表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
153/518

第153話 迫る暗雲、雑に叩き潰せ伝説

 残留思念が怨霊化してダンジョンを作るパターンもあるから、そんな噂のなかった廃病院がダンジョン化したりもするんだろうなー、なんて思う私。

 画面に映らないようにしながら、もみじちゃんとビクトリアの後をのんびりついていくのだ。


 おほー、人に先導してもらうの楽ちん!

 思えば私、自ら率先して道を切り開いてばかりだったような気がする……。


 時々、壁からにじみ出してくる3mくらいあるデーモンをゴボウでペチペチ叩いてお掃除しながら……。


『ウグワーッ!? ば、馬鹿な! ネットの海を泳いで誰も侵入してないダンジョンを根城にして侵略を開始せよとのレヴィアタン様の仰せだったのに!』


※『なんか画面外から人間のものとは思えない声で説明セリフが!!』『さらっと重要な話が出てこなかったか?』『まーたはづきっちが話を聞かずにやっつけたんやろw』


 私、ぺちぺちお掃除しながらどんどん突き進む。

 二人の後ろは私が守る……。


「あー、配信しなくていいのは楽だなあ」


※『声拾ってるwww』『自重しろはづきっちw』『だらけた発言で全部持っていくなw』


「あ、すみませんすみません」


※『声ーっw!』『声入ってるって!』


「うーん、さすが先輩……。話題をさらっていってしまったー」


「リーダーはキャラが強いもんねえ」


「うんうん。だけど頼りになるの。うちいっつも助けてもらってるしー」


「私も助けてもらった。リーダーがいると安心できる」


「二人とも、配信配信」


「「あっ」」


※『かわいい』『かわいいが過ぎる』『はづきっちが言える立場じゃねえだろw』『あの先輩にしてこの後輩あり!』『確実にイカルガの遺伝子が受け継がれたなw』


 二人はちょっとたどたどしく談笑しながら、ダンジョンを進んでいく。

 すっかり場馴れしてきているもみじちゃん、バーチャル惣菜パンをホットドッグにして、射つとマスタード&ケチャップ型のワイヤーで戻ってくるソーセージで堅実な遠距離戦を展開する。

 ビクトリアも荒事なら慣れっこなので、モンスターの中に飛び込んでいっておもちゃのチェンソーで大暴れする。


 うんうん、頼もしいなあ。

 二人の活躍を見ながら、イカルガエンターテイメントの未来は安泰だなあと思う私なのだった。


 おっと、ここでタイムテーブルではゲストの出演です。

 私はAフォンに指示を出す。


 私のAフォンはすっかり賢くなったので、指示を出すと色々やってくれるのだ。

 ある意味ペットとか私のマネさんみたいなものかも知れない。


 画面に突然、ワイプが出現した。

 そう!

 海を超えてのビッグゲストがワイプで参加するのが今回のイベントなのだ!


『ハロー!! ビクトーリアー!!』


「オー! カイワレ!?」


『イエス! 僕さ! キャプテンカイワレさ! まさかビクトリア、ジャパンでリーダーと一緒に配信者をやるなんてね!』


「カイワレだ。元気そうだなあ」


『リーダーの声が……。オー! 画面外にいるよ!』


『カイワレ、今回はリーダーはサポートに徹しているのだろう。リーダー、コミックの内容に関しては後ほど』


 インフェルノは業務連絡だ!

 ということで、アメリカで一緒に戦った三人が揃ってしまったのだ。

 ラストバスターズ、懐かしい~。


 ネットだと私の非公式wikiで、コラボしたチーム名にラストバスターズがある。

 当時は弱小だった三人も、今やそれなりの配信者だ。


 ビクトリアはイカルガデビュー前で登録者数10万人に手が届きそうだし、カイワレは登録者数2800人、インフェルノは3万人。

 育ったなあ。


 二人はビクトリアと楽しげに会話し、もみじちゃんにも話を振る。

 もみじちゃんは陰キャではないので、礼儀正しい感じでちゃんと応対してる。

 えらいなあ。


※『もみじちゃん偉いなあ』『ちゃんとしたお嬢さんだ……』『かわいい』


 おお、高評価。

 礼儀正しい女の子は受けがいい。


 そんなことをしていたら、また壁からデーモンがにじみ出してきた。


『むっ、出たなデーモン!! 僕が相手だ! うおおーっ!!』


「あっ、カイワレがワイプ状態で飛びかかった! 器用だなあ……」


 ワイプ映像にあんな力があったとは。


※『なんでワイプが勝手に動いてるのw』『こんなことできないでしょw』『やっぱはづきっち関係者はおかしいな、いい意味で』


『な、なんじゃこりゃーっ!?』


 なお、デーモンもこれには動揺したらしく、慌ててカイワレを振り払った。


『ウグワーッ! くっそー! まだまだぁ!』


『あれは何をどうやっているんだ? 我輩にはできんのだが』


 普通はできないみたいね。

 振り払われても振り払われても襲いかかるカイワレ! ……のワイプ。

 防戦一方のデーモン。


 ワイプだから攻撃が通じない……いや、カイワレだからどっちにしても通じないか。


 で、ビクトリアがその間にラーフを構えて、スポンジの弾丸をガンガン打ち込んだ。


「ゴートゥーヘル!! ウフフ! ウフフフフフフ!!」


『ウグワーッ!!』


 全身にスポンジ弾を喰らい、怯んだデーモン。

 そこにもみじちゃんからの射出ソーセージを打ち込まれて消滅した。


 ナイスなチームプレー!


「ブラボー!」


※『はづきっち声でけえってw』『しかし確かに息が合ってるな』『遠距離でもこれなら、近距離も凄そう!』


 評判もなかなか。

 うんうん、将来有望だ……。


「はづき先輩が腕組みしてうんうん頷いてますねー。あ、じゃあモンスターが片付いたので、ここからは私のカラオケを……。僭越ながら一曲歌わせていただきます」


※『デビューイベントでカラオケ歌枠!』『やったー!』『かわいい』


 Aフォンから流れ始めるカラオケ楽曲。

 配信画面には、歌詞も流れていると思う。


 もみじちゃんはとにかくカラオケが得意なので、ビシーっと歌詞に合わせて歌う。

 しかも原曲と同じイントネーションなので不自然なところがない。

 彼女、めちゃくちゃ歌を聴き込んで歌うのだ。カラオケガチ勢。


※『歌ウマ!!』『うっま!』『はづきっちの後輩にしてこれ!?』『かわいい』『ダンスもキレッキレだ』『はづきっちの後輩がこの動き!?』


 ちょいちょい失礼なコメントが流れるね!?

 いや、確かに彼女は上手いけど……。


 こうして、もみじちゃんの歌とダンスも大好評。

 レッスンに通った甲斐があったね!


 二人のデビュー配信は大成功のうちに幕を閉じたのだった。

 なお、途中でにじみ出してきたデーモン関係で、迷宮省からめちゃくちゃ連絡をもらったりした。

 

お読みいただきありがとうございます。

面白い、先が気になる、など感じられましたら、下の星を増やして応援などしていただけると大変励みになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
カイワレよき。
[良い点] 更新お疲れ様です。 確かにこの三人は良い感じにバランス取れてますよね…やろうと思えば前中後衛をスイッチしながら回せますし。 はづきちゃんにもっと使い勝手の良い遠距離攻撃法が増えたら完璧か…
[良い点] 暴食を宿し(言わずもがな)、 色欲を備え(むっつりスケベ)、 怠惰(後方腕組み)も兼ねそうなはづきっち無敵すぎひん?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ