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88、一斉射撃①

私はまだ残っている半グレ達に目をやる。足元の一岡を蹴飛ばすと、床を滑るように移動した。一岡は、三十メートル程先にいる仲間達の所で止まった。その前に倒した十人ほどの半グレも同じように横たわっている。無傷の四十人程の半グレが突っ立っていたが、一斉に足元のバッグを開けはじめると、なんと銃器を取り出し、私に銃口を向けて対峙した。その中から数歩前に出てきたのは半グレナンバー2のパウロだ。ただのケンカチームを、詐欺や麻薬の密売で荒稼ぎする、犯罪組織に作りあげた男。普通に街で見かけたら、

「あら、いい男」

と女性の目を惹(ひ)きつける、クール系美青年が口を開いた。

「てめえの事は調べさせてもらった。三大暴走族相手に一人で勝った中坊の女がいるって聞いたが信じてなかった。でも本当らしい。ヘビみたいに執念深(しゅうねんぶか)い連中が一度負けたぐらいで報復もしない、復讐しようともしない。バトルした翌朝には、お前の事に怯えて何もしようとしねえって話だ。あり得(え)ねえ。でもそれも本当だった。

 連中の中には金欲しさに、俺たちの詐欺行為や密売の手伝いをしてくれる便利な奴が何人もいたのに、家(うち)にひきこもって使いもんにならねえ。ムカついたんで、うちの二軍にお前を襲撃させたら、ケンカなら負けしらずの五人の男が完敗した。翌朝にはお前に怯えてるだけじゃなく、俺たちとした以前の犯罪行為を、ペラペラ自白して捕まっちまった。二軍の下っ端だから、幹部の俺たちまで警察は辿り着けなかったが、お前とバトルした奴は、一晩たつと怯えて復讐心はなくなり、犯罪に手を染めている奴は、その手口をベラベラ喋るという事実だ。どんな魔法を使ってるか分からねえ。でもとにかくそういう事になる。

 さっきまで容赦なく顔を殴られて、完全に潰されてたのに、もう元に戻ってる。お前はまともな人間じゃない。魔法みてえなもんが使えるんだ、それは間違いねえ。そして俺たち一軍の人間の何人かは、お前とバトルして負けている。つまり、明日の朝にはそいつらは、自分の犯罪行為を自供して捕まるって事だ。あらゆる犯罪行為を知っているから、幹部の俺たちまで捕まっちまう。でも魔法使いのてめえを消してしまえば、不思議な事はもう起こらねえ。そういう訳で、死んでもらう。中坊のガキだからって容赦はしねえぞ」

 生まれて初めて銃器を向けられた。それも四十人もの男たちに。それでも白龍に対する信頼は絶大なので、なんとかなるでしょ、と思っている。だから銃口を向けられても平気だった。


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