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第506話 節分は平和ですね伝説

 我が校の試験諸々も終了!

 みんなが解き放たれたぞ。

 当然のように全員が志望校に行ったっぽい。


 思い出の場所の補修も終わり、私達は本格的にやることが無くなった。

 ここで、学校は特別教師をお招きし、学校の勉強とは違う謎の雑学みたいな講義を開始した。


 もう参加自由で、不参加も自由。

 学校は来ても来なくてもいい。


 でも、うちの学校は三年生が全員来るんだよね。


 一学年全員が入った大講義室で、一日三コマの特別講義を五日間!


「民俗学に詳しくなった!」


 二月の頭でこの濃度!

 三年生の醍醐味はここからと言えるんじゃないか。


 これから一週間は、民俗学と文化人類学。


 だけど、その前にイベントを一つ挟まねばなのだ。


 節分ですねえ……!

 何故かこの季節には、ダンジョンが多めに発生する。

 この世界にやって来たダンジョン化現象に便乗して、もとからいた良からぬ連中が模倣のダンジョンを作り出すらしいのですねえ。


 家に帰ってから、私は配信スタートの連絡をSNSに流した。


『縁起物ですのでダンジョンに入ります! 壊さないようにどこまでやれるかチャレンジ!』


 待機所にワーッと同接が集まってきますねえ。


「こんきらー! 時間ちょうどなので始めますねー」


※『こんきらー!』『きらー』『こんきら!』『時間ぴったりでスタートする配信初めてみたw』


「私の配信はまあまあカッとなって配信スタートするので、時間ちょうどばっかりになりがちですねー。で、ですね。私の配信は多窓大歓迎です! よそ見ついでに配信見ててねー」


※『強者の余裕……!』『他の配信者の同接を奪わないようにするための気遣いだと思うw』『はづきっちが圧倒的すぎてなあw』


「そんなことはない。では、本日はこのですね、節分に突然発生した懐かしき廃アパートダンジョンに来ています。ここって私が一番最初の配信で来たところなんですねー。ダンジョン化が解除されてアパートは取り壊されたんですけど、霊障みたいなのが激しくて空き地のままだったんですね。ここがついに満を持してダンジョン化しまして、かつての廃アパートを思わせるような姿に……」


※『はづきっちと縁がある場所なのに霊障発生させてたの、かなりガッツがあるよなw』『ぺんぺん草も生えなくなりそうなのに』もんじゃ『初期はづきっちだから、何もかも撃滅する力がなかったからだろうな』おこのみ『懐かしいなあ。当時のはづきっちはもうちょっとコンパクトだったけど、やっぱりセンシティブだった』


「思い出話に思わず花が咲いちゃいますよねえ。はい、ここが該当の丸ごとダンジョンで構成されて視認できるようになっちゃった廃アパートです! では突撃しますね。こんにちはー!」


 私はアパートの扉に手をかけた。

 破壊してしまわないよう、優しく優しく。

 あっ、開いた扉が光り輝いて消滅していく……!!


「迂闊に触れませんね。儚すぎる……。三年霊障溜め込んだ結果がこれかあ」


※『なんて悲しそうな顔をするんだw』『はづきっち、君は強くなりすぎた……w!』もんじゃ『魔王を宇宙で倒す次元だからな。どれだけ霊障溜め込んでも、地域のアパートレベルでは……』


「でもここからは大丈夫! 私は直接接触禁止で、このスーパーで買ってきた節分用の豆で戦いますから!」


※『あっ、はづきっち、それは……!』『まずい、散弾をばらまくようなw!!』


『もがーっ!!』


「出てきました! 凄くそれっぽい鬼ですよ! 霊障に取り込まれちゃった、空き地を住処にしようとした自由民の方が鬼になっちゃったようです! では行きましょう、皆さん声を合わせて……! 鬼はー外ーっ!!」


 握りしめた豆をバーっと撒く!

 これを食らった鬼が、『ウグワーッ!?』とか叫んでピチューンと消えた。


 えっ!?

 儚すぎない?


 周囲のダンジョンも、豆が着弾したところが穴だらけになってる。

 いけない、ダンジョンが揺らぎ始めた!


「み、みんなー! 早くもダンジョンがピンチだよ! 応援してあげて!」


※『ダンジョンがんばえー!』『まだ死なないでダンジョン!!』『立て! 立てよダンジョン!!』『なんだこれwww』『ダンジョンを応援するの初めてだわ』


 すると、揺らぎかけたダンジョンがむくむくと再生するじゃないか。

 同接パワーはダンジョンにも有効なんだなあ。


※もんじゃ『歴史的にとんでもない瞬間を目撃しているような気がするぞ……!!』『同接でダンジョンを強化できるのか!』『素でとんでもないことをする人だ……w』『お前さん、はづきっちの配信初めてか? 彼女の配信は毎回こんなだぞ』


 私は豆をひと粒だけぶつけるように注意し、鬼を優しく優しく退治しながらダンジョンを行脚した。

 豆がぶつかると壁が抜けるので、隣の部屋に行くのも楽ですね。


 六畳一間が、ダンジョン化すると小型の体育館くらいの広さになる。

 そして、襖みたいなのがあちこちにランダム発生して仕切りになるから、その影にモンスターが隠れていられるのね。


 私がたまたま、手にした豆をポリポリ食べているタイミングで鬼が『もがーっ!』と金棒を振り回して襲ってきたので、私はとっさに「あちょ!」とチョップで迎え撃ってしまった。


『ウグワーッ!?』『ウグワーッ!?』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』『ウグワーッ!!』


 あっ!!

 チョップの余波で全ての襖と壁が破壊され、一階にいた鬼の全てが一掃される……。

 は、儚い……!!


※『思わずチョップしちゃったな』『はづきっちのチョップは聖剣なみだぞ。みだりに抜いてはいけない』『あれで屠られたモンスターの数も四桁に登るからな』『そんなに!?』


 そんなに!?

 こうして不本意にも一階が攻略終了してしまった私。


 お前らとのお喋りを楽しみながら、二階の攻略に向かうのでした。

 なお、このアパートは二階建てです。

お読みいただきありがとうございます。

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― 新着の感想 ―
割と根の深そうなダンジョンなのにあまりにも儚すぎる……w
まさかの最初の地!?
カプリコーンのシュラも真っ青、はづきっちのチョップ。
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