表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

っす口調の後輩女子と一緒に本屋に行くだけのラブコメっす

作者: 山外大河

 最近紆余曲折あってバイト先が同じの一学年下の後輩女子と出掛ける事が多い。


「そういや読んでる漫画の新刊出てる筈なんすよ! ちょっと本屋寄って良いっすか!」


 カラオケからのゲーセンで遊び倒した後、自己申告では身長150センチだがどう見ても145センチ程しかない後輩は帰り道にテンション高めにそう言った。


「いいぜ。ちなみになんて漫画?」


「ほら、この前先輩に既刊全巻貸した奴っす!」


「え、アレ最新刊出たのか!? マジで!?」


「マジっす! すっかり忘れてたっすけど正直カラオケとかゲーセン行ってる場合じゃなかったっすよ今日!」


「おうよ! 二人で遊んでる場合じゃなかったな!」


「え、私今の結構冗談で言ってたんすけど……」


「手の平の回転率えぐぅ……何、大会近いの?」


「実際手の平ぐるぐる選手権とか有ったら、地区大会ベスト8位は行ける気がするっすねえ」


 そんな風に適当な雑談をしながら、近くの本屋へ。


「えーっと、新刊コーナーは……おっとあっぶねえ! ラスト一冊っす!」


「お、やったじゃん」


「はい!」


「で、ちょっと頼みなんだけど、じっくり読んでからで良いから今度貸してくれね?」


「しゃーないっすね。一週間で千円でどうっすか」


「なんで定価より高いんだよ。よくて三百円くらいだろうが」


「いやまずお金請求請求してることにツッコミんで欲しいっすよ! 友達に本貸す程度で友達に金請求してたら私完全にヤベー奴じゃないっすか!」


「いやお前それなりにヤベー奴だよ元から」


「え、酷いっすよそれ。流石に訂正するっすよ!」


「ヤベーけど良い奴だよ」


「ヤベーのは訂正しないんすか。一体私が何やったっていうんすか!」


「いやお前、先週の土曜の昼過ぎ……色々……あったじゃん……」


「……あの、その節は本当にご迷惑をおかけしました。煮るなり焼くなり好きにしてください……」


「じゃあ今度新刊貸してください」


「……一週間100円で良いっすよ」


「なんでこの話ループしてんだよ!」


 とまあお目当ての商品を入手した後輩は俺に聞いて来る。


「そういや先輩は何か買いたい物とか無いんすか」


「ねえなあ。そもそも金欠だし」


「金遣いが荒いんじゃないっすかまったく……」


「お前が持ってる袋の中に入った巨大なペンギンのぬいぐるみに吸い取られた結果なんだが? それに挑む前は割とそれなりに富豪だったんだが?」


「ありがとうっす。めっちゃ大事にするっす」


「どういたしまして」


「で、お金使わせちゃった私が言うのもアレっすけど、お金あったら何か買いたい漫画とか有ったんすかね」


「いや今は特にねえなぁ」


「またまたぁ。実は向うの成人向け漫画コーナーに興味深々じゃないんすかぁ?」


「いや、興味云々や俺が未成年だから云々は置いといて、あんなの堂々とレジ持ってけねえだろ。買えるになっても電子とかじゃね? 正直あのコーナー18になっても足踏み入れる事なんてねえ気がするぞ。うん、ネットとかで買えるこの時代にあのコーナー需要有るのか?」


「いや先輩は甘いっすよ。私前紆余曲折あって足踏み入れた事あるっすけど、エロ本ズラって並んでるのマジで圧巻っすよ! 普段ネットとかで眺めてるのと実際目の前にドンってきてるの全然ちげえっていうか!」


「お、おう……」


 拳を握りそう力説する後輩に対し、そんな反応しか出てこなかった。

 ……やがて後輩の顔が真っ赤になっていく。


「…………なぁ」


「は、はい……」


「といあえずレジ行かね?」


「……そ、そうっすね……ははは」


 そう言った後輩は顔真っ赤なまま涙目で言う。


「……今のは忘れてくださいっす」


「…………おう」


 言いながら思う。


 ……普段ネットで何見てんだろ。


 気になって忘れられる訳が無かった。




 PS 最新刊めっちゃ面白かったです。

面白いとおもって頂けたら☆☆☆☆☆で応援してくれると嬉しいです!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] なんともはやホンワカしたところ? [気になる点] どっちが誘ったのか? (ミエミエなところがまた良い) [一言] これが後輩の家への家庭訪問につながるワケですね 部屋に入ってエロ本探しは …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ