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240、おすすめ本『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(泉房穂・鮫島浩)③

【前回の続き】


◎《市民のために100%仕事をしたら、どんな目に遭うのか、それを経験した泉房穂さんの言葉》私の場合、1年目から人事にも予算にも手を出して役所で総スカンを食らってました。税金で番組を買ったり、地元新聞を購読しまくったり、そういう関係をやめてマスコミも切ったので、マスコミにネガティブキャンペーンを張られました。私を失脚させるために、一度目の選挙の直後から、役所で会話を隠し撮りされていました。仲のいい市議会議員に頼んだら、保険料や税金を滞納しても払わなくていい状況が明石市では続いていたので、議員のメンツなんてお構いなしに滞納請求しまくっていたら、「俺の顔が潰れた」とあらゆる方面から激怒されました。コロナの第三波に見舞われた時、市民も事業者も困っているので、一人当たり5000円のサポート券を配布するプランを公明党が提案してきて、良い事だと私が議会に提案したら、自公とは手打ちが済んでいたのに、急転直下「継続審議」という形の嫌がらせを受けた。自分たちが提案して、実現を拒んだのは、理屈じゃなく感情論なんだと思います。


◎《無党派市長である泉房穂さんが出来たことを、なぜ多くの無党派市長には出来なんでしょう? という質問への答え》これはもう非常にシンプル。市長選や知事選で勝った後に、ちゃんと市民・県民に足場を置いたままやればいいのに、たいがいの人は、役所や議会側と手打ちする方向に舵を切ってしまう。本当はそのままで十分できるのに、当選したらすぐに不安がってしまって、議会と和解したがる。その弱気によって、自分のやりたい政策が進められなくなってしまう。キーは副市長でしょうね。よくあるパターンは、副市長が「あなたのためです。市長の将来を考えると、ここは大人になって」とか「ここは我慢して」と、持ちかけてくる。市長は、どれだけ議会が居心地が悪くても、市民の代表としてドッシリしていればいい。半年ぐらい持ち堪えることができれば、既存の古い勢力も嫌がらせを続けられなくなってくる。だんだん自分たちの立場が危うくなってきますから。


◎《「新聞は取材もしないで、紋切り型のパターンで報道する。なぜなのか?」という泉房穂さんの疑問に、元・朝日新聞の記者だった鮫島浩さんが答えたもの》病理の根本原因は明らかで、新聞社の古い「縦割り」制。これが弊害になって、新聞社の命であるはずの報道を歪めてしまっている。何らかの分野の「専門記者」とか、偉そうな肩書が付いてる記者がいるじゃないですか。これが魔の手でね。種明かしをすると、厚労省の役人に知り合いがたくさんいれば、「私は社会保障の専門記者だ」と会社内外で威張るわけです。問題はその省庁にいる「お友達」が言ってることを、自称・専門記者が疑いもせずにそのまま書いてしまうこと。すぐに騙されるんです。役人のほうは、利用しようと思って付き合ってるだけのことが多い。なぜ記者が権力に弱くなってしまったかというと、実は東大から記者になった人は、朝日新聞にいっぱいいるんですよ。彼らは、大学時代の成績で、外交官になれず、大蔵省に入れず、学者になれず、医師になれなかったから記者になった。そのようなコンプレックスを持った記者がゴロゴロいますよ。だから、なりたかった仕事に就いた相手にペコペコして、「自分は馬鹿と思われたくない」一心でゴマをすり、言われたことを垂れ流す。人間誰でも、どんなに頭が良い人でも嘘をつく。それを見抜くプロが新聞記者なんだから、本来は専門知識も学歴も要らないんですよ。まず、素直にわからないことはわからないと認めて、「自分は素人です、でも庶民の代表として、説明責任を求める」と問う。これがジャーナリストでしょ。その原点を忘れて、「エリートになりたい」「エスタブリッシュメント(支配階級)の仲間入りをしたい」と。そんな奴らばっかりが、記者をやってる。新聞記者が記者を辞めたあとに就きたい、一番憧れの職業を知っていますか? みんな大学教授になりたいんです。それが一番のステータスだと思っているの。だけど、ステータスを求めている記者が庶民目線で権力者を追及できるはずがない。そういった人たちが会社の中枢にいる。それが新聞社の大問題だと私は思っています。


◎《政治部の記者を長年やってきた鮫島浩さんの自論》強力な地域政党が誕生するキッカケは、強力な知事や市長が誕生することです。大阪維新の会の橋下徹知事、「明石市民の会」の泉房穂市長のような。そこで議会と対立し、議会の過半数を獲得しなければ政策を次々と実現できない現実に直面して、議会選の候補者を大量擁立することから地域政党が生まれるという流れ。これからの時代、地域政党が全国各地に雨後のタケノコのように誕生すれば、自民党支配は足元から瞬く間に崩れると思います。もう一つは国政政党とは距離を置きながら、国政にプレッシャーをかけて政策実現を目指す道。明石市の子育て支援が全国各地の自治体に広がり、岸田政権も「異次元の少子化対策」を掲げるしかなくなったように、国会で過半数をとらなくても政策を実現させる手段はいろいろありそうです。《それに対する泉房穂さんの答え》どんな立場であれ、有権者とともに社会を変えていきたいと考えているので、そのためには有権者に意志を示す選挙で勝つことが何よりも大事、とくに首長選挙で、しっかりと目的を持った人を応援して、各地で引っくりかえしていきたいです。とくに東京23区とか首都圏の首長選、それに政令市や中核市などの首長選はチャンスだと思っています。ふさわしい候補者がいれば、早い段階で協力して勝利に導く。それはできることだと思っています。


『政治はケンカだ! 明石市長の12年』(泉房穂・鮫島浩・講談社)より

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