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7、弱い生徒に人権はない①

 ある日の学校でのこと。授業は全て終わり終礼も済み、さあ帰ろうかと教室を出ようとした時、教室の後ろの方で、クラスの気の弱い男子が、不良男子の蝉村と猿川に、持参してきたマンガの単行本を貸すように迫られていた。貸したくないのだろう。単行本を強く掴んだまま渡そうとしない気弱男子に、大声で、

「寄こせこの野郎、シバくぞ!」

恫喝どうかつしていた。私は近づいて注意する。

「なに偉そうに他人を脅してんのよ。脅した時点で『脅迫罪』って犯罪なんだからね。脅したうえに無理やりやらせたら、『強要罪』になるんだから。ほんとにアンタらってどうしようもないわね。『不良イコールカッコいい』と思ってるでしょ? バカじゃないの。『不良イコール犯罪者』なんだよ。そんな犯罪者を美化してるヤンキーマンガの読みすぎで、脳ミソ腐ってんじゃないの? アンタ達って」

「うるせえ牧野、ぶっ殺すぞ!」

蝉村と猿川が私に詰め寄る。その隙に気弱男子は教室から脱出した。他のクラスメートもあわてて教室から出ていく。

よえェ奴らは俺達の言う事聞いてりゃいいんだよ」

「何様なのアンタ達って。マジメな生徒の人権をなんだと思ってんの?」

「弱ェ奴に人権なんかねえんだよ」

蝉村が私の肩を掴んで思いっきり突き飛ばしたので、私は後ずさりながらそのまま倒れこんだ。私の不様な姿を見て、蝉村らと、不良女子三人娘が笑っている。正しい事を言って、自分たちに注意する者をやっつけて気分は最高なのだ。そして間違っている自分たちが威張り散らせる事が誇らしいのだ。こんな思考の持ち主なのだから、【不良とは人間のクズ】である。私は倒れたまま言い返す。

「なにケンカが強くて威張ってんのよ、バッカじゃないの。ヤンキーマンガの主人公が、高校を卒業したところで物語が終わるのなんでだと思う? 自分が偉いなんて勘違いしている不良は、世の中に出て社会人になったら学歴社会の負け犬になるからよ!」

そして立ち上がると、猛然と蝉村にキックやパンチをお見舞いした。もちろん全て空振りに終わったが。蝉村は笑いながら、私の攻撃を余裕でかわし、

「お前の攻撃、遅すぎ、ハエが止まるぜ」

と子分の猿川に向かって言った。猿川らも笑っていたが、蝉村がよそ見したその瞬間、やみくもに蹴っていた私のキックが蝉村の股間に偶然当たった。蝉村は股間を手で押さえながら、しゃがみこみ、青ざめている。急所を攻撃されて、あまりの痛みで動けなくなっていた。

「ヤッター! 初勝利ィ~、私の勝ちー!」

勝利宣言を高らかにあげる。白ヘビも、私の頭の上をクルクル回って喜んでくれている。


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