙〜。ポン』
コルシューの吸引力が凄かった。
「行くわよ、ガラクタ」
俺たちは、冒険者ギルドで登録を済ませ。掲示板で仕事を探していると。
「お仕事をお探しなら、一つ私のお仕事をお願いできませんか」
黒いエルフが、俺たちに声をかけてきた。
「どのようなお願いでしょうか。私も、ガラクタも初心者で、多くを求められても困ります」
俺は、登録されたばかりの、ビキナーランクの銅のプレートを見せた。
一日中、銅のプレートを飴玉のように舐めて、体内へ取り込みたい気持ちを抑えている。
「好都合です。初心者の東の森に向かった、ダークエルフのケアクを探して来て欲しいのです。高身長の赤毛で、強いのですが。方向音痴といいますか。突っ走ると、周りが見えない子で。生きているかの、報告だけでも、助かります」
「失礼ですが、貴女の名を伺ってもよろしいですか」
「ダークエルフのカカと言います。森で取れた、薬草が報酬です。根は、いいヤツなんですけど」
「どうせ、東の森に向おうとしていましたので、問題は、有りません。ケアクさんに、お会いすることが有れば、カカさんが、心配している事をお伝え致します」
「有難うございます。宜しくお願いしますね」
テンプレ通りのイベントが発生した。
掲示板には、『森の薬草求む』の張り紙があり。報酬も問題ない。
俺とコルシューは、最初の村を出て。東の森へ向かった。
森のモンスターは、ゴブリンとオークだと聞いている。
比較的、レベルの低い魔物たちだが。
大きな問題が生じた。
「何で、腰巻きしてないのよ。生殖器丸見えじゃないの。アレって、男の弱点じゃないの。晒して大丈夫なの」
モンスターは、嫌がるコルシューを見て、生殖器が反応を見せている。
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