ランタンを…
あれから何度か夜に白服さんにまた会えないか探したが流星群の夜に天に還ったのか二度と会うことはなかった。
感謝の気持ちを込めて白服さんがいた木の辺りに花を定期的に供えている。
私は遠い親戚の家で働くつもりだったが有り難いことに気に入られたのかそのまま養女に迎えていただいた。
本国から私を罵倒し縁を切ったはずの親だった人がやり直さないか?って来たけど色々手遅れだと養父や養母と共に追い返した。
何故、やり直せると思えるのか不思議ね。
今夜は慰霊祭が行われる。
空いっぱいに浮遊と光の魔石を仕込んだランタンを飛ばして亡くなった人を悼むのだそうだ。
白服さんを想って飛ばそうと思っている。
塔に幽閉された後に病死した元王太子にはランタンを用意して悼む気持にはなれないしこの国の人じゃないから風習に当てはまらないかも知れないわね。
そう言えば元王太子が聖女と勘違いした渡り人さんは身長が伸びて精悍な雰囲気になったらしい。
噂話なので何とも言えないがもう聖女に間違われることはないと思う。
空をみるとまだ日が完全に暮れていないのにランタンをもう飛ばしている人がいるようだ。
吸い込まれるように空に昇るランタンを見て白服さんにあった夜の流星群を思い出した。
恋愛や結婚を今は考えられない。
職業婦人としてこの国で頑張るつもりだ。