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08

一方、藍風堂でも日々の営みが続いていた。お琴は厳しい女将として店を仕切り、職人たちを指導していた。しかし、その厳しさの裏には、常に不安が潜んでいた。


「番頭、例の件はどうなった?」


お琴は番頭の清兵衛に尋ねた。清兵衛は周りをうかがうように見回し、小声で答えた。


「お嬢様(鈴様)は、小石川の長屋で元気にされておりますよ。お嬢さんの茜様も立派に成長されておるとか」


お琴は表情を変えなかったが、その胸の内では安堵の思いが広がっていた。「そう」と短く答えると、お琴は自分の部屋へと戻った。


部屋の奥の箪笥を開け、お琴は小さな包みを取り出した。それは鈴が子供の頃に描いた絵だった。風の中で踊る女性の姿。幼い鈴の才能が垣間見える絵だった。


「あの子、ちゃんとやっているのね……」


そうつぶやくお琴の瞳に、一筋の涙が光った。


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