表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/32

07

享保五年、江戸の町は厳しい冬を迎えていた。積もった雪が道を覆い、人々の生活を厳しいものにしていた。


長屋では、鈴が小さな部屋で染物の注文に追われていた。今では長屋の住人だけでなく、近隣の町からも注文が来るようになっていた。


「鈴さん、あんたの染める藍は特別だね。どうしてこんなに美しい色が出るんだい?」


常連客の一人、小間物屋の主人が尋ねた。


鈴は笑いながら答えた。


「秘密です。でも強いて言えば、風のように自由に染めること。決して型にはめないこと。それが大切なのかもしれません」


鈴の染める布は、確かに特別だった。藍の色が風のように流れ、見る角度によって微妙に色合いが変化する。それは彼女の持つ特別な感性によるものだった。


長屋の人々は鈴を「風の染め女」と呼ぶようになっていた。茜は母のことを誇りに思い、いつも仕事を手伝っていた。


「茜、ありがとう。あなたがいてくれるおかげで、お母さんは頑張れるのよ」


鈴が言うと、茜は嬉しそうに笑った。


「お母様、茜はいつもお母様の味方です」


二人の生活は質素ながらも、幸せだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ