第470話 配信者総攻撃!中の国を解放せよ伝説
「あっ、魔王いますねー」
※『はづきっちがサラッととんでもないことをw』『マジかw』『あのJKが魔王!?』『きゃわ』
魔王の人は、私を早速見つけたらしくて『うっわここで会うのマジか』とか言ってる。
姿は前の時と全然違うけど、もうね、纏ってるオーラみたいなので分かりますからね。
……あれ?
タンカーダンジョン以前に一度会ったことがあるような……。
気のせいか!
私はビューンと降下。
パラソルを展開してるけど、まあまあな勢いの斜め方向落下ですよ。
本日の私は体操服モードなので、大変動きやすい。
夏の中国は暑くなってきてますからねー。
涼しい格好がよろしい。
なお、私の頭上にはバングラッドウイングが展開されており、そこに紐でたくさん配信者さんがくっついているのだ。
おっと、ここでカナンさんが風の精霊を纏って風の翼を作って独自に降下!
そしてメイユーが機械の翼を展開して飛翔!
もみじちゃんがひらったーいパンを作り出し、その上にチェンファと一緒に乗って飛び始める。
あれはどういう原理なんです?
現地配信者のみなさんも、飛翔手段がある人がめいめい飛び始めた。
この場にいる魔将の眷属みたいなのと戦い始めましたねー。
「はづき小姐。あの中心にいる女性が魔王だというんですか」
隣に並んできたリーさんが聞いてくる。
彼はなんか、空を飛ぶ柱みたいなのに乗っている。
背中で腕を組んでますね。どういう原理で飛んでるの?
後で聞いたら、日本のアニメから着想を得たんだって。
「そうそう。手を出したら死んじゃうからね。ここは私に任せてもらえると……」
「分かりました。俺の功夫もまだまだ未熟……。ここははづき小姐に譲りましょう」
「よろりー」
柱が横に方向転換して行った。
あれはどういう原理で方向転換してるんだろうなあ……。
私と同じ高さまで降りてきたバングラッド氏が、顔だけ出してふむふむ感心している。
『この地でも順調に眷属を増やしておるようだなきら星はづき!』
「えっ? リーさんは現地で仲良くなったカンフーマスターですが」
『あの男は既にお主の眷属だぞ。お主、変なのと共感しあうところがあるからな。ほれ、あそこの二人とか』
あっ!
私が着地しそうな地点に、なんかメキシカンなソンブレロにポンチョ、ギータケースとギターを装備した男の人と、サッカーユニフォームのラテン系男子が!
メキシカンな人がギターをかき鳴らす。
サッカーの人がなんか踊りだすと、口笛みたいな音楽が鳴り響く。
賑やか~!!
※『はづきっちがまた変なのと邂逅したぞw!!』『絶対相性いいやつだこれ』もんじゃ『俺のデータベースによると、メキシコのトップランク配信者のホセと、スペインの有名配信者であるパンチョだな。ホセ&パンチョのユニット名は世界的に有名だ』『ホセ&パンチョ!!』『ちょっと聞いたことがある!』『海外のコメディアンの名前じゃなかったのか……』
ほえー、前知識ありがとうー!
私が着地したら、ホセ&パンチョが両翼を固めるように身構えた。
「配信見てるぜセニョリータ! 世界の希望の星であるあんたと肩を並べられる事を光栄に思う!」
「あいつら魔王の軍勢はこの世界に対する悪質なフーリガンだ! ご退場願うとしようセニョリータ!」
「あ、は、はい! なんかこう、いい感じでやりましょう」
「「うおぉーっ!!」」
ホセ&パンチョがギターをかき鳴らし、ダンスと口笛みたいな音楽をぶっ放す。
私はなんかバーチャルゴボウを振り回して、それっぽく踊った。
ビシッとポーズが決まる。
なんか背後が爆発した。
これはたまたま、現代魔法が発動した的なあれだなきっと。
『な、なんだそれはーっ!!』
赤い色の巨人みたいなのが叫んでる。
あれがジーヤさんですか。
そして、ホセ&パンチョが光り始めた。
「おおっ! 俺たちの体に力が漲るぞ兄弟!」
「ああっ!! これならイレブンでハットトリックも出来そうだ! 33点いただきだな!!」
「キーパーまで決める気かよ!!」
ドッと笑う左右の二人。
よ、陽キャ~!!
超絶凄い陽キャ~!!
魔王の人は、ちょっと笑ってる。
『なになに? 超嬉しいんだけど。ここでこんなのと会えるなんて思ってなかった! はづきっち、あんたの力? サイッコーじゃん! 同接による信仰とあんたの加護を得て、こいつらが神の戦士になってんの!』
「なるほどー。じゃ、倒しますね……」
既に私の手には新鮮ゴボウ。
小走りで魔王の人のところまで近づいている。
『へ? いつの間に!? やるじゃん! ほらっ!!』
魔王の人が手を差し出したら、周りのビルや道路が全て渦巻くダンジョンになり、私を巻き込もうと襲ってくる。
まあ、私の進行方向を塞ごうとするということは、どこに来るか分かってるんで回避が容易なんですねー。
※『うおおお!! はづきっちが壁を走って天井を走って、もう視界がわけわからん!』『Aフォンよくついていってるな!』もんじゃ『周りの空間全部がダンジョンになり、はづきっちを攻撃しているんだ! だが……効いてない……いや、気にしていない!!』
ホセ&パンチョも、二人でダンジョンを駆け抜けてくる。
サッカーボールが私の横を飛んでいって、魔王に炸裂しそうになった。
魔王はこれを避けたけど、サッカーボールがカーブして背後から!
だけど、彼女はそのボールをボレーキックで蹴り返した。
ちゃんと手を使わないの偉い。
私の横から、バズーカの弾とかマシンガンの射撃とかが飛んでいく。
これは、魔王が手のひらでぺちぺち払っている。
「マジかよ!! 俺たち超絶パワーアップして、ダンジョンだってぶち抜けるぜ!」
「だがな兄弟! 俺たちの超絶パワーアップした攻撃が、魔王には通じてねえぜ!」
「「とんでもねえセニョリータだぜ!!」」
「元気だなーこの人たち」
私は彼らをちょっと見ながら、魔王にゴボウを突き出した。
そしたら、眼の前に真っ赤な巨人が降ってくる。
『させるかああああああ!! マロン様には指一本触れさせ』
「あちょっ」
『ウグワーッ!?』
巨人が吹っ飛んだ。
あー、ゴボウの一撃を体で防がれてしまった。
魔王の人はその頃には、ちょっと笑いながら後退している。
背中が故宮博物院に触れて、そしたらそれが全部ダンジョンになってこっちに襲ってきた。
「あちょちょー!」
ゴボウをぶんぶん振って、それをまとめて粉砕する。
空に吹っ飛んだ巨人、ジーヤは配信者のみなさんが飛びかかって戦ってますねー!
がんばれー!!
じゃあカメラはジーヤ戦を映してもらいましょう。
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