星の下にて
目標:7/16の誕生日までに完結する。
٩(๑òωó๑)۶頑張る
渡り人が全員会話が通じる訳じゃないからこんな事起きるよねって話。
「ねぇ、少し私の話を聞いてくださらない?」
淡く水銀燈の光が照らす庭の木に何時入り込んだのか人がいることに気づき人を呼ぼうかと思ったが建物に背を向け空を見ているようなので面白半分で声を掛けてしまった。
木の上にいる人物は白い服に水銀燈の光を受けているせいか白い服が淡い緑色にも見えるのだけれど怖く感じないのは私が壊れているのかしら。
白い服の人物は振り返らない。
「婚約破棄されて逃げるようにに此処に来たんです。」
虫の声が遠く新月の夜に響いている。
空には大小の星が輝いていてスッ…と爪で掻いたように星が溢れ落ちた。
届く筈のない空に白い手を伸ばしヒラヒラと振る。
返事はない。
古戦場跡地だったという曰くのある土地だから亡霊の類なら噂話をしないので尚更都合が良いわね。
私は白服さんに胸に溜めてた物を吐き出すように話し始めた。
こう見えて王太子妃候補だったのよ私。
毎日寝る間も与えられない程王宮で厳しい勉強をしていたの選ばれたのだから応えたいと思ったのだから鞭で叩かれても食事抜かれても堪えたわ。
でもね、ある日渡り人が現れたの。
神殿の沐浴を行う女神像前にどぼーんって降ってきたらしいわ。
天に向けて両手を広げ話していると白服さんが振り返った、光のない暗い目をしていた。
ふふ、渡り人さんと同じ目だ。
渡り人さんは切れ長の黒い瞳て髪の色も漆黒で薄い唇に肉付きの薄い身体でしたの何処か淋しげな印象が殿下の御心に止まったのね。
渡り人さんは言葉が此方とは違うため会話が不自由なのだけれど殿下は益々のめり込んでしまったわ。
大司教が聖女ではなく渡り人だと説明したのですが殿下は聖女を妻にすると言い始めて私はお払い箱よ。
暑かった昼の熱を少し感じる夜風が吹いた。
白服さんは暗い虚な目で黙って此方をみている。
殿下の御心を捕まえられなかった使えない恥ずかしい傷物は要らないと本国の貴族籍から外され放逐されたが遠く離れた血縁から侍女として住み込みで働けるよう身元を引き受けて戴いて今があるの。
ね、帰れない私と還りかたを忘れた貴方は似たもの同士になるのかしら?
また星が空から溢れるように流れた、今夜は流星が多いのね。
理由も分からぬまま王宮に縛られていたあの頃は不思議と家に帰りたいと思わなかったの。
白服さんはもし空に還れるなら還りたい?
輪廻の環から外れたままは辛いわよね。
温度を感じなかった白服さんが目を細めた。
見上げると吸い込まれそうな満天の星。
新月だから本当に星がよく見える。
「今夜の様な星空なら…吸い込まれそうな空の向こうをイメージできれば貴方も還れるんじゃないかしら?」
白服さんが空をみた。
水銀燈の淡い光のせいでは無い全身の輪郭が光に融けていくように見えた。
「私の分まで幸せになって。」
光の華が散るような白服さんに声をかけた。
本国を出る時から抱えていた胸の重さはいつの間にか消えていた。
翌朝、私宛の手紙が本国から来ていた。
王家の紋…殿下からだった。
婚約破棄に関しては誤解があったことが分かったためやり直したいと書かれていたが私は最後まで読まなかった。
…枢機卿から話は聞いていたのよ、渡り人は『男』だって。
親からも小娘に負けるならともかく男に負けるなど価値のない娘と言われたこと忘れないわ。
殿下は思い込みが激しいから婚姻の衣装合わせまで気づかなかったみたいだけど…
本国に戻らず此処で頑張りたいと家の主に伝えた所、手紙を紛失したことにした上で養女にならないか?と提案してくれた。
白服さん、私は此処で頑張ってみるよ。
次回、渡り人の視点で締める。




