94、授業参観②
教師が黒板に書いて、それを生徒らに説明していても大半の生徒は聞いていない。プリント学習に集中し、分からないところは、教えることの出来る生徒がそばまで行って説明をしている。一斉指導をしている教師の授業を公然と無視し、個別指導のプリント学習を大半の生徒が勤しんでいる。昨日から見慣れた光景だ。
「嘆かわしい!」
「こんなことがあっていいのか!」
次々と教師たちの怒りのコメントが耳に届いてくるが、私はそろそろだなと見当をつける。すると、
「せ、先生の顔の前に、半透明のカセットテープが浮かんでる!」
「た、大変だぞ! 目と耳を縫われた子供がいる!」
私の血を舐めてオーラが見えるようになった半グレのリーダーのように、私の血液が混入されたコーヒーを飲みほした教師たちも、オーラが見えるようになったのだ。白龍を見ると腰を抜かすと考えたので、校舎上空の目に届かないところを、空中散歩してもらっている。
「じゃあ説明させてもらいます。落ち着いて話を聞いてください」
パニックになりかけている教師らをなだめて、説明をはじめた。
「さきほど飲んでいただいた『魔法のコーヒー』の効き目で、オーラというものが見えるようになったのです。しばらくすると効力が消えて見えなくなるので安心して下さい」
「オーラ? 何だそれは?」
「人間の置かれている立場などを表現したものがオーラです」
教壇に立っている教師を指差して、校長が言う。
「彼の顔の前のカセットテープは何だ? 私たちはないのに」
「授業を開始すれば、すべての先生の前に出現します。意味するところは『音声のみ』というところでしょうか。生徒一人一人の理解度を無視して授業を進める一斉指導をしているので、一方的に喋っているところを表現しているのだと思います」
「あの可哀想な子供は何?」
「あの目と耳を縫われた子供を、私は『ソウ・チャイルド』と読んでいます。ソウ・チャイルドは、一斉指導についていけなくなった生徒の年齢で姿が止まります。縫われているのは、授業を見ても聞いても理解できないことを表現していると考えます。首から下がミイラ姿なのも、存在しない死者のように、教室では扱われていることを意味していると私は考えています」
教師たちが全員静まり返っていた。
「どうぞ、五組だけでなく、一組から四組も見て歩いてください」
そう促すと教師たちが各クラスを見学していく。私も各クラスを覗いていたが、数分ほど経つと、自分のクラスである三組で、面白いものを見つけたので集合をかける。
「すみませんが先生がた、三組まで集まってもらえませんか」




