四
通院は続けていて相変わらずの処方箋だった。閉院前の診察で紹介状を依頼した。この段になって別の病院に行くと言うのも億劫だが、どうしようもない。紹介された病院の整形外科のドクターの手腕も心配だった。が、知り合いがちょうどそこに行ったことがあって、
「ああ、あの先生ならまともだから」
とお墨付きをもらった。ならば、安心して診察に向かえると言うもの。
外来受付で紹介状を渡して、整形外科の前で待つ。
「河北さん、河北元喜さん」
名前を呼ばれてすくっと立ち上がって診察室へ。いくつかの問答の後、
「前と同じ薬を出しておきますから」
と言われた。これまでのドクターでは聞かれなかったが、このタイミングでこのドクターならと思い、
「先生、結局私は病名つくとしたら、何なのでしょう」
と尋ねてみた。
「そうですね、根性坐骨神経痛ですね」
「コンセイというはどういう字ですか」
「根っこの根と性質の性です」
「そうですか。ありがとうございます」
そう言って次の予約を入れて退室した。病名を告げられて安心するというのもおかしなことだが、判然としなかったことが明瞭になった。会計待ちの時間でスマホで早速検索してみた。字が小さく見づらいうえ長文そうだったので、家に帰ってパソコンで見ることにした。高校の時のヘルニア以来、これまでの人生でぎっくり腰になったり、慢性的な腰痛になったりしたこともあった。ストレッチは日常の中に取り組んでいたから、その動きに悪さとかはないのに、それでもこんな症状になってしまった。ウォーキングを長時間することができなくなった時、踏み台昇降運動に出会った。ダイエットは「惜しい、もう少し」と健康診断で言われている。だから痩せなければならない。踏み台昇降運動は短時間で汗が出るのでウォーキングの代わりにはちょうどよかった。趾の痛みが出るころにはちょうど運動を終えることもできたから。とはいえ、それでも痛みが、疼きが完全に治まったわけではなかった。