第433話 今後の魔王対策アンケート伝説
「えー、昨日魔王と戦ったわけなんですが、イカルガの方に世界中から問い合わせが来てまして、今全世界のダンジョン担当の人が遠隔会議してるんですねー」
※『いきなり世界最高機密みたいな情報をポロっとw!!』『いいのかw!』『こんきらより先に重大情報来たな……』
「あ、こんきらー! 今日はイカルガビルからお送りしまーす。お前ら、雑談配信……もとい会議配信だぞー」
※『思い出したようにこんきらー!』『こんきら!』『こんきら~!』『会議だと!?』『まさか俺たちからアイデアを募るつもりか』さといも『私達は敵に回せば面倒で味方にしたら頼りないよ!』
さといもさんまでいて、なんだか不安になることを言ってる!!
だが、私はこの集合知を信じる……!
お前らはやってくれる子だと信じてるぞー。
今日はコメント欄に、世界中で知り合った配信者さんがいたりして、ワイワイと喋っている。
豪華だなー。
「昨日のアーカイブがもう五億再生くらい行ってるの笑っちゃうんですけど、それくらい注目されてるってことだよね。えー、つまり、あの魔王をやっつけるとここ数年の大攻勢が落ちつくわけですねー」
アーカイブをワイプ映像にして再生する。
宇宙を召喚して、隕石とか物質化した宇宙線の雨……っていうか槍を降り注がせる魔王。
それをゴボウで打ち返していく私。
うーん、冷静になって眺めるとなんだこれは。
※ブラックナイト『相変わらずデタラメねー』カイワレ『ワオ! これはさすがに僕でもちょっと痛いよ!』シェリー『こんなの、あたしたちが飛び込んだら一瞬で穴だらけになっちゃうじゃない。ミンチよりひどいわ』
※風花雷火『はづきちゃんの真剣な顔、いいねえ……』『委員長がこんな時にネッチョリしたコメントを……』八咫烏『僕でもギリギリだな。生き残るので精一杯かも』チャラウェイ『ウェイ! これは魔王、はづきっちに任せるしかねえよなあ』
見知った人がたくさんいる!!
まあそれはそれとして。
「ではですね、今後どうやって行くかをとりまとめて行こうかと思います。今、配信のコメント欄に式神をあるだけ作って放っているんで、皆さんのコメントを拾い上げて集計していきますのでー。ここから十分間で色々喋ってみてください。ブレインストーミングってゆうやつです。はいスタート!」
ここから、読み取ることも困難な速度で流れ始めるコメント。
だが!
私が放った式神1500体が凄い勢いでこれを集計しているのです!
優秀優秀。
まず、雑談とか歓声とか、そういうのはその他枠に全部よける。
大半がこれね。
で、配信者からのアイデア枠。
リスナーさんからのアイデア枠。
こんな感じで集めていっております。
今回、私の配信はチャンネル登録して一日経過しないとコメントできない仕様。
「集まってきてますねえー。配信者の方々の意見だと、コラボを強化してパワーアップという方向性ですねえー。ただこう、大変シビアな意見で申し訳ない。申し訳ないですが……。同接一万人集められないと一発で蒸発しますあれ……!! で、リスナーさんの数には限界があるのでこうですね、大変難しい感じの……」
※『はづきっちがろくろを回してる』『珍しく厳しい意見言ってるぞ!』もんじゃ『実際に魔王と真っ向からやり合ったからな……。説得力しか無い』『あの時の同接数が二万人だっけ?』『あ、魔王と戦ってるところで同接十万まで跳ねてる!』『同接十万でも攻撃を防ぐのがギリギリか』『はづきっちの異常な動体視力と運動神経だからできたという説もある……』
「なので、コラボして同接をそこに集中させるのはアリですねー。ただ、同時多発配信してるとやっぱり同接が散るので魔王相手には厳しいと思いますー。ぶっちゃけ全滅します」
※『厳しい!』『めちゃくちゃシビアな意見だ!』
「あ、これはリスナーさんからの意見ですねー。スペシャルチームを組んで少数精鋭で挑む……。勇者パーティってこと……!? あーあーあー、いいと思います!」
私はこのアイデアにマルをつけた。
同接がつく先も絞れるし、悪くないんじゃないでしょうか。
「ええと、そこから……。スペシャルチーム結成から、育成までをドキュメンタリーで追うと。いいですねいいですねー」
これに対しては、ごく一部の配信者に人気が集中することが不公平だという意見が散見されますが!
この人気が集中した人は命がけで魔王に挑むことになるわけですからね!
「パーティ人数を決めます!!」
※『もう作戦が決まってて草』『これだけの人数の意見をとりまとめて決断する速度が異常に速いのよw』『四人でしょ』『六人』『十一人』『円卓かよ』『108人』『梁山泊じゃねえか』
どんどん意見が出てきておりますねー。
四人というのが多いけど、それはそれで役割分担の不安がですね。
「私的には六人くらいがちょうどいいのではないかと……。なので、仮に六人にしますね」
横にホワイトボードを用意してい、六人、と書き込む。
※『これ、何気に世界の命運を決するような話が各国の首脳抜きで進んでない?』『ここに集まった雑多な世界中のリスナーのお喋りが全てを決める……!』『集合知! 集合痴……?』
いやいや、これくらいのスピード感でいいんです。
国は国でやることも考えることもあるでしょうし!
※『六人のうちの一人がはづきっちということは、あと五人か……』
「あ、私はメンバーに入ってません。コーチとかバックアップです」
※『!?』『は!?』『な、なんだってー!?』
うおー、コメント欄が?で埋め尽くされる!!
「いやいや、だってだって! 私が入ったら五人しか選べなくて、スペシャルな企画なのにそれってもったいないじゃないですか! 六人集めましょう! 六人!」
※『この女、こんな状況でも動画として美味しいかどうかしか考えてないぞ!』『エンタメの化身……!!』たこやき『ま、どうせいつも通りぐだぐだになって最後ははづきっちが出てくるから』
妙に私のことを分かったような発言もある……。
ともかく!
この方針で行ってみましょー。
あ、一人目はもう決めてあるからね。
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