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第2話 毒を食べる


 その件をきっかけに、僕は凄惨ないじめを受けるようになった。


 小耳にはさんだ噂によると、「自分たちはいじめていたつもりはなかったのに、僕に悪者扱いされてむかついたから」だったらしい。確かに、僕がけがをさせたというのに僕じゃなくて相手が悪いことにされたともなれば、そんな風に思われても仕方なかったのかもしれない。だからといって、本当にいじめだすなんてひどい話だとも思うけれども……


 僕に向けられた嫌がらせは、被害者としては笑えない話だが無駄にバラエティに富んでいた。


 ある日は四・五人の男子生徒に囲まれて左右上下、あらゆる方向から殴られ、蹴られ、髪を引っ張られ、踏まれと、考えうるありとあらゆる暴行を受けた。


 ある日は頭に何かを投げつけられ、何かと思って手に触れてみれば生卵だったということもあった。生卵以外にも、飲みかけのパック飲料だったり、野菜くずだったり、もはや元が何なのか分からないような生ごみもあった。僕は飲食店のごみ箱じゃないんだけどな。


 僕がけがをさせた男子生徒のことが好きだったという女子生徒達から、ひたすら顔を殴られたこともあった。それも、「直接触りたくない」とかいう理由で、掃除に使う箒を使ってただただひたすらに殴られた。


 こんな日々が毎日、毎日、毎日――数えきれなくなるくらい、毎日続いた。


 親には言えなかった。元々こんなことになってしまったのは、僕の親のせいでもあった。だから親には頼れない。同じ理由で、先生にも頼れない。自分が耐えるしかないと、思った。


「お前むかつくんだよ!」


 自分が耐えるしかない。


「キモイ癖に調子に乗んな!」


 自分が耐えるしかない。


「うわっ、触っちゃった最悪」「マジで死ねよ」「俺が突き落としたら無罪になんねぇかなw」「けがさせて無罪とかありえないよね」「顔キモイ癖に」「出来損ない」「走り方きもすぎっしょwww」「 …… 



 僕は、何のために耐えてるんだっけ?



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