準備
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「ふぁああ」
思わず大きな欠伸をしながら、伸びをした。昨日はこの話しがまとまってからずっと気持ちが落ち着かず、一睡も出来なかったのだ。
そんな中、午前の早い時間から博巳のアパートを訪れ、くるみへと姿を替えている最終段階のリップを塗ろうとしている最中である。まあ、今彼は外に外出しているので、部屋で一人。なのでこんな大欠伸をしているが、いざ、これから会う彼のお姉さんの前ではこんな事は出来ない。
実際どのくらい拘束されるかもわらない状況であり、気を引き締めなくてはならない。ただ、それを理解していても、気持ちが追いつけない状況ではある。
(博巳の彼女役……)
経験も乏しい自分が彼女役が務まるのであろうか…… しかも彼の身内に嘘をつく事にもなる。本人は良いだろがどうしても腑に落ちない。
(確かに親しい間がらにはなってるとは思うけど、それにこれから本当の彼女が出来る事だって……)
すると胸の奥に靄が一気に張る感覚を覚える。彼に彼女が出来る事は喜ばしい事だというのに、どうしてそれを喜べない気持ちになってしまうのか、自分でもよくわからない。でも、そんな自分自身が嫌でしかたがないのだ。 こんな様々な思考が駆け巡る状況が昨夜からずっと続いているのだから、眠れるわけがない。
(でもそろそろ気持ち切り替えないといけないよな)
自分は一回大きく息を吐き、手鏡を見ながらピンクベージュのリップを塗る。すると玄関のが開く音がした。
「入っても大丈夫ですか?」
「は、はい。準備出来ましたから」
その声に暫くしてから、博巳は部屋に入るなり、自分をじっくり見つめる。
「凄いですね。こんな短時間に着れちゃうなんて」
「はははは。慣れです」
「うん。でもいつみても完璧ですね。綺麗ですよ」
すると彼は優しく微笑えむ。いつもの事だが、やはり胸が高鳴り、視線を反らす。
「あ、有り難うございますっ」
「あ、そうだ」
いきなり博巳が何を思い立ったような口調になると、テーブルの方へと向かったと思いきや、彼の大きな足が下を向く自分の視線に入り込む。
「くるみさん」
「は、はい」
源氏名を呼ばれ、顔をあげると同時に彼が覆い被さるように自分に近づく。いきなりの事で息も止まり咄嗟に目を強く閉じると、耳たぶにヒヤリとした感覚を覚え、ゆっくりと目を開く。すると彼が自分を微笑み見つめている。
「やっぱり見立て通り。凄く似合ってる」
自分は彼の目線を辿りつつ首に手を添えると、チェーンらしき物があり、手鏡で首元を移す。すると、シルバーで小さな花が二つ並び、ルージュとほぼ同じ色合いの石が埋め込まれたネックレスが視界に入った。自分はそれをそっと指先で触る。
「これ……」
言葉と同時に博巳をみると、彼が少し頬を赤めながら照れたようにな顔をし、視線を上へと移す。
「い、いや今回のお礼という感じで。それに、日頃使用出来るアイテム必要かなって…… と、とりあえずいつもの口紅の色と合わせた色合いにしてみたっていうかっ」
「う、うん。有り難う。とても嬉しいよ。でも、自分が貰っていいの?」
「も、勿論!! 合うように選んだのだからっ、君に貰ってもらわないと困ってしまうというか……」
「じ、じゃあ遠慮なく…… 大事に使わせてもらう」
「う、うん。そうしてくれるとこちらも喜ばしいというか…… 気に入ってくれるか心配したけど安心した」
少し頬を竦めつつ、照れ隠しのようにはにかんだ表情を浮かべた彼が、再度自分を見つめる。
「ではこちらでフォロしますので今日はよろしお願いします。くるみさん」
「はい。こちらこそ」
すると彼が片手を差し出す。自分はその手に躊躇しながらゆっくりと掌を乗せた。
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